マインドセットを変えると戦略も変わる
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』の解説をしていきたいと思います。今日から第3章ですね。日本企業が…、ちょうど44ページ、日本企業が変えなければならないマインドセットということで。そもそものこの本なんですけどね、この本って、思考と行動という観点で販売チャネルを深堀っていったという、そういう思いで書いているんですが、行動というのは戦略とか戦術だったりっていう話で、思考というのはまさにマインドセットの部分でね、考え方ですよね。人って、やっぱりこう、こういう考え方をする人、日本人の考え方、思考の方向性というか、マインドセット、それから思考の訓練と言うんですかね、いわゆるこういう考え方をする人たちって、総じてこういう戦略をつくり出しやすい、結果、その戦略を実行するんだけども、やっぱりこういう結果になりやすいという、こういう傾向が僕はあると思っていて。学者じゃないのでね、それを統計立てて論じてはいないんだけども、僕が20数年、アジア新興国市場でやってきた中でね、言ったら身近にね、ASEANが僕の身近に出てきて35年になるわけだけども、その中で感じたね、日本人のマインドセットっていうのが、やっぱりマーケティングの戦略上ね、非常に大きく影響していて。やっぱり変える必要があるものは変えないと、こういう思考のマインドセットだと、やっぱりこういう戦略にしかならないし、こういう戦略だとこういう結果にしかならないという、いくつかのやっぱりポイントが僕はあると感じていて。それって訓練なんですよね。その訓練をすることによって、思考の方法が変わるので、そうすると、戦略の組み立て方も変わる。これね、結構、欧米のマーケティングの会社とか、コンサルのファームなんかに行くと、最初にものすごく思考の方法、考え方の組み立て方をごりごり変えられるんですよね。それが結構、製造業だとやっぱり、日本のね、弱いというふうに感じるんですよね。なので、そんなことも考えながら、ちょっとこの章は書いていて。
44ページからね、「良いモノを作っても売れない」と、「日本企業のプレゼンスの低下を理解する」と、ちょっと釈迦に説法なところもあるんですけども。僕が2000年前後ぐらいから、一番最初はね、1980年代に日本人がね、シンガポールのオーチャードロードを肩で風切って歩いているっていうのが僕の最初の日本人のイメージで、そこからどんどんプレゼンスが低下をしていった数十年というのがあって、そんなことを振り返りながら書いていて。やっぱりわれわれの思っている良いものの定義というのをね、やっぱりある意味変えないといけない部分というのは僕はあると思っていて。もちろんね、その逆もあるんですよ。われわれが良いと思っていないものを良いと思うケースもあればね。でも、われわれが良いと思っているものが、どちらかと言うと、あんまりアジア新興国市場の良いになっていない。そこを良いと言うならば、もっとその良いを伝えなきゃっていうケースって非常にあってね、それだけそこが良いと思っているんだったら、それを貫くことは重要なんだけども、「男は黙ってサッポロビール、きっと誰かが見てくれているはず」なんかでアジア新興国の人は見てくれないですよと、自分から言わないと、主張しないと、プロモーションしないと、みたいなね、そういう部分もあるので、そういう意味も込めて良いものの定義を変えるというようなことを書いていたり。
あと、50ページなんかもね、「品質以外の優位性を見出せなければ負けますよ」と。品質が良いなんていうのはもはや当たり前の世界で。もし品質が良いという、ここの良いがあって、もう超絶良いのところまで自分たちが突き詰めるんだったら、やっぱりこの超絶良い=ラグジュアリーのブランディングのイメージ、ブランドエクイティをもっと上げていくという努力をしないといけないので、ひたすら品質が超絶良いのところだけやったって、一方でそこの超絶品質が良いから消費者は買っているのではなくてね、それはもう1つの鏡でね、それを買うことが誇らしく思えるから買っているだけの話で、こっちに投資しないでどうするんですかと。B2Bだってそうですよね。なので、品質以外の優位性を見出さなければ負けている企業が多いので、そんなことを書いていると。
あと、特筆すべき事項は、52ページのところね、この「こつこつ」という価値観がね、やっぱりすごくいろんなことを邪魔していて、僕はこの「こつこつ」という価値観の重要性は非常によく理解しているつもりだし、自分の80年とかの人生において「こつこつ」というのはものすごく大切な価値観だと思うんですよね。だから、これって80年とかのスパンで見ていく人生、人の80年とか、企業の80年、100でもいいですけどね、それを見ていく上で「こつこつ」という価値観は重要なんだけども、戦略とかマーケティングってもっと短期的な話なんですよね。1年、3年、5年のね、このスパンの中で、この「こつこつ」という価値観を持ちだしたら絶対負けるんですよね。基本は逆算なので、ゴールを明確に定めて、ターゲットですよね、そこに最も効率的に到達できる方法はどういう方法かということを逆算しないといけないので、こつこつ、こつこつ、一歩一歩進んでいくってね、これは長期的な100年の時間軸で考える価値観でね。これを混同してしまっているという個人と企業が非常に多くて。
「石の上にも3年」という言葉がありますけど、僕もね、若かりし頃、母に言われて、「石の上にも3年よ、一樹」って言われてね、一番最初に就職した会社にね、3年は辞めちゃいけないんだって自分に言い聞かせてね、3年行って辞めたんですけど。それはそれで良かったんですけどもね、1年とか半年で辞めたって、そんな何も見えてないわけだから。3年…、でも見えてないけど、ある程度見えた。でも、あれ、僕が思ったのは、3年以上いたら、これ時代変わってしまうよねと。「石の上にも3年」っていうのはね、まさに今そうなんですけど、3年もいたら周りが大きく変わってしまう。これはどういうことかと言うと、冷たい石でも3年座っていたら温まるという意味で、辛抱すればきっと成功は来ますよという、こういうことなんですけど。間違った石に座っていたらね、これは3年を単純に無駄にする話なので。そういうことも考えるとね、やっぱりこういう価値観がね、どうしてもマーケティング戦略というもの上ね、邪魔してしまう。そんなふうに思うんですよね。そんなことをね、ちょっと事例を織り交ぜながら書いているというのがこの章ですね。
ちょっとね、今日はもう時間が来てしまったので、また次回以降ね、少し続きのお話をしていきたいなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。