ASEAN 営業力よりマーケティング力の高い人材を投入
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、マーケティング力と営業力の違いについてお話をしたいと思います。対象は製造業で、B2CでもB2Bでもどちらでも結構です。対象国、対象エリアはアジア新興国市場、特に最近、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、タイ+VIPが非常にご依頼としては多いので、その辺を想定しながらちょっとお話をしていこうかなというふうに思います。いつもね、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカー、文具も含めて消費財メーカーが多いですけど、B2Bの製造業もね、自分たちの事業に置き換えて聞いてもらえたらなというふうに思います。マーケティング力と営業力の違いということなんですけど、なぜこんな話をするかと言うと、海外事業、新興国事業をする上で最も重要な力、スキルセットって何ですかっていうことを聞かれることがよくあって、やっぱり生産側の人間が海外に出たという時代がね、一時代が非常にあった。ASEANなんかはね、1980年代なんかはやっぱり技術屋さんが出て、工場つくって、そこで安い労働力で生産してみたいな時代がね、ASEANも中国もあったわけですよね、80年代90年代。それが2000年代を皮切りに、工場の生産管理とか品質管理の人間ではなくて、営業の人間が行くという、売り側のね、セールス側の人間が行くということに、今、変わってきているので、だいぶそれが2つに分かれた、工場は工場、販売は販売ということで。精神的に強いとか、タフだとか、いろいろあるんですけど、それはあまり僕は、意外にこんな人がすごく向いているというケースもたくさん見てきているので、意外に強そうなのに駄目だったとか、そういうのもいっぱい見てきているので、どちらかと言うといろんなものを受け入れられる人、そういうのがやっぱりたぶん精神的な面ではいいんじゃないかなと。それをストレスに感じない、例えばいろんなことが日々腹が立つわけですよね。電気を通す、電話を通す、内装工事に来てもらうとかいっても、日本みたいにきちきちきち、パッパッパッとタイムリーにならないので、なぜFAXを通すのにこんなに時間がかかるのよみたいなね、まあまあ、いまどきFAXという話はあれだけども。なぜインターネット回線を引くのにこんなに時間がかかるのとか、何かしてもらおうと思ったときにとてつもない時間がかかる、それがストレスになったりするんですけど、日本人の場合はね。なので、いろんなことが受け入れられる、軽く流れるというのがたぶんすごく重要で。
そんな話はどうでもよくて。スキルセットの話をね、今日はしたくて。どんなスキルを持った人が海外、アジア新興国市場の事業をつくる上で重要なのかと言うと、僕はね、営業力よりもマーケティング力を持っている人のほうが圧倒的にアジア新興国市場の市場は向いているなと。これは、先進国の市場は違うんですよね。欧米の市場というのは日本と同様で、もうすでにマーケットがある程度大規模にあって、そこで土台が出来上がっているところで先人から教えを乞うて同じようにやっていくという、こういう、日本の仕事って皆さんそうですよね。0→1をつくるなんていうことに関わっている人ってほんの僅か、0.1%とか、そんな人たちだと思うので、新規事業とかね。一方で、アジア新興国市場に行くと、土台がまだないとかふにゃふにゃしてるとかっていう中で、土台づくりからやらないといけないというのがアジア新興国市場なんですよね。そうしたときに、ちょっとスライドを見ながら話すると…。フィリピンの市場で、マーケットシェアがまだ全然ない中でね、さらにマーケットシェアを上げるというのって、まさにこの売れる仕組みをつくる能力がマーケティング力で、営業力というのは顧客と商談して受注を獲得する能力なので、この2つって全然違う能力なんですよね。商談に行って受注する能力なんて別に日本人は求められてなくて、それはローカルの人がやればいいので。いかにローカルにセールスをやらせるかと、売れる仕組みを考えていく、ここがすごく重要で。欧米の先進体なグローバル企業を見てみるとね、この80年代からの進出、70年代80年代からの進出を分析して紐解いていくと、一時期は欧米もね、白人が現地に入ってってやっていたときがあったんですよね。でも、それって今、ほとんど見ない、白人を。全部、ローカルに権限が委譲されていて、リージョナルヘッドクォーターにたまにいるとかね、出張ベースで来るみたいな、日本企業みたいに、日本人が現地に駐在して、現地法人の上はもう日本人で占められているみたいなことって、もう、欧米の先進的なグローバル企業はなくて、おそらく進化形態が2形態ぐらい先に進んでいて、欧米の企業は。
当時、じゃあ、80年代90年代、彼らが何をやったかと言うと、売れる仕組みをつくりまくったわけですよね。ローカルの人たちに任せていても、自分たちは本国に帰ってモニタリングだけしていれば勝手に売れていくよという仕組みをつくっていて、それをやっぱりつくれる仕組みのマーケティング力、その仕組みをつくる能力の高い人、これをやっぱり投入していくということがすごくキーで。これって現地だけでできることでもないので、世界標準的にそれをやっていかないといけない、もしくは、ASEAN、アジア新興国標準的にやっていかないといけない部分もあるので、もちろん現地だけじゃなくて、本社も一体になってやっていくということが必要なわけなんですけども。でも、やっぱりシェアの低い会社って、結局、営業力で戦うので、局地戦には勝つんですけど、全体最適できてないので、少し引いて見たときに、全体では負けているというケースが非常に多くてね。極地で勝っても全体で負けたらあまり意味がなくて。結構、日本企業はそういうケースが多くて、最後、言い訳は、ニッチとかって言い始めるんですけど、いやいや、この業界、ニッチ駄目でしょうと。例えば、FMCGなんて数ですよね、数。胃袋、若い胃袋を獲るという話なので、お金持ちの胃袋だろうが、お金がない人の胃袋だろうが、そんなことは関係なくて、とにかく若さ、胃袋の若さと数しかないので、ニッチになってどうするの?みたいなね、そういう話だったりもするので。富裕層の胃袋は狙わなくていいですよみたいなね、FMCGなんかはまさにそうじゃないですか。だから、そういう言い訳は通じなかったりするんですけど。そうすると、やっぱりマーケティング力がすごく重要なので。ここはね、訓練なんですよね。常にターゲットに対していかに4P・4Cをあてていくかということからぶれずに考え続ける訓練をしていくことが、僕は重要じゃないかなというふうに思います。
ちょっと話が長くなってしまいましたけども、営業力とマーケティング力というのはまったく違うものなので、マーケティング力を鍛えるということが非常に重要だなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。