森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も前回に続き、フィリピン市場のお話をしていきたいと思います。対象はFMCG、食品・飲料・菓子・日用品・文具等の消費財メーカーになります。FMCG並びにその周辺の産業、企業さんが中心になります。前回ね、フィリピン市場参入、再参入、重要なポイントは何ですかと、FMCGのメーカーにとってね、3大小売の存在と、それから伝統小売、それから主要3島ということで概要をお話をして。今日はこの3つについてね、ちょっと解説をしていきたいんですけど。
まず、3大小売についてなんですけど、SMとピュアゴールドとロビンソンズというのが3大小売としてあって、これらがいわゆる財閥系、タイクーン系と言われていて、圧倒的な小売交渉力を持っているわけですよね。小売のバイヤーに会うのもかなり大変だと思います。「すみません。日本の企業です。日本では大きい企業です。こういう商品を売りたいです」みたいな話だとなかなか相手にされない感じはあって。結構、フィリピンってアメリカの市場をよく見てて、小売のバイヤーもすごくアメリカの市場に倣ってる部分というのがあって、ものすごく戦略的なというか、そんな大した話はしてないんですけど、ロジックをちゃんと積み上げて提案していかないとなかなか受け入れないというところはあって。そもそもフィリピン市場って、米軍の基地もあるしね、あと、欧米の食品・飲料メーカーが、まだスーパーとかね、近代小売がない時代に進出をして、彼らが市場を形成していったという、そういう歴史的な背景もあってね、そんな中で、結構、欧米寄りのやり方に近いやり方だなと感じることが結構あります。
このSMから少しちょっとお話をしていくと、シューマートってね、もともとは言われていて、フィリピンって財閥がいるんですよね。中華系財閥と、アヤラとかね、まだ、もうほとんどないんですけど、スペイン系財閥の2つの財閥があって。このスペイン系財閥っていうのはね、もう、勢力を失っていて、今はアヤラ財閥だけがね、結構、メトロマニラへ行くとね、アヤラなんとかって書いてあるね、不動産が結構多いと思うんですけどね、マンションとかでアヤラって書いてあるのがあると思うんですけど、そんなので。フィリピン経済の7~8割は、これは財閥が占めているとも言われてて、この財閥系のSM、ものすごく重要で。SMは中華系財閥なんですけど、シー財閥というところがやっててね、2019年だったかな、創業者のフィリピン一の大富豪、アジアでも何番目とかね、世界でもたぶん何番目とかのヘンリー・シーさんがお亡くなりになられて、そのあとね、その6人の子どもがいるんですけど、それがシー家を引き続きあれしてるんですけど。どれぐらいあるんだろう、総資産で、たぶん2兆とか3兆とか、そういう感じだと思いますけど。頭一つちょっと抜きん出てるのがシー財閥で、これがSMグループを持ってるんですよね。このヘンリー・シーさんって…。ヘンリー・シーさんの話よりも、まずはSMの話からにしようか。もともとシューマート、このヘンリー・シーさんが、もともとどこだったかな、福建省か何かの出身で、10代のときにフィリピンに移住してきてね、最初は靴屋を始めたときの名残りでシューマートっていうふうに呼ぶ人もいて。フィリピン最大の商業銀行のBDOってね、黄色と紺の看板、いっぱい見ると思うんですけど、黄色で「BDO」と書いて、バックが紺色のね、ネイビーブルーの、バンコ・デ・オロって言うんですけど。とかね、商業銀行、最大の商業銀行を持っているし、不動産最大大手のSMプライムもシー財閥ですしね。あと、ユニクロのファーストリテイリングが展開を一緒にやっているのも、このSMグループなんですよね。なので、極論を言うとね、不動産の最大手なので、一番良い立地のところに自分たちのSMの店舗をボーンと構えて、銀行も持ってるから、クレジットカードみたいな、イオンカードみたいなのあるじゃないですか、ああいうのを発行してね、お金も貸すわ、なんとかも貸すわ、みたいで、もう何でもやってるわけですよね。だから…、もちろん小売単体でね、事業をちゃんとやるわけですけども、全体で言うと、相乗効果も大きいので、小売だけで踏ん張るということでもないので、非常に大きいコングロマリットの財閥であるという企業ですよね。このヘンリー・シーさんがね、すごい生前、フィリピンの市場とか、フィリピン国民にね、いろんなチャリティーをやってるんですよね。だから、フィリピン人にとって、このヘンリー・シーの存在がね、日本で言うとたぶん松下幸之助とか、本田宗一郎みたいなね、こういう存在で、尊敬の存在なんですよね。だいぶよくしてもらったという。なので、そういう意味でも非常に重要な小売であるというのが1つですよね。
あと、ロビンソンズを保有しているところも、これは財閥なんですけど、ゴコンウェイ財閥と言ってね、小売とか食品、航空、石油、不動産、繊維とか、通信もやってたと思いますけど、大きな財閥ですと。ピュアゴールドは財閥じゃなくてね、フィリピンの有力な実業家のルシオ・コーという人が率いているんですけど、最近ね、結構、SMよりピュアゴールドのほうが元気がいいんじゃないかなという感じで。いわゆるタイクーンですよね、このルシオ・コーさんはね。こういう人たちがやっていると。
なので、非常に財閥の影響が大きいので、タイみたいな市場ですよね。インドネシアもそうですけど。タイが非常に伝統小売の部分を抜かすとね、近代小売だけで言うと、あそこもCP、セントラルの2強じゃないですか。フィリピンもSM、ピュアゴールド、ロビンソンズ、3強みたいなところで非常に似てるので、ここをしっかり押さえるということが大変重要ですと。
今日もね、時間がちょっと来てしまったので、すみません、次回ね、また引き続き、この3つのポイントについて解説をしていきたいと思います。それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん、次回お会いいたしましょう。