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スピードの持つ本当の価値

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』、私の新刊ですね、これの解説をしていきたいと思います。

今日は第2章、「アジア新興国市場で成功する企業だけが知っている3つの価値観」ということで、22ページからですね。これはアジア新興国市場、シェアの高い企業だけが知っている3つの価値観、これはシェアの高い企業って誰を指しているかと言うと、多くは欧米の先進的なグローバル企業を指しています。3つの価値観のうちの今日はスピードについてお話をしていきたいんですが…。まあね、今、シェアの低い企業もしくはよりシェアを上げたい企業のために僕は仕事をしていますから、シェアが高い企業というのはベンチマークをして調べ上げるというのが非常に仕事の中心にあると。そんな中で多くの先進的なグローバル企業を調査をする、インタビューをする中で知り得た、彼らが非常に大切にしている3つの価値観のお話がこの2章なんですが、1つ目の今日のスピードってね、「スピードが速いのがいいんでしょ、そんなことは分かっているよ」ということなんですが、スピードって速いほうがいい、当然。この物理的なA地点からB地点までの物理的なスピードの速さ、これが非常に重要ですよ、そんなことはもう分かっていて、僕が今日お話したいのはそれとは違う話。この物理的なスピードがなぜ重要かと言うと、それはそうですよね。昨今、外部環境の変化が非常に激しい中、A地点からB地点までのスピードを上げないと、B地点に到達したときにはもう市場が変わっているという、そうすると勝機を逃しますよね、だから早く行きましょうと、これがスピードの重要性で、誰に聞いてもスピードが重要だということは頭で理解していますよと。

でも、シェアの高い先進的なグローバル企業を中心にね、もう1つ、スピードの価値というのがあって。それってシェアの低い企業とシェアの高い企業は同じ組織なのに、なぜこれだけスピードの差が出るんだろうと突き詰めていくと、もう1つの本当の価値をシェアの高い企業は理解をしていて、これはどういうことかと言うと、スピードが速いということは、新興国市場でね、いろんなものが整備されてない、いろんなことが先進国とは異なる新興国の、アジア新興国の市場でスピードが速いということは、絶対に誰よりも早く失敗するんですよね。誰よりも早く失敗するということは、逆を返せば誰よりも早く学ぶということになりますと。誰よりも早く学ぶということは、結果としてその新興国市場、アジア新興国市場で誰よりも早く成功することになりますよねということを、組織全体が理解を共有できているんですよね。だから、早く動くことに対して非常に重要度が高い。そして、そこで失敗することに対して自然のプロセスの一部として受け入れて、またどんどん前に進んでいくという、この高循環が本当の意味でのスピードの価値だと僕は思うんですよね。A地点からB地点に早く行くって、こんなのは当たり前の話で、それよりもこの循環サイクルが実は中長期で見たときにスピードの本当の価値で。A地点からB地点に早く行くなんて、これは単発の話で、非常に、1回の話ですよね。でも、この今言っている循環サイクルの話というのは価値観なので、中長期において組織の力になっていく。

じゃあ、先進的なグローバル企業、スピードの速い先進的なグローバル企業は、ただ闇雲に早く進んでいるのかと言うと、そうではなくて、彼らは早く進むためにインプットの収集に妥協しない。つまりは調査をめちゃめちゃやる。調査をやるということは情報がたくさん入る、情報とはインプットなので。インプットがたくさん入るということは、アウトプットとして出す仮説が非常に高度なものに仕上がってくる。仮説が高度なものに仕上がるということは、その仮説を実践したときに誤差が少なくて済むということですよね。誤差が少なくて済むということは、成功の確率が上がるという話で、この誤差が多いとフリーズしてしまうわけですよね。自分たちの仮説と現実があまりにも違うので、どうしよう、フリーズしてしまう。もう1回仮説を立て直して走り始めるのに時間がかかる、もしくは走り始められない。結果として現状維持がだらだら何年も続いて最終的には撤退みたいな話になるわけなので、非常にインプットの収集・調査に力を入れる。早く動くんだけど、調査はめちゃめちゃやるというふうに言ったほうがいいかもしれないですよね。なので、このスピードの価値を皆さん1つ改めて再認識をしていただければと思います。

あと、25ページ以降はね、イノベーションについて少し書いていて。なぜならば、この循環サイクルって、もともとはね、僕ね、シリコンバレーから来ているものだと思うんですよね。イノベーションにも非常に近しくて。あと、一橋大学の名誉教授の米倉誠一郎先生が、法政大学の大学院で教えていたんですけども、去年までですかね、去年、一昨年までだったかな。僕も助手として長年お使えをしてきてね、イノベーションについてだいぶ学ばせていただいたので、そのイノベーションとこのスピードについて少し触れているというのがこの第2章の部分でございます。31ページまでですかね。

次回、32ページから、グランドデザインについてお話をしていきたいなと、2つ目の価値観ですね、グランドデザイン、これを描くのが非常に上手なので、それについてお話をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。