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日本企業のグローバル化に対する課題

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日からいよいよ本の解説ではなくて少し課題を、毎回毎回テーマを変えてお話をしていきたいなというふうに思います。

今日のテーマは、日本企業のグローバル化に対する課題、グローバル化と言っても私の専門はアジア新興国市場なので、アジア新興国市場における日本企業の展開に際する課題みたいなところのお話をしていきたいなというふうに思います。日々、クライアントの業務をしている中で感じること、また、20数年のこのキャリアの中で見てきた企業が一体どういう課題感を持っていて、何に苦しんでいるのかみたいなところをちょっとお話をしていきたいなというふうに思うんですが…。

最初のスライドをお願いします。まず大前提として言えるのは、日本の製造業がアジア新興国市場に展開する際に抱えている課題は、何か非常に高度な類のものかと言うとそうではなくて、非常にシンプルというか、レベルで言うと初歩的なレベルにある課題が非常に多いなと。非常に共通している事項がたくさんあって、簡単に言うとマーケティングの全体最適よりも、プロダクト重視の戦略に舵が完全に切られてしまっている。この図の通り、マーケティング全体を最適化する、いわゆる4Pとか4Cをいかにターゲットに当てていくかということはすごく重要で、マーケティングの権威、世の中のマーケティングの権威というのは、モノが売れるということは、ターゲットに対していかにこのプロダクト・プライス・プレイス・プロモーション等のマーケティングミックスが最適化されているかだというふうに言っているわけですよね。それがどうしてもプロダクトだけ、極端な話、1Pになってしまっている、プロダクトのP。いかにそのプロダクトがプレミアムなのかということだけが重要視されていて、プロダクトがプレミアムだからほかの3つのPは、どうでもいいとは言わないけども、かなり軽視されてしまっているという状態になっていて、結局いろんな理由をつけるんですけども、突き詰めていくとこうなっているケースというのが非常に多い。プロダクトが良いからプライス少し高めでもいいよねと。B2Cだったら、やっぱり他の商品、同じカテゴリーの商品が100だとしたら、それが120、130までだったら許容できても、やっぱりこれが150、200とかっていうとなかなか難しくて。じゃあ、その価格の違いを証明してくださいと言ったときに、どういう証明ができるのかと言うと、ほとんど、「いやいや、品質が良いんだ」と。品質が良いんだけども、それって目で見て分からないし、伝わらないわけですよね、品質の良さって。一方で、じゃあ、プロモーションを使って品質の良さを伝えきっているのかと言うとそうではない、伝えきれていないということなので。品質がそれだけ良いんだったらね、だから私たちの商品は30%高いんですと。であるならば、この30%高い、品質が高いから30%値段も高いんだということをしっかりとプロモーションで伝えきらないと、なかなかやっぱり認められない、消費者に認められない。これはB2Bでもそうですよね。ユーザーに高い理由をしっかりと説明が伝わりきっていない。そこはやっぱり売れてから予算をかけようみたいなね、後回しになってしまう。

一方で、よく、アジアなんかに行くと、専用棚をつくったりとか、あと、レジ前にロシェという、こういう金の、金紙に包まれた丸い3つぐらいのチョコレートで、ウエハースと中にドロッとした生チョコが入っていて、彼らの工場って、人がいない無人の、ほぼ無人工場で、すべてが自動でつくられている。一方で、でも、彼らのプロモーションというのは、あたかもこの白いパティシエみたいな、帽子を被ったヨーロッパ人のシェフがあたかも手づくりでつくっているようなCMを流しているんですね。なんだけども、実際はもうガッチャンガッチャン機械でつくっていますよと。ただ、幾分か高い。高い分、そんな3割も高くないですけど、幾分か他のチョコレート菓子のカカオの分量とグラム数に比べたら幾分か高いんだけども、それはやっぱり消費者が、これは手づくりなんだというイメージをね、手づくりでは実際はないんだけども、持っているからそれが許容されているみたいなね、非常に分かりやすい例だったりするわけですよね。だから、いかにプロダクトが良い、プレミアムだ、品質が良いということを押し出すのは全然構わないんだけども、だとすると、それをしっかりと伝えていくということをしていかないと、伝えきれていないから、「品質が良いんです」「いや、それで3割はね」という話になってしまうので、もし品質が良い路線、プレミアム路線でいくんだったら、それを徹底的に伝えるということをやらないといけないし。

一番多いのは、やっぱりプレイス、チャネルの脆弱性が非常に多い。同じ消費財メーカーでも、B2Bの製造業でも、同じ業種で販売チャネルを比べてみると、もうチャネルのストラクチャーそのものが違う、これだけのストラクチャーしかないんだったら、それは配荷率、ストアカバレッジってこれぐらいしか伸びないよねとかね。一方で、やっぱりシェアが高い企業というのは、ストラクチャーそのものが非常に完成されているし、そのストラクチャーの中で活動している組織、セールス組織であったり、そのセールス組織のマネジメント方法が非常に確立されたものになっているので、チャネルも1つ非常に大きな問題ですが、大きく言えばやっぱりプロダクト、この図の通り、プロダクト1点が重要視されてしまって、マーケティング全体の最適化ができていないということになるかと思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また皆さん、次回お会いいたしましょう。