【本の解説】マレーシア市場 近代小売市場に関する考察
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も『ASEAN6における販売チャネル戦略』 同文舘出版から私が去年出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。今日は第8章、191ページ、主要小売プレイヤーのお話ですね。タイの主要小売プレイヤー、ざっと説明すると、1番の…。タイじゃない、ごめんなさい、マレーシアのね、マレーシアの近代小売の主要プレイヤー、小売の主要プレイヤーをざっと紹介すると、やっぱりロータスが一番上に来ます。ロータスはもともとテスコのブランドでね、タイのCPとのジョイントベンチャー、英国のスーパーマーケットのテスコのジョイントベンチャーで。2021年だったと思いますけども、CPがテスコの東南アジア事業を全部買収したんですよね。それでロータスのブランドで再出発しているので。タイ企業というふうに思ってもらったらよろしいと思います。今ね、62店舗、ちょっとすみません、若干増えているかもしれませんけども、マレーシアで最も主要な小売の1つですよというのがロータスですね。
次がね、イオン。もしかするとね、ちょっとイオンもだいぶ頑張っているので、イオンとロータスがだいぶ競っている状態だと思いますけども。ASEANで最もイオンの店舗数が多いのは、実はこのマレーシアで。マレーシアは親日ということもあって、日本の企業がほんとに早くから出ていますし、イオンはイオンモール、イオンストア、マックスバリュー、それから、イオンウェルネス、ダイソーの5ブランドで展開をしていて、170店舗以上、確かあったと思います。ほんとに、イオンと言えばマレーシアにもうほんとに浸透している。マレーシア人にとってなくてはならない存在。これを見ても分かる通りね、上位1位2位がタイと日本の小売なんですよね。地場の小売じゃないんですよね。だから、非常に面白い市場であると。
3番目、ジャイアント。これも香港系なんですよ。デイリーファームインターナショナルって有名ですけどもね、このデイリーファームの傘下の小売ですから。4番手がエコンセーブキャッシュ&キャリーですね。エコンセーブキャッシュ&キャリーは、これが唯一地場の小売で。もともとね、セランゴール州の町で、ポートクランという町で雑貨店として始まったのが起源だというふうに言われていて、これが4番手。中間層に愛されている、そんなとこですね。5番手にザ・ストアですね。ザ・ストアはね、マレーシアで現存する最古のスーパーというふうに言われていて。1968年にペナンで実はオープンをしてね、今、80店舗ぐらいあるのかな、グループ全体で。ということで、ロータス、イオン、ジャイアント、それから、エコンセーブ、そして、ザ・ストアということで、上位3社は外資系ということで、マレーシアは外資が強い。外資規制が逆に言うと弱かったというか、外資規制をして地場の小売を守るほど地場の小売が成長していなかったから、どんどん外資の小売に入ってきてもらって市場をつくってもらったというふうに言ったほうが正しいかもしれませんが、そういう市場であると。
コンビニに関しては、セブンイレブンが2,400店舗ぐらいあって一番大きいですね。次がね、99スピードマートというのがあるんですけど、これがだいたい2,000店舗ぐらいですね。3番手がメスラで、これはペトロナスのガソリンスタンドに併設されている。マレーシアって結構ガソリンスタンドとコンビニがセットになっているので、それが800店舗ぐらい。あと、セブンイレブンにロゴが似ているので、セブンイレブンのセカンドブランド?みたいに一瞬思ってしまうんですけど、KKスーパーマートというのがあって、これが570店舗ぐらい。あとは、マイニュースですかね。マイニュースが、この名の通り、キオスクみたいなね、もともとは新聞とか雑誌を売っていたような販売店がコンビニ化したというのがあって、この5つが主要どころです。
マレーシアのセブンイレブンもね、たぶん私がシンガポールに住んでいた1980年代にシンガポールに初めてセブンイレブンができて、そのあとすぐマレーシアにもできて、みたいなね。それで、今、じゃあ、80年代から90年代、2000年代、2010年代、2020年代、40年経って2,400店舗ですから、じゃあ、次の40年でこれが爆発的に数万店になるかと言うと、僕はならないだろうなというふうに思います。頑張ってもっと増やしていくとは各社言ってますけども、なかなかやっぱり厳しいのかなというふうには思いますね。タイみたいな状態、1万3,000店、1万4,000店みたいな状態にはなかなかちょっとなりにくいのかなと。小売市場規模も16兆と13兆で、2~3兆ぐらいしか違わない、2~3兆って大きいですけども、でも、経済規模もだいぶ近しくなってきていて、一方で人口が倍ぐらい違うんですけども、でも、やっぱりタイみたいにはならないのかなというふうに思いますかね。
マレーシアの近代小売の特徴は、3大小売はいずれも外資系。これはさっき言いましたね。そんなところですかね。あと、そうそう、重要なのはね、ブミプトラ、皆さん、ブミプトラって聞いたことあると思うんですけど、政策なんですけど、どういう政策かと言うと、いわゆる内政上、重要課題として、各民族間の調和を図りつつ、相対的に貧困なマレー系の経済的地位を引き上げることを目的にしている政策で、1971年にマレーシア政府が初めてこれを、ブミプトラ政策を施行したんですよ。それでね、この小売の外資規制はないんだけども、小売店の中で働いている従業員の何割をマレー系にしなきゃいけないとか、あと、小売店で売っている商品の何割はマレーシア産にしないといけないとか、こういう規制がいろいろあるんですね。なので、いわゆる小売に外資規制をかけたというよりかは、小売の中で売られているものに外資規制をかけたみたいなところがあるので、そこは1つ注意が必要ですよねということでございます。輸出でやれることに規律で限界がありますから、小売側にね、それはちょっとしっかりと見ていく必要がありますね、という感じですかね。
あと、伝統小売に関する考察は、また次回にしましょうかね。194ページから伝統小売に関する考察をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。