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ASEAN6の小売市場 伝統小売に関する考察

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、ASEAN6の小売市場についてお話をしていきたいと思います。小売市場なので、対象はFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーになります。

ASEAN6、じゃあ、スライドを早速お願いします。前回ね、この左側の図の説明をしました。主に商品・日用品を取り扱う主要な近代小売チェーンの店舗数の合計ですよということで、各国の小売の特徴みたいな話を前回させてもらって、今日は右の小売市場(食品および日用品カテゴリー)における近代小売と伝統小売の比率(金額ベース)ということで、上にインドと中国が入ってますけども、この真ん中のベトナム、インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシアというところにフォーカスをしてもらったらよろしいかと思うんですが、シンガポールはね、左の図の通り、近代小売だいたい約1,000店舗あって、伝統小売はないので。僕が住んでいた頃は、80年代後半はまだあったんですよね。まだあったんだけども、もうこのお30年間とかで、35年間か、ものすごい…、40年間か、ものすごいきれいになってしまって、そもそもキャンティーンとかホッカセンターみたいな、いわゆる屋台村みたいなのがいっぱいあったのに、今は非常にきれいになってしまってね、屋台村がもうフードコートみたいになってしまって、室内になってしまったし、結構エアコンかかってないフードコート…、きれいですよね。昔はそういったキャンティーンなんかも、ジュースに入れる氷を、私は中学生ぐらいだったんですけど、13~14歳、この氷のブロックをバンで運んできて、それを屋台村の床をね、足で蹴ってガーッとジュース屋の目の前まで滑らせていくんですよ。それをジュースに入れているのかと思ってジュース屋のおやじに聞いたら、「No problem」と言って、溶けていると、表面は。切って溶けて中を入れてるから、汚いところは溶けてなくなっているという。まあ、華僑らしい考え方、確かにね、日本人は無理ですよね。物理的にはそうなんですけど、確かに中なので。なんだけど、その行為そのものがちょっと無理っていうね。なので、僕は衝撃を受けたんですけど。でも、気づいたらね、それで飲んでましたから、おかげで胃袋が強くなり、どこの国に行って何を食べてもお腹をあまり壊すことはないので良かったのかなと思いますけど。すみません。全然関係ない話を。まあまあ、シンガポールはそういうことで伝統小売がないですよと。

スライドに戻りますけども。これを見てもらったら分かる通り、マレーシアとタイって、近代小売の比率が5割ぐらいきてるんですよね。一方で、ベトナム、インドネシア、フィリピンがやっぱりまだ2割ぐらいにとどまっているというのが、これが正しい見方で。ちょっとね、これはカテゴリーによって全然変わってくるんですよ。例えばベトナムでもね、これは食品および日用品カテゴリーなので、食品の中でも特定のこれって選んでしまうとグーッと40%まで近代小売が伸びたりとか、これって選ぶとグーッと、カテゴリーを選ぶと伸びたりするので、皆さんの取り扱っている商品のカテゴリーに合わせてこれはばらけてきます。ただ、言ってもまだVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンは圧倒的に伝統小売の市場ですよと。タイとマレーシアは、伝統小売はまだあるものの、近代小売でも十分現法をつくっても現法の出血分はプラスになりますよと、補えますよというのが市場かなと。面白いのがね、インドネシアがやっぱり多くて、左の図の近代小売3万6,700店舗に対して伝統小売が447万店存在しているんですよね。もうASEANの中では一番多いと。インドなんて1,000万店以上と言われて、もう計測不可能と、うちでももうカウントしませんみたいなね、そんな市場なので。インドネシアのこの447万店って本当に大きくて。次がフィリピンの80万店。これはまだちょっと確認取れてないんですけど、コロナのときにフィリピンは伝統小売の支援を、政府もやった、行政も消費者もね。ものすごく伝統小売が市場に必要とされているんですよ、フィリピンって。特に、ベトナムなんかは結構しいたげられた、コロナのときにね、店を強制的に閉めなさいとかっていう行政の御達しがあったりとかしたんですけど、フィリピンは小規模ローンが組まれたりとかしていて、もともとね、近代小売から商品を仕入れるみたいな、面白い流通構造、商習慣がフィリピンはあって、本当に伝統小売がね、消費者にも業界にも行政にも守られているような市場なんですけど、増えたというね、このコロナのアフターコロナで。だから、もしかするとちょっと90万店とか、85万店か90万店ぐらいっているのではないかなという、ちょっとまだカウントしていないのであれなんですけど、80万店ありますよと。ベトナムが66万店あると。タイが45万店。タイでもまだ45万店あるんですよね。マレーシアが20万店ということで、これだけやっぱり伝統小売が残っていますよと。

今の消費財メーカーの課題は、やっぱりマレーシアとシンガポールは何かのおまけでやるというケースがやっぱりすごく多くて、もしくは輸出でやるとかね、シンガポールにリージョナル拠点とか、昔からの工場があるから、マレーシアにも輸出しているし、そこと一緒にやるとか、そういうセット系。マレーシアだけ本気でやりますとか、シンガポールだけ本気でやりますみたいな、そういうのはあまりなくて、どこかの国のついでで、僕は、いいのかなと思っています。

一方で、真剣にやらなきゃいけないのがタイ+VIPで、弊社にご相談いただくのもやっぱりタイ+VIPが圧倒的に多くてね。タイの課題は、非常にシンプルで。結局、ディストリビューター任せにしていて、タイなんていうのはもう市場がCPかセントラルかと言っていて、メーカー自身が直接ね、僕はCPがいいんですけど、セブンイレブンが1万4,000店舗もあってね、もうセブンイレブンとまずやるというのがたぶんすごく重要で。セブンイレブンに置かないような商品だったら、必ずしもそうではないんでしょうけども。ただ、小売の交渉力がものすごく強いということは、中間流通事業者、つまりはディストリビューターが弱いんですよ。小売の前に言ったらもの一つ言えない状態のディストリビューターといくらやってもね、結局、小売の情報をブラックボックスにされて、なかなかうまくいかない。それで困っているという企業がほとんどで。いかにCPとメーカーが直接話をつけて、その小売にディストリビューターを紹介してきますから、そこを使うことで流通マージン、中間マージンを抑えていくというね。結局、ディストリビューターさんにお任せする業務ってある程度決まっているので、そんなに高いマージンを払ったらもう合わなくなってしまうんですよね、そもそも日本の消費財は高いので。なので、まあまあ、そんなやり方が、また詳しくタイのときに話しますけども、とかね。

あと、VIPに関しては、もう課題は伝統小売の攻略1本。皆さん、出ていますよと、工場もありますよというケースもあって、近代小売にそこそこ入ったんだけど、伝統小売の配荷が進まないっていうね、ここで皆さんそれぞれの課題を抱えていて、いかに、じゃあ、伝統小売のストアカバレッジを伸ばすのか、インストアマーケットシェアを伸ばすのかみたいなところがわれわれがご支援する範囲になってくるわけなんですけども、そこが非常にポイントになってくると。近代小売で売るということはもうマストです。なぜならば、そこはショーウィンドウで、近代小売に入っていないものは、伝統小売のオーナーは取り扱いませんから、基本的には近代小売をやります。その上で伝統小売のストアカバレッジをどうディストリビューション・ネットワークをつくってね、複数のディストリビューターをネットワーク化して隅々まで毛細血管のように流通チャネルを伸ばしていくかということがすごく重要で。この毛細血管的に伸びた流通チャネルというのは、メンテナンス、管理育成していかないとすぐにへたってしまうので、管理育成のプログラムをつくってしっかりと管理をするということが求められている市場であると。これだけ大きい市場をね、日本の小売市場規模をもうすぐ抜きますから、ここでどうやって勝つかということが日本の消費財メーカーにとっては一番重要になってくるんだろうというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。