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アジア新興国市場 パーソン依存型の失敗

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、失敗する企業のパターンということで、私が過去見てきたパターンのご紹介をしていきたいと思います。対象は製造業、B2C、B2B問いません。対象地域はアジア新興国市場になります。

スライドをお願いします。このスライドの通り、前回、前々回、その前ぐらいからかな、ずっとシリーズでやっています。失敗する企業の3つの思考パターンということで、プロダクト依存型に陥ったり、パートナー依存型に陥ったり、今日のお話はパーソン依存型に陥ってしまうというパターンですけども。

このパーソン依存型ってどういうパターンなのかなということをお話すると、次のスライドをお願いします。社としての戦略が非常に弱いですと。日本企業の場合、戦略が非常に弱いというのは大前提としてあって、柔らかいと。なぜ柔らかいのかというのは、ちょっと過去、何回か前にお話した、インプットの少なさ、結局、インプット、情報が少ないから、立てる仮説とか戦略の質が悪いですよと。この戦略や仮説の質が悪いから、実践をしてみたときの乖離が大き過ぎてしまって、その場で修正できないので、結果としてなかなかうまくいかない状態がつくられていると。なので、決して高度な難題な課題がここにあるかと言うと、そういうことではなくて、基本的には意外に初歩的な、インプットという無形の情報というものに予算を割かないという性質が欧米の先進グローバル企業に比べると大きく差があって。分かっていることには投資ができると、なぜ欧米企業があんなにダイナミックな投資ができるのってお金があるから、決してそうではなくて、分かっていることだから仮説の質が高いので、いわゆる7~8割方で当てられるから張れるわけですよね。それが、インプットが少ない、仮説の質が少ない、50:50だったら、なかなかやっぱりそこに張れないので、大きな投資ができないんじゃないかなというふうなことが僕は大きく関係していると思うので、まあまあ、そこが要因になっていますよと。

ちょっと話が飛んでしまいましたけど、パーソン依存型というのは、社としての戦略が少ないですよと。だから、個としての能力は非常に日本企業は高い、こんなに日本人って本当に優秀だなというのは、これは非常に思います。なぜならば、言わなくても分かるからというね。これが本当は問題なのかもしれませんが。高度な戦術、人としての個の能力ってやっぱり戦術で、会社としての全体像というのは、これは戦略なわけですよね。しかし、これ、やっぱり戦略が弱いと、個がどれだけ優秀でも、戦術で戦略は当然補えないので、そこは非常に問題になってきていて。よく分からないから駐在員、箱をたてて駐在員を送り込んで、「気合と根性で行け」と、「走りながら考えろ」と、「とにかくやってみろ」ということでね、非常に聞こえがいいですよね。「とにかくやってみろ」と、「責任取ってくれるのかな。とにかくやってみろか、いい会社だな」ということなわけなんですけどね、アジア新興国市場でとにかくやってみろは絶対駄目で。とにかくやってみろなんていうのはね、シリコンバレーで誰も前代未聞の挑戦をする中でイノベーションを生み出す、まさに最前線の現場で0→1をつくるときに「とにかくやってみろ」と、「前代未聞の挑戦なんだからやってみろ」という話でね。アジア新興国市場の製造業の進出なんていうのは、B2Cでも、B2Bでも、成功事例、失敗事例がごまんと転がっていて、それをしっかり分析せずに同じ失敗を繰り返しているというのが現状なので。これって仮説が弱いというだけなのでね、情報収集してないじゃん、分析してないじゃん、そこに費用かけてないじゃんというだけの話なので、僕は、アジア新興国市場は、仮説をとにかく極限まで高める、仮説が高められれば実践したときの誤差が少ないので、成功する確率、アウトプットが良くなる確率が高まるんですよね。結局、確率論なので、確率を先に上げておいたほうが、僕はいいなというふうに思います。そのほうが安上がり。

結局、欧米の先進的なグローバル企業を見てみても、パーソン依存型だと、これは営業力の域を超えられない。営業力とマーケティング力ってどういう違いですかって、次のスライドなんですが、顧客と商談し、受注を獲得する能力を営業力と言います。一方でマーケティング力って何?って言うと、売れる仕組みをつくる能力で。売れる仕組みをつくるこの能力って、これはまさに戦略そのもので、営業力というのは、これはまさに戦術そのものなので、やっぱりこういう違いも出てくる。日本企業は人が辞めたら右往左往するんだけども、結局、先進的な企業は、売れる仕組みをつくることに集約するので、どういう人材でも、抜けたら入れ替えて、抜けたら入れ替えて、同じ仕組みで回っていくということを目指している。ここをやっぱり究極、目指していかないと、なかなかアジア新興国市場は日本のような離職率ではないので、最近、日本でも離職率は上がってきているわけですから、そういう意味では特にこのマーケティング力っていうものは大変重要になるので、パーソンに依存しない、人に依存しない仕組みをどうやってつくっていくかということはすごく重要で、ここにやっぱり戦略の視点が注がれる、そこが重要なポイントかなというふうに思います。

今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回、皆さんお会いいたしましょう。