森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺一樹でございます。今日も引き続き、最近のね、製造業、B2C、B2B含めて、新興国市場、アジア新興国市場におけるご相談の多くが販売チャネルの再構築みたいなところにありますよ、ということでちょっとお話をしていきたいんですが…。
ご相談に来られる企業さん、新規でこの国やりたいですっていうのもね、なくはないです。1割以下ですけども、あります。一方で、9割はやっぱり、もうすでにやっているんだけども、なかなかうまくいかないというか、想定通りにいってないので、もしくは課題があるので改善したいというケースが多くて。もちろんシェアを上げたり、売上を上げるっていうことは、ターゲットに対して4Pを最適化していくっていう作業なので、4つのP、プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションを最適化していくわけなんですけどね。これはどれか1個欠けても駄目だし、バランスをしっかり保っていかないといけないと。
その中でもやっぱり日本企業の課題の多くはプレイス、販売チャネルにあって。販売チャネルを意識するなんていうことはなかなかなくて、どちらかと言うと、もう数十年ぐらい前から、現地からのアプローチで始まったって言ったほうが早いかもしれないですよね。こういうものを買いたいっていう、その中でディストリビューターを、そこそこ大きい、信頼できそうだって決めてやってきて、みたいな企業が結構多いんじゃないかなと思うんですけど。ここに来て、「そのディストリビューターで本当にいいの?」みたいなね、そういう課題を持っている企業って非常に多くて。やっぱりこれって、ディストリビューター側の問題もいろいろあるんですよね。私、過去見てきたのがね、後継者問題に悩まされているディストリビューターとか、後継者がいないので、やっぱりディストリビューターとして弱ってきている。15年前のディストリビューターと今のディストリビューターの業界別のランキング、例えば、このインダストリーのディストリビューターで、15年前はここが1位だったけど、今ここは5位ですとかね、そんなの全然あるので、そういう意味ではディストリビューターの順位もやっぱり大きく変わってきてますよと。二代目がね、やっぱりディストリビューターってお金持ちですから、子どもは海外のね、欧米の大学に行かせて、そこでマーケティングをやったり、テクノロジーをやったり、もうアメリカに住み着いてしまっているような人もいるし、カナダに行ってるような人もいるし、MBA取ってみたいなね、今さら国に帰ってきて問屋をやって親父の跡を継ぎたくないみたいな会社も結構あるんですよね。そうすると、親父さんとしてはね、親戚の子を、じゃあ、後釜に据えてとか、親戚の子に経営をやらせてみたいな、そういうケースもあれば、なかなか後継ぎがいなくて、どんどん弱体化していってる。もしくは、ナンバー2がやっぱり実質、事業を支えてたんだけど、そのナンバー2が抜けてしまってからかなり弱ってきているディストリビューターとかね。そんなの結構ざらにあるので。そんな中で、今の現状で見たときに、本当にこのディストリビューターでいいんだっけ?っていうことを考えるっていうのはね、タイミングとしては、今ちょうどそういう過渡期にあるのかもしれないなっていうふうには思うので、全然良いことだと思うんですよね。もちろんね、それ、ディストリビューターを切り替えるとかね、ディストリビューターを増やすっていうと、既存のディストリビューターから大きな抵抗がもちろんあるので、じゃあ、抵抗があるからといって、今の現状にね、課題があるっていうことは分かっているのに、それを解決しないっていうのは、またいつかね、大きな、もっと大きな後悔をすることになるので、やっぱり課題があるのであれば、それは改善していかないといけないと。
問題は、なんかうまくいってないのは分かっているんだけど、何がどう問題なのかっていうのが明確に分からないっていうケースの企業がやっぱり非常に多くてね。でね、これはやっぱり第三者、われわれみたいな第三者に客観的に評価をさせるっていうことがたぶん一番重要で。そういう依頼をね、われわれは受けるわけなんですけどもね。結局、見るポイントって、お客さんが求めているその売上とかシェアで、じゃあ、そのシェアとかその売上を上げるためには、B2Cだったら、どの小売でどれぐらい売らないといけないのか、B2Bだったら、どの顧客にどれぐらい買ってもらわないといけないのかっていうのが割り出せますよね。その、B2Cだったら小売に、B2Bだったらユーザーに、今のディストリビューターがどれだけリーチできているのかっていうところを見ていくんですよね。これがそもそもリーチができてませんって言うのであれば、リーチするまでにまた時間かかるし、今リーチできてないディストリビューターが、来月、再来月にリーチできるって、それはなかなか難しいですよね。やっぱりリーチするまでに1年、そこから関係つくって、ものすごく大きな商売にするまでには数年かかりますみたいなね。それに対して、じゃあ、競合はどうなんだっけと。必ず競合がいるわけですから、競合から1%のシェアを取るから自分のシェアが1%上がるっていうことを考えると、競合の競争力もちゃんと見ていくとね、やっぱり競合がこれだけ強いとなると、なかなか既存だけじゃ難しいよねと。じゃあ、もう完全に変えないといけないレベルなのか、それともプラスアルファして補完していけばいいレベルなのか、そんなことを判断していく。それで販売チャネルをさらに強いものに再構築をするということになるわけなんですけども。やっぱりそこはね、蓋をしたら駄目な部分で、蓋はできないと。ちゃんと事実を客観的に明らかにして、進めていかないといけない部分なのかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん、次回お会いいたしましょう。