森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。前回に引き続き、ディストリビューターのスイッチングということで。今まで自分たちのディストリビューターとどう付き合ってきていて、彼らが本音としてどう思っているのかということをやっぱりちゃんと可視化をしないといけないし、これからどうやっていくべきかという戦略提示をしていかないといけないんだけど。基本的に日本のプリンシパル側、メーカー側がディストリビューター以上に市場のことを把握していないといけないし、でないとね、ディストリビューターと話にならないんですよね。要は、「分かっていないのに口出しするな」と思われたらもうそれでおしまいだし。一方で、ディストリビューターだからすべて市場のことを分かっているかと言うとそうではないんですよね。彼らも俯瞰して見れていないところもあるし、彼らがすべてを知っているなんていうこともないわけなので。だから、少なからず、ディストリビューター以上に知識武装しないといけないという、最低限の知識、経験が足りなかったとしても知識武装はしないといけないし。
あと、うまくいっている企業がディストリビューターとどう取り組みをしているのかということを完全に可視化するということはすごく重要で、その上で自分たちに足りているもの、足りていないもの、ここの足りていないところを埋めていくということが次やるべきことなので。まずはね、可視化をする。うまくいっているメーカーとディストリビューター、「どういうストラクチャーで、どういう組織をどういうふうにマネジメントしているからうまくいっているんだろう」みたいなことをね、全部完全に可視化するんですよね。そうすると、そもそも自分たちってストラクチャー悪かったし、そもそも組織の体制も悪かったし、そもそもディストリビューターのコミュニケーションとかマネジメントも全然悪かったよねということが明確に数字で見えてくる。それをディストリビューター、今の現状のディストリビューターと膝詰めで話をしていく。そうすると、ファクト、数字で見えるファクトをベースに話ができるので、基本的にはもう感情論の話にならないわけですよね。全部ファクトベースで数字で話ができる。そうすると、「ここまでの投資ができますか、できませんか」「ここまでの支援、メーカーとしてできますか、できませんか」みたいな話になるので、非常にコミュニケーションが前に進みやすくなる。これで進まないんだったら、初めてそこでディストリビューターを変えるという選択肢になるわけなので。基本的には何か今まで任せきりでやってきて、突如として「もっと成長したいので、私たちもっとやってほしいです」みたいなね。「やってほしいです」のその中身も、「営業を強化してください」みたいなぼわっとした話でね、いきなり来られても、「いや、ちょっと待ってよ」という話になってしまうので。「今うまくいっている企業の現状がこうで、私たちはここに5年で到達したい。そのためには逆算して1年目、2年目、3年目、こういうことをしていかないといけない。だから、あなたたちにはこういうことをしてほしい、私たちはこういう支援を用意します」、これはパッケージで話をしないと、なかなかディストリビューターも聞く耳を持ってくれないので。
なので、多くの場合、「アジア新興国市場でうまくいかない。うまくいかないのはディストリビューターが悪いからだ。ディストリビューターを変えたらいいのではないか」って、「いやいや、変えたってうまくいきませんよ」と。そもそもはディストリビューターが悪いというよりかは、メーカー側のやり方を見直していかないと、単にディストリビューターを変えても同じことの繰り返しになりますよというようなことは結構たくさん見てきているので、われわれと一緒に何をやるかと言うと、まず今の現状の皆さんとディストリビューターの状況がどうなっているのかを完全に可視化しますと。もう1つは、うまくいっている企業、ベンチマーク企業とか、競合企業ですよね、こっちを完全に可視化すると。この可視化した2つを比べて差異を導き出すと。この差異を埋めるということが戦略になっていくので、こんなことをしっかりやっていかないと、なかなかチャネルを強化するということは難しいですよというお話でございました。
それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。