森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、アジア新興国市場における販売チャネル周り、ディストリビューション・チャネル周りについて、ちょっとお話をしていこうかなというふうに思うんですが、日本の製造業が、B2Cの製造業、B2Bの製造業問わず、抱えている問題というか、課題、よくある問題、よくご相談いただく課題みたいなところのお話をちょっとしていこうかなというふうに思うんですが…。
まずね、ディストリビューターのブラックボックス化というか、ディストリビューターにブラックボックスにされてしまうという問題が1つあって。これは結構そんな少ない話ではなくて、意外に多くの製造業がアジア新興国市場でディストリビューターを使って商品を売る上で、そのディストリビューターの先の二次店とか三次店の情報であったり顧客の情報をブラックボックスにされてしまうと。どういうケースでこういうのがよくあるかと言うと、やっぱりまだ輸出のステージで海外展開をしているような企業の場合、もう言っても20年とかね、30年とか場合によってはお付き合いしているんだけども、だいぶブラックボックスですと。自分たちの使っている二次店、何社かぐらいまでは教えてくれるんだけども、リストで二次店のリストが出てこないとか、あと、クライアントの情報がリストで出てこないとか、また、クライアントと会いたいということを言うと、そこはわれわれがやるから大丈夫だということで、なかなかそこに対しては協力的ではないということで。
この問題って、結局、ディストリビューター、問屋さんだけでは解決できないことというのは、セールス&マーケティングの中にはたくさんあって、基本的にそのディストリビューターの競争力も、メーカー側はあんまり把握できてなかったりするんですよね。なんとなく良さそうだとか、なんとなく悪そうだとか、昔は良かったんだけど、今は世代交代してあんまりだとか、そういう状況で。例えば自分たちのインダストリーの中で自分たちの使っているディストリビューターがほんとにどういうポジション、どういう順位にいて、何が得意で何が不得意で、どこまで顧客を持っていて、どこまで持っていないのか。結局、地域もそうですけど、インダストリーもそうですけど、B2Bなんかは特にインダストリーで分けたら、A、B、C、Dぐらいのインダストリーで商売があって、だいたい1個2個ぐらいがすごく大きいと。そうすると、Aのインダストリーではすごく強いんだけど、B、C、Dのインダストリーはほとんどお客さんを持っていないというか、チャネルを持っていません、口座を持っていませんみたいな場合、いくらそのディストリビューターにB、C、Dのインダストリーをやらせていても、これは絶対に永遠に成果は出ないし。これは地域も一緒ですよね。Aという地域に所在しているディストリビューターで、Aという地域の配荷はある程度セールス含めてできるんだけども、一方でB、C、Dみたいな地域に行くと二次店使ってます、三次店まで使ってますと。ディストリビューター自身も顧客が見えていませんみたいな例って結構あって。そうすると、やっぱりAという地域に関しては独占を与えてもいいけど、B、C、Dに関しては独占を与えている意味がそもそもないみたいなね、そこはメーカーとしてやっぱりB、C、Dそれぞれの地域に強いディストリビューターをやっぱり指定していかないといけない、選定していかないといけないという。これがなんとなくうやむやになったまま、だらだらと惰性で進んでいるみたいな状況って結構あって。
とにかくディストリビューターがメーカーにディストリビューターの先の情報をブラックボックスにしている状態ってあんまり健全な状態ではなくて。そもそもなぜそういう状況になってしまったのかと。おそらくたぶん取り組み始めたときはそうではなかったというケースもあれば、取り組み始めたときは大してそんなに市場を重要視していなかったので、あまり力を入れてないまま、やれるのならやってください、注文くださいねぐらいの話でやっていたとか、いろんな経緯があるわけなんですけども、その時間軸の中でたぶんいろんなことが起きていて。これは決してね、そういう状況になってしまったことは、必ずしもディストリビューターだけの責任かと言うと、そうではなくて、メーカー側にも責任があって。かつてもしかするとディストリビューターは、こうしよう、ああしよう、そうしようといろいろ投げかけをしていたんだけども、メーカー側がそれに対応しきれなかったとかね、結局、回答が全然ないとか、そうこうしているうちに担当が変わってしまって、なんかよく分からない状態がもう何年も、10年も繰り返されているとか、そういう経緯もあるので。
ただ、その過去の経緯がどうであれ、今の現状のこのブラックボックスの状態というのはやっぱりまずいので、まずは第三者機関を使って、弊社でなくてももちろん結構ですけども、状況を可視化するということはやっぱりすごく重要で。今のディストリビューターがどういう顧客を持っているのか、これは可視化できますから、調査できますから。どういう二次店を使っているのか。そもそも今使っているディストリビューターが競合他社のディストリビューターと比べてどうなのかみたいなところも含めてやっぱり可視化をして、その上でメーカー側が仮説なり戦略を持ってディストリビューターと話しに行く。数字で話すと。数字とロジックで話さないと、感情で話しても向こうも感情をぶつけてくるだけなので。数字で話をしても理解を得られないんだとすると、やっぱりプランBに移行していく。このディストリビューターとの関係が切れる、もしくは切れた、もしくは切るということを想定したときにどういう準備をしておく必要があるのかということをベースにチャネル戦略を組み上げていかないといけないので。ブラックボックスの状態を続けるというのはやっぱり難しいですよね。なので、ブラックボックスを可視化するということが大変重要になります。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。