東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続き山本社長をお迎えしているのですけども。
森辺:引き続き、グローバルパートナーズの山本社長、どうぞよろしくお願いします。
山本康二(以下、山本):よろしくお願いします。
森辺:前回、中小企業の海外販路開拓みたいなところで、なぜダメなのか、どうやって成功するのだというところで、信頼関係を築くということ、それからバックトゥザベイシックではないですけど、本当に基本を忠実にやっていかないといけない、海外だからと言って何かモヤ~としたラッキーショットに頼ってはいけないのです、当たり前のことは当たり前にやりましょうみたいな話があったと思うのですけどね。
私、先日発行された経営者通信さんの記事で、御社のドバイの取り組みを拝見したのですけど、今山本社長、「日本の中小ベンチャー企業に告ぐ。ただちにドバイへ飛び、新たな販路を生み出せ。」という見出しが出てますけど、ドバイで何をやられているのですか?
山本:日本の中小企業さんがドバイに集まるべきだと提唱していまして。ドバイでビジネスをすると最初に事務所とか会社設立とかで各社数千万かかるので、それをジャパントレードセンターという協同出店形態の法人をドバイ政府に許可をされてですね、初期費用がほぼかからない形で日本の中小企業の方々がジャパントレードセンターでいきなり営業が出来るというパッケージを作ったんですね。そこに恐らく年内に50社ぐらいは営業マンを出してくると思うのですけど。そうすると、初めての海外との商談で英語とか貿易とか営業とか様々な経験がない方々が、それぞれ強みはあるわけですね、みんなで強みを持ち寄って人材を育成したり。そして人脈。海外でどんどん出来る人脈をみんなで共有化していこうと。
たとえば、自分がアパレルを売りたくて相手が、アニメが欲しいと。そうしたら仲間でアニメがいたら紹介すると。こんな日本の中小企業さんが海外でビジネスする上ですごく障壁となる部分を取った環境を作ったのですね。1人でたとえば中小企業の社長が、息子さんの次期社長候補をドバイにポンと「営業してこい。」と出しても、朝、昼、晩何しているか分からないし、不安でしょうがないですよね。「ちゃんと活動しているのか」と、「生存しているのか」と。
森辺:なるほど。そうするとそういう思いをもたれた中小企業、ベンチャー企業がみんなでまとめてドバイで販路を作っていきましょうと。そういうものを取りまとめるサービスを展開していると。
山本:そうなんです。今年の春から準備をして、この4月にグランドオープンするのですけど。たとえば私がドバイで、ドバイというのは100万人ぐらい商人が常にいるので、商談をする数というか打席数は多いのですけど、結局そこから「はじめまして、日本の山本です。」という風に言っても、正直お互いに周りにいっぱい面白い商品を持っている商人もいますから、なめられてしまうというか、そういうのがあるのですが「ジャパントレードセンターです。」と。「日本列島から全ての面白い、ユニークな商品を持ってきていますよ」と。「営業マン50名揃えますよ」と言った瞬間に向こう側はすごくビックリして、「ぜひ何かやろう」と。向こうのオーナーさんが出てくるのです。その辺が、ショートカットが出来るのも我々の強みかなと。
森辺:ドバイというと中東はもちろんなのですけど、インドとか欧米、アフリカ、世界中への販路のハブみたいな役割もあるし、ドバイだけで見ても人口は少ないものの1人当たりGDPなんてべらぼうに高い国。
山本:そうです。あの地域は日本よりも1人当たりGDP高いです。
森辺:どんなもんなのですか?
山本:簡単に紹介させてもらうと、ドバイってのはメナサ地域の中心と言われるのですけど、メナサというのはミドルイース、ノースアフリカ、ソースアジアとかサウスアジアとかということなのですけど、あの地域の特徴としては石油、天然ガスが世界の埋蔵量の5割弱ございます。それをベースに1人当たりGDPが高いのです。ドバイはよく勘違いされるのですけど、石油がほとんど出ないのですね。ドバイのGDPに占める石油というのは、もう2、3%。ですから、ドバイという国は国をあげて商業の街を目指そうと。よく観光とか不動産、金融の都市と言われるのですけど、ベースは商人が集まる街なのですね。逆に所得が毎月ない方はビザも出ませんし、非常に治安もよくてですね、世界中から商人を呼び込むということに成功した街だと。
森辺:しかも経済規模としても結構GDPも高いのですよね?
山本:そうです。ドバイを中心とした地域、メナサもしくはメナ地域と言いますけども、日本と同じかそれ以上ございます。それにこれからどんどん成長していくと。ASEANの合計値の2倍弱あるという風に聞いていますね。
森辺:ということはASEANをポツポツ単独で中小企業が大変な地域に行くよりも、ドバイにワンパッケージでドーンと行ったほうが成功する可能性が高いかもしれないですね。
山本:ASEANも我々のお客様と共に今まで挑戦してきました。ただ、まだ1人当たりのGDPが3500ドルぐらいですね。日本の12、3分の1。インドが1500ドル。それに比較すると、この地域は4万ドルを超えていますし、地域によっては7万ドルというのもございますので、物が高く売れるのですね。やはり貧しいところは日本大好きなのですけど、いつか日本のトヨタに乗りたいとか、資生堂が欲しいという。いわゆる日本でもすごく名前が売れているブランドを追うのですね。日本ですごく有名ではないけれども、知る人ぞ知るブランド。こういうものはまだASEANでは売れないと思うのですね。でも日本国内と同じように成熟してくると、本当に私が良いと思ったものが好きなのですね。ですから美味しいもの、高機能なもの、便利なもの、ちょっとデザインが変わったもの、こういうものが高く売れるのですね。これが、私が注目している1つのポイントですね。
森辺:結局中小企業の問題として、海外に生産拠点があるかというとなかったり、仕入れもそんなにたくさんではないので仕入れコストが高かったり、そこで作っている商品の値段を下げるということが大企業に比べると一般的には難しいですよね。そうするとその付加価値をそのままの出来れば価格帯で欲しいと言ってくれる国があるのが1番適している。
山本:そうです。逆にそれを強みとして、たとえば今一緒にやっている醤油屋さん。これは伝統的な醤油屋さんですけど、大手の醤油屋さんと違って私どもは納品直前にお客様の舌に合わせた、レストランに合わせた味にちゃんとカスタマイズして納品するのですね。こういうのは中小企業の付加価値、差別化でありまして、そういうものを十分活かして、決して価格競争ではなくて、ちゃんと付加価値を認めてもらって売れる市場というのがドバイ。
森辺:醤油屋でも500億、1000億やりましょうという話ではないのですものね。
山本:違うのです。逆に石油王の人から1000億分注文が来ても困ってしまうのが中小企業なのです。
森辺:よい良いものを、利益率を高く、数億円の商売をしましょうという。
山本:そうですね。もう1つ注目したのが、インドという国ですね。ここは13億弱いるのですけど、彼らが世界中に輸出をしているのですけど、輸出ランキングトップ3というデータをジェットのホームページで見まして。第3位が中国なのですね。第2位がアメリカ合衆国。第1位がこのドバイを中心としたUAEという国ですね。UAEは本当に800万人とかしか人口がいないのですね。それがなんで3億人、もしくは13億人いる中国やアメリカよりも物をインドから買うか。もしかして1日何十食も食べているのかな?そうではなくて、再輸出と。結局関税もかからない、様々な支援策があるのでインドの人たちは物を作ったらまずドバイに持っていく。それから世界中に拡散してくれる。要するに世界のバイヤーが集まっていますので、そこでセールスをして各国に船や飛行機で運んでいくというのがドバイの特徴なのですね。
森辺:そうするとドバイに中小企業をバルクで連れて行って、そこで御社が世界中に拡散されるための支援をやっているという。
山本:そうです。特に僕が考えたというよりも実は中国がやっているのですね。中国がドバイでドラゴンマートというのをやっておりまして、もう4000社を超える。今年恐らく1万社ぐらい拡大すると思うのですけど、中小零細企業が協同で卸売り拠点を持っていて、もうすごいですよ。建物も端から端まで1.何キロあって、移動するのにゴルフカートみたいなので移動するのですけど。そういうのを見たときにこれの日本版が出来ないかなと。それがきっかけなのです。
森辺:それがJTCというのですかね。
山本:そうです。ジャパントレードセンター。
森辺:この詳しい案内はですね、経営者通信の、これ何月号ですかね?2014年の6月号にちょうど見開きで何ページですか、これ。すごい特集ですね。
山本:8ページですかね。
森辺:8ページ特集されているので、また経営者通信の発行元が確か株式会社幕末ですよね。
山本:そうです。
森辺:幕末さんにご連絡をすると多分送られてくると思うのです。
山本:タダだと思います。
森辺:そうですか。ぜひリスナーの方もドバイに興味があれば読んでいただければと思います。じゃあすみません、そんなドバイなのですけど、今どんなお客さんが多いイメージなのですかね。ドバイに進出をご支援している会社というと。
山本:前のサービスをやっているときから一緒なのですけど、日本のいわゆる中小企業の方々がメインでございまして。海外で売ろうという活動を既に数年間やっている方々。私と同じようにやっぱり手を抜いてホームページだけとか、展示会でパッと出張してサンプル配るぐらいじゃ無理だねと。私が言う通り人脈をちゃんと作っていかないといけないねというのを気付いた方々。そういう方々と共に協同で箱を作って今やっているのですね。
森辺:そこに箱を作ってしまえば、あとは御社が現地での販路開拓をご支援しますよと、そういう。
山本:そうです。非常に実勢の強いお客様だらけなので我先にと人脈をみんなが取りに行くのですね。向こうの面白いところはですね、出会った方がいっぱい、中東は一夫多妻制だったりするので、兄弟とかすごく大事にしてて、たくさんいるのです。ですから、出会った方が銀行員だとか旅行会社だとか、どこそこに勤めている、どこそこのオーナーだから、金持ちだというよりもまず隣に座っている人、レストランの隣に座っている人と名刺交換をして仲良くなるのですね。そうすると気に入ったということでどんどん友達を紹介してくれるのですよ。1人が10人紹介して、その10人の先の1人がまた紹介してくれると。まさに人脈の中で細かいヒットも生まれるし、ホームランみたいなのもいくつか出てきているのですね。ですから、これは昭和時代、江戸時代の匂いがするなと。これがすごく面白いですね。
森辺:日本で見ているとドバイにね、実は僕もドバイは面白いなとずっと思っているのですけど、ドバイをターゲットにご支援している会社って、他にあまりないですよね。
山本:みなさん今ASEANとかが中心だと思うんです。日本の中小企業の海外、中小企業に限って私は詳しいほうだと思うのですけど、たとえば海外に輸出したと。取引あるよという方々の大半が日系企業に行っているんですね、海外の。それを日本語で日本の延長線上でやっているという。もう1つの流れとしてはやはり安く作ろうと。海外進出イコール海外で安く作るになっちゃってるんですね。私の持論はやはり日本の中小企業の強みは高い付加価値というか、ある商品が作れる海外の特にアジアの企業よりは良いものが作れると。この差をどんどんキープしていく、開いていくことが重要だと思っているんですけど。海外でパッと安く作ってしまうと、たとえばイノベーション。こういうものが置きづらくなるんですね。やはり製造現場と販売と経営がバラバラ、違う拠点にあると。あとは技術の伝搬とか職人の育成、こういうのも半分放棄してしまうと。そうすると、たとえばずっと中国で作ってもっと安く作りたいから今度はベトナムだ、ミャンマーだ、今度アフリカだと。こればかりやっていて売る努力をしないと、どんどん自社の強みを失ってしまうんじゃないかなと。私どもは海外で売ろうよということを強調して活動しているのです。
森辺:大企業もそうなのかもしれないですけどね、ダメな会社さん…ダメな会社って言うは大変おこがましいですけど、あまりよろしくない会社さんって、コストを下げるために生産拠点の移転ばかりを繰り返しているのですけど、ベトナムからミャンマー行ってどこどこ行って最後宇宙まで行くのですか?最後まで物を作るのですか?みたいな。
山本:30年もやったら全く自分の会社がどこ向いているか分からなくなっちゃう。今作っている商品と同じ水準で海外には出来るのですけど、イノベーションが起きないので、だんだん世界の水準が近寄ってきて、自分たちが前進出来ないんで。
森辺:首絞めるだけ。
山本:去年より良いものを作ろうというのが出来づらくなっている。
森辺:売るという、いわゆるマーケティングのほうに力を入れろと、そういうこと?
山本:そうです。そこをちゃんとやろうと。
森辺:面白いですね。リスナーの方もぜひ経営者通信に詳しく記載がありますので、また読んでいただいて。山本社長の会社のグローバルパートナーズのホームページにも案内があったり。
山本:というかセミナーが良いですね。私、5人、3人集まればどこでも行きますので。
森辺:そうらしいので、ぜひセミナーに行っていただければと思います。
山本:呼んでいただければ。
森辺:山本さん、今日もお時間が来ましたのでまた次回引き続きよろしくお願いします。
山本どうもありがとうございます。