森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日は、マーケティングの話をしていきたいと思います。対象は、アジア新興国市場全般です。B2B、B2C、両方対象になります。自分たちの事業に置き換えて聞いていただければと思います。
今日のお話はね、「誰に売るのか」ということと「誰と売るのか」ということについてお話をしていきたいなというふうに思うんですが、皆さん、このマーケティングにおいて、「誰に売るのか」ということと「誰と売るのか」ということってどちらが重要だと思いますかということなんですが、結構このアジア新興国市場における企業、製造業の展開を見ていると、「誰に売るのか」ということのほうが「誰と売るのか」よりも重要ですと。なぜならば、「誰に」は顧客なので顧客が重要ですと言いながらね、やっていることを見てみるとディストリビューターみたいなね、顧客に到達するのはやっぱり現地のディストリビューターのほうが上手なので、もしくは自分たちは現地のことは理解が浅いので、ディストリビューターにお願いするということで、ディストリビューターの選定に躍起になるっていう企業がものすごく多くて。「誰に売るのか」という、このターゲットですよね、が非常にアバウトになっている企業というのは結構多くあって。僕は、これはディストリビューターの選定は重要ではないと言っているのではなくてね、非常に重要です、ディストリビューターの選定は。ただ、一番最初に決めなきゃいけないのは、「誰に売るか」をとにかく明確にすることなんですよね。
例えば、B2C、消費財のメーカーだったら、まず一番重要なのは消費者ですよね。どういう消費者に売るんですか。もちろんアジア新興国市場なので、中間層であるということは間違いないんだけども、中間層の中でもどういうエリアに住んでいて、どういう所得のレンジの中間層で、そして、どういうライフスタイルとかトレンドを持った人で、どんな特異性のある消費者なのかっていうことが1つ大きくあるわけですよね。でも、それを、ダイレクトマーケティングではないですから、小売を通じて売っていくわけで、多くの消費財のメーカーは。そうすると、消費者が、一番重要な、自分たちにとっての一番重要な消費者が、どの小売に最も接点があるのかと、言ったらどの小売で一番買い物をしているんですかということを考えていったときに、例えばフィリピンだったらSMだ、ピュアゴールドだ、ロビンソンズだとかね、タイだったらセブンイレブンだ、ロータスだみたいな話になってくるわけですよね。そうすると、自分たちが優先すべきその小売の、まずは筐体ですよね、コンビニ系なのか、スーパー系なのか、何系なのかっていうのがあって、じゃあ、業態を選んだら、今度は、じゃあ、コンビニだと言ったら、コンビニの中でもセブンイレブンからまずやっていくとかね、こうやって絞り込んでいくということはすごく重要で。
B2Bの場合は、もうこれはとにかくエンドユーザーで、必ずしも大都市が顧客でない場合がある。B2Bというのは、基本的にはいわゆるオフィス向けにビジネスをしているB2Bと、産業が集積している、いわゆる工場向けにビジネスをしているところを分けられたときに、後者の場合はやっぱり産業集積地とかインダストリーみたいなのがすごく重要で。インダストリーというのは、自分たちの部品は自動車業界でも使われているけど通信業界でも使われていますみたいな話だと、どのインダストリーの事業が一番大きいんだっけと、この国はどのインダストリーの産業が集積されているんだっけということで、産業集積地に行かないと意味がないということね、インダストリーごとの、B2B。一方でオフィスを対象としているようなB2Bは、もちろんこれはB2Cと同じ大都市、特に首都を中心とした大都市が中心になってくるということはそうなんですけども、そういうところが重要になってきて。
この「誰に」というのは、もうエンドユーザーでバイネームで挙げていくということがすごく重要で、ここ、それぞれね、B2CもB2Bも、自分が挙げた、B2Cだったら小売、B2Bだったら企業名、ここに対してリーチができるディストリビューターが唯一の選定基準なので。ディストリビューターの選定のときに、大きいところとか財閥系だとかっていうことが言ったら選定基準の本当に重要な大部分を占めているというケースがすごくあって、確かに大きいところは安心だよねと、実績もあるよねと。でも、ただ安心とか実績って他社との実績なので、これから参入するとか、まだまだ商売が小さい自分たちの商品を同じように扱ってくれるかと言うと、やっぱりこれは違うので。そうすると、本当にフォーカスがぶれてしまう。重要なのは「誰に売りたいのか」なので、本当に、B2Bだったら、この10社に売れますかとかね、この20社に売れますかというところをベースにディストリビューター決めていかないといけないし、B2Cだったら、この小売、セブンイレブンのこの棚にこういうふうに置けますかとか、SMのこの棚にこういうSKUでこう並べられますかとかっていうことをベースに決めていくべきなので、基本的には「誰と売るか」よりも「誰に売るか」ということのほうが圧倒的に重要ですよと。まずは「誰に売るか」を明確にするということをやれば、必然的に「誰と売るべきか」ということは見えてくるよというお話でございました。
それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。