ASEAN市場 調査の重要性
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、調査の重要性についてお話をしていきたいなというふうに思います。この番組でもね、調査の重要性については結構何回かのエピソードでお話をしたと思います。アジア新興国に、製造業、B2C、B2B限らず、製造業が参入をする、もしくはもうすでに参入をしていて、なかなか成果がうまくいかないので再参入、もしくは戦略の再構築をする際に、調査がいかに重要かというお話をしていきたいと思います。最近もね、そんなエピソードがあってね、これはちょっと、ここちゃんと調査しないと駄目だよな、このお客さんというケースがあって、でも、いろんなしがらみ、もちろん予算もあるし、いろんなことがあって、そこを少しさぼってしまって、この後どうなるかっていうのがね、あれですけど、そんなエピソードを交えながらね、ちょっとお話をしていきたいなというふうに思うんですが…。アジア新興国市場、最近だとやっぱりタイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、これが消費財の業界では非常に多いかなと。特にFMCGですね。B2Bになってくるとね、それらのASEANの地域に限らず、インドもあれば、南米もあれば、アフリカもあればと、いろいろだと思いますけども。そんな中で、なぜ調査が重要かということなんですが、長年、日本の製造業のね、新興国市場の展開を見てきて、失敗をしている要因を分析していくと、それらの要因が何かすごくハードルの高い、難しいことで失敗をしてしまっている。しょうがないよねという失敗なのかと言うと、そうではなくてね、意外に、意外にこんなことは調査を事前にやっていればクリアできたのにねという。難しさのレベル感で言うと、低いレベルのところでつまづいているというケースが非常に多くて。何かね、0→1でつくりだす、誰もやったことないことをやるので、当然失敗して当たり前だというような話ではなくてね、もう、それら同じことをやって失敗した事例がたくさんあるのに、それを見ようともせず、もしくはそれらがなんとなくあることは分かっているんだけども、そこを直視しないで、自分たちは違うということで突き進んでいって、また結局同じ失敗をしているというケースが非常に多くて。それらの要因はすべて調査を軽視したという、そういう傾向が非常に強いと。なぜ調査が重要かという、その仕組みのところをたぶん理解をしていくと、もう少しこの調査に対する費用のかけ方とかね、調査を費用と取らずに投資と取れる、欧米の先進的なグローバル企業みたいに投資ととるというね、こういうマインドセットに変わっていけるのではないかなというふうに思うので、少しちょっと図を使って説明をしていきたいと思いますけども…。
スライドを尾根がします。このスライド、上が成功確率が高いもの、下が成功確率が低いものなんですけど。インプットが多い企業、インプットってまさに情報ですよね。情報ってどうやって得るかと言うと、調査をして得ますと。よく自分たちの現場の現地の、現地法人の最前線の営業が拾ってくる情報、これをすべて否定するものではもちろんないんですが、自分たちの身内が収集する情報というのは、やっぱりどこかでバイアスが必ずかかるんですよね。自分に都合のいい情報を、例えばセールスマンが上司に報告をするときにね、自分たちにやっぱり都合のいい情報、もしくは自分に都合のいい情報に解釈が微妙に変わっていくわけなんですよね。客観視するってすごく難しくて。もちろんその上司も、課長がまた部長に説明するときに、やっぱり微妙にバイアスがかかっていって。レイヤーが多くなればなるほど、その情報って、かなり上に到達したときにはね、実際とは違った情報であるというケースが多くて。この調査って、すごく重要なのはその粒度、どれだけ深く調べるかということもそうなんだけどもね、一方でどれだけ客観的に見えるかということはすごく重要で。インプットが多い、なおかつ客観的に見たインプット、これが非常に重要で。なぜこれが重要かと言うと、仮説の精度が上がるわけですよね。真実に近い、客観視された、粒度の細かな情報を集められれば集められるほど、立てる仮説が、精度が良くなるわけですよね。精度が高いとなぜいいかと言うと、実践をすると必ず誤差が出ます。実際に、例えば消費財メーカーがインドネシアの市場で展開を、事業をやるときにね、ハラルの取得が必須であると、そして、伝統小売の構築、つまりは伝統小売を獲るためのディストリビューション・チャネルの構築が非常に重要であると。インドマレット、アルファマート、3万5,000店以上の店舗を持つコンビニエンスストアの攻略も非常に重要だということが分かっていると、実際に実践に移したときにね、チャネルが重要だよねと、基本的にはMTは3万5,000店のインドマレットとアルファマートのチャネル、そして、伝統小売は447万店の伝統小売を攻略するためのディストリビューション・ネットワークというチャネルが重要だということは端から分かってますから、それをつくる戦略をつくっていくわけですよね。でも、その辺がぼんやりしていると、とにかく、とにかく日系のスーパーからいこうかな、パパイヤからいこうかなみたいな、もしくは近代小売からいこうかな、とこう、出ていくわけですよね。そうしたときに、あれ、こんなストアカバレッジじゃ全然利益足りないじゃんと。もしくは、ローカル系の近代小売に置けたと言っても、これは輸入品棚じゃないか。メインの棚に置けなかったら全然セルアウトしないじゃん、ということが分かってくる。実際に走ると、仮説を修正しながら走るんだけど、あまりにも仮説と自分たちの現実がね、開きがあると、やっぱり下の図のように、修正しきれなくなってしまう。修正しきれなくなるので停滞したり撤退したりというふうなことになって、結果として成功の確率が低くなる。上の図の通りね、修正しきって走れる、多少のね、1割1割の修正を繰り返していく、必ず繰り返していくので、それぐらいの修正であれば、そのまま走り続ける、走りながら修正できる、だから、成功確率が上がっていくという、そういう仕組みになっているわけなんですよね。なので、結局、仮説がすごく重要で、どれだけ現実的な仮説を立てられるかと。
じゃあ、どれだけ現実的な仮説を立てるには、どれだけ正確なインプットを客観的に見れるかということでね、自分たちで調査するって、餅は餅屋なので、調査はやっぱり調査会社に出さないといけないし、消費者調査の会社にね、インターネット調査の会社に産業調査をやらせてどうするんだという話だし、産業調査もやっぱり外振り外振りの構造になっていたりするわけで、いかに自前で、自分たちの目で見て、自分たちで実施してやれる調査会社、何やら自分のことをアピールしているみたいで、ポジショントークのようで恐縮ですが、そこをしっかり選んで調査をしていくということはすごく重要で。ほんとに、この仮説が弱いというか、「間違ってるよ、その仮説」っていうケースが非常に多くて、「その仮説で進むときっとこういう失敗しますよ」という、外から見てて端から分かっているような、そういうケースが非常に多くて。やっぱり半年、10カ月後に失敗して駄目でしたと来るんですけども、「前の失敗のあれで予算をだいぶ使ってしまったので予算がありません」とご相談に来られても、「いや、さすがに、なんとかしてあげたいけど、予算が少なくなってしまったんだったら、ちょっとわれわれも支援のしようがありません」みたいなケースは非常に多くあるので。貧乏性の銭失いでしたっけ、ちゃんとしっかりやらないと、インプットが仮説を強くするし、仮説が強いと走りながら修正できて、成功確率が上がるという、この仕組みをね、まず前提としてしっかり理解するということが重要かなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。