森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、フィリピン市場のお話をしていきたいと思います。対象はFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーです。B2Bの製造業のリスナーの方がいらっしゃいましたら、皆さんの事業に置き換えてお話を聞いていただければなというふうに思います。
今日はフィリピン市場、3回目ですかね、今日で最後にしましょうね、フィリピンはね。今日は伝統小売、フィリピンの伝統小売の特異性、特殊性についてお話をしていきたいなというふうに思うんですが、まず最初に、フィリピンの近代小売ってどれぐらいの数あるんですかというところで、前回とかお話した、SM、ピュアゴールド、ロビンソンズ以外にもいろいろありますよと。その中でも、全部合わせても弊社の最新のカウントでは9,400店舗ぐらい、1万店足らずぐらいの近代小売があります。一方で、じゃあ、伝統小売ってどれぐらいあるの?というお話ですけども、80万店ぐらい存在します。おおよそ金額ベースで、これは食品および日用品カテゴリーにおける近代小売と伝統小売の比率(金額ベース)ということで、だいたい80万店ぐらい存在しますねと、このスライドですね。80万店存在する中で、この伝統小売が、まず、消費者にも非常に多く求められている。80万店存在していて、これはむしろ若干増え続けているということで、これはやっぱり消費者にまず求められていますよということと、それから業界、業界にも求められている。例えば、これは面白い、行政にも求められている。行政に求められているとはどういうことかと言うとね、例えば今回のコロナ、パンデミックの間ね、ベトナムの伝統小売なんていわゆる営業停止を強制的にさせられて、基本的に商売ができなかった、苦しい時期が非常に長く続いた。一方で、フィリピンの伝統小売は、行政から低金利の支援ローンが出たり、フィリピンは高利貸しが結構いっぱいいてね、もうお金を貸して首を回らなくしてしまうみたいな人たちが結構いっぱいいるので、そういうのをさせないためにもね、行政が結構伝統小売、サリサリストアのオーナー向けのローンをコロナ中にやったというのが1つあるんですよね。
次のスライド。この近代小売ね、スーパーとコンビニがありますけども、この、例えばスーパーのピュアゴールドとかSMね、スーパーマーケット、それからロビンソンズなんか、特にピュアゴールドは伝統小売向けのサービスを提供していて、それがどういうサービスかと言うと、その次のスライドになるんですが、この写真の通り、この左上の写真は、これは伝統小売のお店の店構えそのものなんですけど、いわゆる伝統小売売れ筋トップ10、トップ12みたいな商品だけが置いてあって、サリサリのオーナーがここに来たら、もう売れ筋はこれとこれとこれというのを選べるわけですよね。下がアリンプリンプログラムと言うんですけど、サリサリストアのオーナーが買い物をするためのレーンで、これは小さいサイズ、入数・グラム数が小さくなって20個入りとかになっているようなものね、それを持って帰ってばらして1個から売っていくわけですから、サリサリのオーナーは。そういうふうになっていたりとか。あと右の図、ホールセールのレーン9~18と書いていますけど、これは1~8は普通の一般の消費者なんですよね。ホールセールってサリサリのことを言っていて、サリサリのために買いに来るような人たちね、サリサリもいわゆる地域一番店みたいなサリサリは、ホールセール機能、問屋機能、問屋としてね、自分たちの地域の50ぐらいのサリサリのために仕入れの代行をしたりとかしますから、そういう人たちが並ぶレーンであると。なので、行政にも業界にも消費者にもみんなに必要とされている、そんな市場になっているんですよね。
ちょっとスライドを戻って。このコンビニエンスストアの2番手にある、1,200店舗ぐらいあるアルファマート、これ聞いたことありますよね、インドネシアのアルファマートですね、これがフィリピンに進出してきて、一気に店舗数を伸ばしていっているんですけども、ここもサリサリのオーナー向けのサービスを展開しているんですよ、デリバリー。いわゆるフィリピンは、やっぱりサリサリと、伝統小売と近代小売が共存する、そういう構造がしっかりと成り立っているというね、非常に面白い、特殊な市場が出来上がっているという市場でございますので、これからも伝統小売は引き続き、これはデジタル化がどんどん、どんどん、進んでいきますから、もう始まっていますけどもね、進んでいく、そんな市場になっていくというふうに思います。
主要3島の最後のところですけども、これ、次のスライドをお願いします。首都メトロマニラがあるルソン島、それからビサヤ、ダバオがあるミンダナオ島。ルソン、ビサヤス、ミンダナオ、この3つを横断するディストリビューション・ネットワークをつくっていく必要があるので、ここが結構重要。セブなんかもマーケット非常に大きいんですよね、実はね。だから、二次店、三次店経由でやるのか、それともセブはセブで強いところがありますから、そういうところを使うのか、そういうのを含めてどうディストリビューション・ネットワークを組んでいくかということがフィリピン市場では重要ですよというお話でございます。
では今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。