東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:今日は森辺さん、リスナーでありながら素敵なゲストをお迎えしていますけども。
森辺:恐らく私のPodcastを1番聞いてくれているのではないかという。
東:世界で1番聞いている。
森辺:方だと思うのですが。
山本康二(以下、山本):毎晩聞いています。
森辺:グローバルパートナーズの山本社長をお招きしております。山本さん、どうぞよろしくお願いします。
山本:よろしくお願いします。
東:山本社長の簡単にプロフィールからご紹介させていただきたいと思います。グローバルパートナーズ代表取締役の山本康二様です。1971年埼玉県生まれ、1995年株式会社光通信に入社。1999年、28歳で取締役に就任する。その後インターネット事業部長、法人事業本部パートナーシップ事業部長、法人事業本部長に就任し数々の法人向け事業で国内トップシェアを獲得。2008年常務取締役に就任する。2009年、アリババマーケティング株式会社を設立し代表取締役に就任。2013年事業別に展開をしていたグループ3社を統合しグローバルパートナーズ株式会社に社名変更をする。現在はUAEのドバイへの進出支援を中心に、中小ベンチャー企業の課題をワントップで解決をしている。素晴らしい経歴。
森辺:山本さん、よろしくお願いします。
山本:よろしくお願いします。
森辺:山本さんといえば28歳で光通信の取締役というのは最年少に近いようなあれだと思うんですけど、それのイメージとあとドバイをやっている。中小ベンチャーの支援をやっているというイメージ。そんなイメージがすごく強いんですけど、山本社長のやっているグローバルパートナーズの簡単なご紹介をまずお願いします。
山本:私は営業畑の人間でございまして、20年間ずっと営業という仕事を通じましてずっと徹底して日本の中小企業を元気にしたいと。営業という仕事を通じて世の中の問題解決とか、世の中自体を、仕組みを良くしていこうということをコンセプトに頑張っておりまして。
20年前は実は黒電話の時代だったんですね。携帯電話、インターネット、パソコン、こういうものは普及していませんでした。これを恐らく日本で最も中小企業に対して販売したのが私というか、私のやってきた事業だと思いまして。ずっとこれをライフワークとして日本のIT化、中小企業を元気にしようとやってきたんですが、気付いたら5年10年でほとんどの中小企業の方がメールアドレスを持って、携帯電話を持ってと。達成というか最初に掲げたことはクリアしてしまったんですね。もう「機種を新しくしましょう」と言ってもつまらないですから、今度はITを使っていかに経営を効率化しようかとか、売り上げをあげようかという支援に入ったのです。そうすると、ただ1億人全員に売るというよりも、お客様を業種ごとに分けてそれぞれの産業ごとに問題を解決しようということを10年ぐらい前からやっていたんですけど。
やってみて、1万人以上部下が子会社をもってやっていて分かったことは、もう日本全体が伸びていないなと。どっかの企業を応援するとどっかの企業は負けていくというか。もうおしくらまんじゅうで、イス取り争いで。これはもう日本全体が問題を抱えているなということで、政治や経済、色々なマクロのことも含め勉強し始めて。日本は人口が1995年頃をピークに、生産年齢人口が減ってきていて、当時は8700万人ぐらいいたのが2040年には5000万人ぐらいになると。もう3000万人ぐらい減るということは、恐ろしいなと。一方で新興国を中心に世界70億の、60億人ぐらいの方々はこれから高度成長を迎えると。
そして3つめは、彼らは非常に親日的で、日本人や日本の製品を、非常に敬意をはらってくれて、森辺さんがよくドリームプロダクトと言いますけど、本当に好きなんですね。これは小学生でも分かることで、日本は縮小すると。海外は拡大していくと。その海外は日本が好きだと。私も三十何歳のときに日本のものを海外に売れば雇用も税収も全部増えるし、解決するんじゃないかと。日本人に対して日本人が何か物を売って儲けるじゃなくて、海外に対して売れば日本も豊かになるし、まだ安全、安心や色々な生活水準が低い海外の人たちも便利になったり、安全になったりして喜ばれるだろうと。まさにウィンウィンウィンだなと思ってですね、海外に日本の企業を売っていこうと。
当時もう10年ぐらい前だと日本のいわゆる大手上場企業、こういうところは自力で海外へのシフト済みでもう動き出していまして、新聞紙上を見ても海外がどんどん伸びているということでしたけど、彼らに対して私が出来ることはほとんどなかったんですけど、得意の中小企業さん。この方々も業種によりますけど7割から9割以上の経営者の方がいずれ海外に出ないとと、もしくは出たいというニーズがあった。ではここに注目しようということで、そこで色々な調査や企画を重ねて行きついたのがアリババというインターネットサイトです。
私は全く外部の人間からアリババというサイトを見た瞬間に、人材がいなくてお金がなくてノウハウがなくて、そして英語や言語のスキルがない。彼らであってもアリババであれば海外デビュー出来るんじゃないかということでアリババの経営陣と色々交渉を致しまして、日本でアリババを普及させる会社を作らせてほしいということで、この会社を作ったんですね。アリババマーケティングということで2009年4月からやってきたんですけども。ちょうど3年ぐらいたった頃にいくつかの気付きがあって、アリババマーケティングという会社名をこのグローバルパートナーズという会社名に変えまして。オンラインのいわゆるウェッブ簡潔型の輸出ではなくて、フェイスtoフェイスと、そういったテーマでもう1度やり始めているというのが現状です。
森辺:そうすると、長年の中小企業さんに対する支援と、その2009年からアリババマーケティングを通じていた中小企業にとっての海外展開のノウハウみたいなものの集大成としてこのグローバルパートナーズに集約して、サービス展開をしてという、そんなイメージですかね?
山本:はい。
森辺:なるほど。中小企業の支援って結構難しさがね、すごくあるんじゃないかなと。我々なんかも少しサイズの大きい企業の支援をずっとやってきて、中小企業って中々ご支援をする機会がそんなに多くはないんですけど、過去私自身の経験から申し上げると、中小企業のグローバル展開って非常にやり方が大企業とは全く違う。すごく難しさがあるんじゃないかと思ってはいるのですけど、中小企業のグローバル市場での、彼らは販路を構築したいというのが1番の望み。要は売りたいと、海外に売りたいと。それをこう支援していく上で重要な要素というか、なぜ中小企業は海外販路開拓につまずいてしまうのかという、そういう。
山本:単的に言うと、世界というのは森辺さんのPodcastを聞いてても分かるんですけど、日本以外のアジアの国はほとんど中小企業ですね。彼らがやっていることをマネすれば良いやと思ったんですけど、彼ら、海外の中小企業の方々が、最も海外の取引が成功している理由は何か?と聞くと、信頼関係と言うんですね。価格とか機能とか、色々な成功要素があると思うのですけど、最も1番最初に重要視しているのが信頼できるかどうかと。
私はインターネットで簡潔できるかどうかということをものすごい、お客様には失礼ですけど、経験、実験のような形で失敗事例も成功事例も見てきているんですけども、このアリババにしろ、YouTubeにしろ、Facebookにしろ、もしくは展示会にしろ、色々な海外のバイヤーさんと出会うというチャネルへの投資は多くの中小企業さんがやられているんですけども、その後10万円、30万円のサンプルの出荷だけで終わっちゃう方と、本当に何千万、何億という売り上げを、しかも継続的に出されている方。この2者に分けると、前者の方は売っている方の、買ってくれた方の名前もほぼ覚えていないし、その方がどんな方という、買ってくれた人のことをよく知らないのですね。顔も見たことがないなんて方も多いんですけど、後者の方というのは本当に買ってくれる人と友達みたいな形になっていまして、当然ビジネスの展開をしていくと様々な課題にぶつかるんですけども、それを双方で克服していく。そんな関係性が見られるんですね。
よくよく考えれば、日本以外の国々もたくさんグローバルビジネスをやっている。中小企業においてグローバルビジネスをやっている比率は恐らく日本は最下位だと思うんですね。その他のアジアの国は本当にファミリーカンパニーでグローバルビジネスをやっている。彼らにとって本当に重要視しているのが信頼関係だと。日本においても恐らく江戸時代でも昭和時代でも、現在国内で何千万という売り上げを継続的にあげている取引先、なんでその人とやっているのですか?と聞くと、中小企業の経営者は「信頼出来るからだよ」と、「いいやつだからだよ」と言うわけです。ただ、なぜか海外ビジネスになると3日間の出張で終わりにしたりとかですね、出来ればメールやウェブページだけで終わりにしたいみたいな。手を抜いているわけですね。
よくある例が、展示会に行ってきましたと。1週間なり行ってきてですね、100枚200枚の名刺交換をしてくるんですよ。たとえば上海の展示会に出て。食材メーカーが色々なバイヤーさんに試食をしてもらって、美味しいとみんな言っていたと。これは海外市場性あるねと言って帰ってくるんですけど、1年後に「どうでした?」と聞くとまだ売れていないんです。その名刺交換、たとえば100名していて「社長これ展示会場でまた会いましょうという約束しましたよね」と。「その後フォローしていますか」と言うと「していないと」言うのです。「サンプルを半分くらいの方にお渡ししましたよね、その後のフォローは?」「していない」と言うのです。どうしても雑な営業をしている。良い例が帰りの飛行機の時間を気にされて、あと数時間で日本に帰らないといけないから「はい、これカタログ、これは価格表、やっておいて。」と、こういう営業をするわけです。日本国内でやってはいけない営業というものがあったとしたら、いきなり名刺交換と共に商品を売りつけて、価格の説明をして「買え、買え」と。その後フォローをしないと。これは売れるはずないではないですか。それをやっちゃってるんですね。
森辺:日本国内で基本的にルート営業をしているではないですか。海外に行くと当然新規なので、ルート営業のまんま、感覚のまんま海外に行ってやっていると。国内で新規やれれば海外の新規をやれると、そういうことなのですかね?
山本:そうですね。ただ国内で新規開拓をすごく頑張っている企業様がうちは多いですね。というのも、海外に中小企業の方を導こうと思ったときに、全く日本国内で汗かいていない、営業したことがない、たとえば経営に戦略もなくて目標もあまりない。こういう方々はそこの指導というか動機付けからやんなきゃいけないので、既に展示会に出ていたり、英語のホームページをもたれていたり、積極的な企業様だけを我々ターゲットにやっているものですから、みなさん営業が強い方が多いのですね。でもそういう方々が我々累計で3000社フォローをしているのですけども、九十数%の方々は海外ビジネスになると非常に雑、いい加減。
中には、たとえば今回のドバイで言うと「山本さん、石油王紹介して。」と言うのですよね。「その方と会ったところで何か進むのですか?」という話なのですけど、何かこう日本国内では信頼関係とかすごく大事にされる方が、海外になると、楽して宝くじではないですけど1発当てたいみたいな。そうすると向こう側の方から見ると「何だそれは」という話になってしまうのです。
森辺:日本では絶対やらないことを海外でやっちゃってるという。それは難しさの原因なのですかね。
山本:せっかく良い商品があって、競争力があるのに、営業というところはちょっと雑になっている。ここを私共はすごく指摘をさせていただいて。成功している企業はそこを、別に難しいことをしていなくて、みなさんが日本国内で代々やってきたことと同じようにやればいいんですよということを、すごくメインで提唱させてもらっているんです。
森辺:そうすると、当たり前のことを海外でも当たり前にやらないと商品なんて絶対売れないし、何かこうとてつもない課金ショットやラッキーパンチが起きるなんてことはないですよと。
山本:そうですね。
森辺:当たり前のことを当たり前にやりましょうと。社長なんかは当たり前のことというのがやはり過去のキャリアで営業の当たり前のプロセスが、多分ものすごく進んでいるというか、レベルがこう。
山本:そんなに難しいことじゃない。たとえば説明と提案は違うではないですか。説明というのは自分の商品のスペックを言って、価格を言って、サービスなりサポートなりを言うんですけど、提案というのは相手のニーズに合わせてそれを提案するわけでございまして。やはりさっき言った通り名刺交換をしていきなり製品のカタログを出して価格表を出してではなくて、名刺交換をしたらまず相手の人が何屋さんで、どんなネットワークを持って、どんなお客さんを持って、そして何がしたいのか。相手の人の目標を聞いて、現状を聞いて、相手の人のギャップですよね、目標と現実の差を聞いて。それを解決するには当社のこういうものはいかがですか?と。これが提案になるわけですね。
もしくはこれが営業だと思うんです。別にただ説明するだけだったらYouTubeで連続再生しておけばいいわけで。提案というのはヒアリングが入るわけですね。ヒアリングというのは、道歩いている人に急に「会社の目標は?」と「悩みは?」と言っても教えてくれないわけで、期待されたり信頼を得ないと、相手は本音で会社のことを告白はしてくれませんから、最初に親しくなる。これが非常に重要だと思っているんです。ですから、焦って結論からいくのではなくて、まず海外の人とフェイスtoフェイスで親しくなって、その上で相手のことをよく知ってですね、その上で提案をしていければ、大抵のものは売れるんじゃないかなと。
森辺:そうすると中小企業の海外販路開拓というのは、当たり前のことを当たり前に丁寧に進めていくということが1番重要ですよと。
山本:そうです。非常につまらない話で申し訳ないですけど、本当に当たり前のこと。
森辺:重要だと思います。
山本:そのことを忘れないでということです。
森辺:なるほど。分かりました。そうしたら今回はお時間が来てしまいましたので、山本社長、次回もよろしくお願い致します。
山本:お願いします。
森辺:ありがとうございます。
山本:ありがとうございます。