東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、引き続き佐久間さんをお迎えしているんですけれども、今回はどういったお話を?
森辺:ハラル・ジャパン協会の佐久間理事をお迎えして、前回ハラルとは何ですかという話をお聞かせいただいたと思うんですけど。ハラルのことを理解、リスナーが大分されたと思うので、ハラル・ジャパン協会というのがいったいどんな協会で、何をやっているのかっていう、そんなお話をお聞かせいただいてもよろしいですか?
佐久間朋宏(以下、佐久間):ハラル・ジャパン協会は実は2012年に作った非営利の一般社団法人なんですけど。このハラルないしはハラールのビジネスをやっていこうと思うと、みなさんハラル認証団体というところにどんどんご相談する傾向があるんですよね。ということはどういうことかというと、ハラル認証団体に相談するということは、ハラルが必要なのか必要じゃないのか、または取得に向いているのか向いていなくてもお仕事の関係上ハラル認証をしておくというのがゴールになりがちなんですよね。ですから、比較的今まで実はハラル認証団体に相談して輸出や進出があまり上手くいかなかったと。これが今までの実情だったんですよね。
そうではなくて、このハラルビジネスという、ハラルというキーワードを私たちはどちらかというと開けゴマ的な意味でキャッチフレーズ的に考えていまして。ASEANや中東へ向けての輸出、進出の1つのきっかけにしようという風に私どもは考えているので・実はこのハラールというもの、つまりイスラム教の基本をきちっと理解しましょう。その代わりハラールの認証のプロセスとかそういったことも最低限勉強しましょう。つまり、日本には中々宗教をビジネスに取り込もうというのは中々難しいと思うので、それを自分の企業の中に取り入れるために、まず勉強して役員会議や経営会議で資料としてドンと出して、みんなで議論をして取り組むか取り組まないか決める。そんなことをまずやれることを作ろうと。引いてはメイドインジャパンの美味しいものを、または素敵なものを世界中のイスラム教徒の方に使ってもらって、または食べてもらって日本の活性化、経済の活性化が出来ればと。そんな思いで作った団体ですので、私どもの団体というのは何をするところかというと、一言で言えば、教育するところ、勉強するところ。それから売らないもの、日本でそもそもハラールをつけて日本で売れていないものがハラール対応しても売れないですし、輸出できないものはハラル対応でも輸出できないみたいな。調査しましょうと。この調査の重要性。それからハラル認証がゴールではないので、売るということに対してやはりPRをしたり販売促進をしたり、そういったことのPRなんかを会員企業を中心に行うと。こんなことを中心に私どもはやっている協会です。
森辺:そうするとハラル認証機関に相談しに行ってというか、認証前提で行くんじゃなくて、そもそもお客さんの商売でハラル認証が必要なのか、必要ではないのかという前提のところからスタートしていきましょうと、そういうことなんですよね。
佐久間:やはり売り上げをあげたいというのが日本の会社が、そのための手法の1つにハラル認証かもしれないし、その中の1つに進出だったり、またはOEMで現地生産だったり、原料輸出だったり。色々なパターンがあると思うので、そういったことをまず聞いて、きちっとお客さんの実力ややりたいこと、そういうのを聞いてあげてアドバイスをするという団体が日本には無かったので。本当は国や都道府県ができたら良いと思うのですけど、民間がやるべきじゃないなと思いながらも、私どもはそういうお手伝いをしています。
森辺:では、ちょうどハラルブームが2012年ということは、ちょうどワーッと盛り上がってきたそんなタイミングですかね。
佐久間:そうですね。前回お話できなかったんですけど、なぜ今ハラルなのかという話しなんですけど、まさに今森辺さんがおっしゃられた2012年の9月なのです。つまり、尖閣問題なのです。尖閣問題でみなさん中国一辺倒のカントリーリスクっていうものに対して非常に感じるようになって、チャイナプラスワンというのを意識し始めました。11月にやっぱり竹島の問題が起きて、やはりこれは間違いないなと。カントリー、1つの国に対するアプローチだけでは、不安定さが企業として残るからチャイナプラスワンを実行していこうと。そう考えたときにみなさんやっぱり近い国である高い経済成長率のASEANへみんな目指したんです。でもやはりそこが半分の6億人の内の2億8000万人でイスラム教徒がいるというね。このイスラム圏だということをそこで初めて知って、中東は何となくイスラムかなと分かっていたんですけど、ASEANまでハラルかと。イスラム教徒かと気付いて、どうもそこでみなさん勉強をし始めた。
そこに昨年東京オリンピックの招致決定で、インバウンドにもニーズがあるんだ。和食の世界遺産登録でますます世界中の人が日本の和食というものに接する機会が増える。ここにみなさんどうもビジネスチャンスを感じたように、もちろんTPPの問題や参加表明や色々なプラスの考え方はいっぱいあるんですけど、特にこの辺で日本人が今気付いたのかなと。なぜハラルなのかというのを考えると、ひょっとしたらハラル・ジャパン協会の立ち位置というのがちょっと分かっていただけるかなと、そんな風に思います。
森辺:このハラル・ジャパン協会さんのホームページを見ていると、マレーシアの元首相のマハティールとかにお会いに行ったインタビューの記事ですとか、あと勉強会みたいな取り組みも見られるんですけど、そんなことをやっているんですか?
佐久間:一番のコンセプトでとにかく我々は経営課題にあげられる最低限の勉強をしようということは我々基本になっていますので、まず基本的なものを学習するということに力を入れています。その中でですね、私どものずっとやってきているものを言うと、ハラルビジネス交流会というのをもう18回、19回、1年半以上やっていまして。これはスピーカーを呼んで1人のスピーカーを呼びながら、みなさんに会員の方、また非会員の方に集まっていただき、それからハラル認証を取った会社さんの、3年間全然売り上げが上がっていないよっていう話から、最近こういう方法でうまくいったのだという成功事例、失敗事例なんかも語ってもらいながら、海外の展開事例とか、そういったものを、ハラル弁当なんか食べながら行っています。これは毎月1回やっています。こういうハラルビジネス交流会というのをやったり。
また基本的な学習を、実はハラムとかハラルと検索すると答えがいっぱい出てくるんですよね。だから答えがいっぱい出るというのはなぜかということも含めて、私どものハラルビジネス講座というものなんですが、だいたい10時間ぐらいです。2日間で10時間ぐらいの勉強を座学とモスクに行ったり、ハラルショップに行ったりする、外へ行くという。この10時間をある程度マスターしていただくと、基本的なことはだいたいマスターしていると。こんなものを今1年以上やり続けまして、150人ぐらいの方が修了いたしまして。中にはハラルの認証を取って活躍されていたり、中にはですね、珍しいところでは豚骨ラーメンのチェーン店さんが参加して、今はハラルには取り組まないと。そういうことを決められた。いわゆる経営判断の材料にしてもらうっていう。そんなことを今やったりしております。
森辺:それはすごいですね。それは会員と非会員も参加できる?
佐久間:料金の体系の差がもちろんありますけど、会員の方には会員割引を設定しておりますし、そういったことで会員以外の方も参加できますので、ぜひリスナーの方、ホームページを見ていただけましたら私どものホームページがありますので、ぜひお問い合わせをいただければと思っています。
森辺:ホームページから会員の申し込みが出来ると。
佐久間:そうです。
森辺:安いんですよね?
佐久間:意外とこういう専門の研修の中では非常にリーズナブルな料金設定をしたりしていると思います。
森辺:月数千円とか、そんな感じ?
佐久間:そうです。会員だとですね月、月額に直しますと4200円ぐらいから参加できます。
森辺:「○○」(10'01)ですね。
佐久間:そうですね。ハラルビジネス講座も逆に言うと1回に直すとそのぐらいになるかなと。そんな風に思っています、月々に直すと。
あとはですね、最近は農林水産省や経済産業省、観光庁からも、やはり私どもに引き合いをいただき、調査をしたりセミナーをやったり、そんなことも非常に多いんですが。最近はやはり都道府県が非常に今力を入れていまして、銀行、都道府県、商工会、商工会議所、そういったところから今年間北海道から沖縄までだいたい100本ぐらい企業研修、企業セミナーを受けていますので、月の内3分の1ぐらいは地方に行っています。
森辺:それは地方の自治体から呼ばれてそこに行って講演をされる?
佐久間:そうです。去年までだとだいたい30人から20人ぐらいしか集まらなかったんですけど、今年は100人ぐらい集まりますね、だいたい。すごいハラルという言葉にみなさん少し関心があったり、気付き始めたり、色々なことでセミナーを聞いてみたいと。そういう方が増えているということではまさに海外進出、海外展開をしたいという企業さんのニーズが高まっていると思います。
森辺:僕、ハラルのアウトバウンドのほうにすごく興味があるんですけど、先にインバウンドのお話をすると、前回かな。前回、前々回でもお話があった、前回ですね。前回お話していただいた屠殺の方法でハラルかハラルでないか、ノン・ハラルかみたいな話があったんですけど、日本だとハラル対応するための屠殺をする業者さんとかというのはできてきているものですか?
佐久間:実はあるのですけど、実は農林水産省もそこをすごく日本国としても力を入れていて、2020年には農林水産品の輸出を1兆円にしようと。2013年現在で5000億ちょっとなんですけど、それを何とか1兆円にしたいと。その目玉がやっぱり和牛。それからお米、それから水産物や野菜や果物を含めた加工品と。こういうのを3本柱で思っていまして、その和牛の柱が1つはハラル和牛を、ハラル国産牛を輸出したいと。そういうのが今非常に力を入れていまして。昨年度も農林水産省が屠畜場の女性を60億円ほど出してやっております。そういうのを今整備しているところが熊本であったり、佐賀であったり、神戸牛であったり、または今、米沢とか平牛とか色々なところが今整備しつつあると。これは次の輸出に向けたという展開では非常に良い大きなダイナミックな出来事の1つだと思います。
森辺:インドネシアの人なんて和牛大好きだし、前回もおっしゃったのですけどラーメンも本当に好きじゃないですか。3ヶ月に1回、和牛食べにインドネシアの友人がこっちに来るんですよね。ハラル大丈夫なのか?というと、特別!とか言って。
佐久間:旅行に来たら特別という方、結構多いですからね。
森辺:言って食べていますけど。ハラルの認証も日本がやってるハラル認証の屠殺の方法と言うとすごく信頼性がイスラム圏でも高いじゃないですか。日本がやっているというので。それをやらない手はないですよね。世界人口の4分の1がそれを求めているのであれば、早期に整えたほうが全然。
佐久間:今お話に出ていたインドネシアの話をちょっとさせていただきたいんですけど、インドネシアは実は日本の和牛が解禁されていないんですね。そうなのです。インドネシアは隣の国がハラルの和牛の世界一の輸出国であるオーストラリアが実は控えていて、オーストラリアのWAGYUの和牛が実は主で出ていまして、実はそことの関係が非常にあって、日本の実は和牛というのはまだ輸出出来ないのです。ただし、どうも近々輸出が解禁されるんじゃないかと、日本の国もロビー活動一生懸命やり、色々なことでもう少したったら解禁する。その1つにハラルではないんですけど、今ヨーロッパが日本の和牛を解禁しましたので、これにみんな目掛けて輸出しようとしていますので。オーストラリアが今ハラルの輸出国だったんですけど、インドネシアにとっては。今度インドネシアの方が日本の和牛を食べたいという方いっぱいいます。今そのチャンスをどうもみなさん準備をしつつあると、そんな情報も入っています。
森辺:オーストラリアの肉は和牛に比べたら、私なんてオーストラリア牛なんて食えないです。食べられないわけではないですけど。
佐久間:でも和牛、あの商標はオーストラリアのWAGYUは商標で取られているものですから、日本の残念ながら和牛っていうのはね、そのままいくというわけにはいかないと思うのですが、インドネシアを狙っていると。ただ中東のお金持ちなんかは、今でも日本から定期的にハラルの和牛が輸出されて、向こうで美味しく食べて、やはりA5ランクの美味しいのをステーキで食べられていると。ある一定層のお金持ちの方、という話も聞くんですけどね。
森辺:香港からも業者がお肉屋さんに牛をまるごと買いにきて。
佐久間:そうですね。1頭買いというのが主流ですね。
森辺:うちの会社に前電話がありまして、肉屋さんからなのですけど、中国人がお肉を買いにきたと。困っているんだけど来てもらえないかと。ホームページで検索して中国強そうだからって連絡が来たんですけど、肉をあったら全部くれと言っていたんですけどね、FOBジャパンでいいと。あとはうちで処理すると言っていましたけど。
佐久間:やっぱり和牛というコンテンツは世界中から憧れていますから、やはりここは1つ大事にしていきたい重要なところだと思います。
森辺:なるほど、貴重なお話ありがとうございます。
佐久間:どうもありがとうございました。
森辺:そうしたら、佐久間さん次回また、今度インドネシアの企業の事例みたいな話をぜひお聞かせいただけると。
佐久間:分かりました。
森辺:また、よろしくお願いします。
佐久間:よろしくお願いします。ありがとうございました。