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アジア新興国 シェアの高い企業のR-STP-MM

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』、私の新刊でございますが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日からいよいよ具体的なフレームワークということで、75ページですかね、「マーケティングの基本プロセスはすべての根幹でありますよ」ということでお話をしていきたいと思います。いろんなフレームワークがあるんですけど、基本的には1つ、どれか1つ選んでくださいと。どのフレームワークを使うのが一番良いんですかということで1つ選べと言われたら、僕はこのマーケティングの基本プロセスというフレームワーク、R-STP-MM、ここでね、新興国市場って、入口から出口までおおよそ完結できるんですよね。多くの企業がこのマーケティングの基本プロセス、R-STP-MMの中にまだまだいろんな課題を残したまま前に進んでいてね、back to the basicじゃないですけど、ここの部分で課題がまったくないんだと、次の次元のもう課題に行っているんだという企業ってほんの一握りなので、やっぱりこのR-STP-MMのところを今一度見直すということはね、僕はすごく重要だと思っています。前作のこの本でも触れているし、これはASEANに特化した、ちょっと消費財メーカー向けの本ですけど、ASEAN6に特化した本でも触れているし、マーケティングの『グローバル・マーケティングの基本』、これでもすごく触れたので、マーケティングの基本プロセスというのはすごく重要ですよと。何回もあれですけども、学び過ぎない、使い過ぎないということと、あと、フレームワークはもうすべてが情報の収集力、情報あって初めてフレームワークというのは生きるので、そこはもう絶対に忘れないということが重要ですねと。

じゃあ、R-STP-MMをざっとちょっとお話をしていくと、スライドを出して、76ページの図ですね。マーケティングの基本プロセスというのはね、こういうR-STP-MM、こういう3つの構造で出来上がっていて。これ、『R』って何かと言うと、リサーチの略なんですね、リサーチの略。『R』はマクロ環境分析、ミクロ環境分析、SWOT分析という、この3つから成り立っていてね、もうすでにカタカナとアルファベットが出てくるとね、もうなんか、やる気なくしてしまう感じですけどね、簡単にね、平たく解釈すると、マクロ環境分析って、そこってどんな市場なの?ということを知るための分析なんですよ。ミクロ環境分析というのは、そこにはどんな敵がいるんですか?ということを見ていく分析方法。じゃあ、その市場ね、どんな市場なの? どんな敵がいるの?というね、マクロとミクロの市場を2つ合わせたときにね、そこに自分たちが出たらどんなことが起きるのかというのがSWOT分析なんですよね。こう考えると『R』のリサーチってね、マクロ環境情報とミクロ環境情報を集めてきてSWOT分析にかけてしまうと、その国でどれぐらいの確率で成功するのかと、もしくは、どれぐらい成功しやすいのか、しにくいのか、ということが分かるわけですよね。なんなら国ごとにやればね、どういう順番でその国に出ていけばいいのかということが分かって、非常に便利なツールで、ここをしっかりやればね、そんなにこう、出て、こんなはずじゃなかったという結果にはまずならないので、ここは1つ、『R』、すごい重要なんですよ。これは出る前ですよね。展開する前。

『STP』も展開する…、これは全部展開する前なんだけども、徐々に前線に近付いていく。『STP』というのは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの略で、この名の通り、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング。要はね、セグメンテーションというのはどういうのかって言うとね、例えばB2Bなんかはね、インダストリーに分けて自分たちの商品とか部品ってあるわけじゃないですか。自動車産業向けとか、通信産業向けとかね、分からないですけど、建築資材向けとか、いくつかあって、その中で大きい市場、小さい市場ってあるわけでね、どういうセグメントをまず狙うんですか。じゃあ、この1つのAというセグメントを狙ったときの、Aというセグメントの中でも、どの企業がターゲットなんですか。B2Bの場合、バイネームですよね。さらにそのターゲットに対してね、自分たちはどういうポジショニングを取るの?と。いわゆる品質が良い、なんとかポジションなのかね、どういうふうに見られたいのかということを考える。これはB2Cでもそうですよね。セグメンテーション、どの国の、どの都市の、どのエリアの、どういうライフスタイルを送って、どういう所得の、どういう性別の人たちがターゲットでね、セグメントでね、そのセグメントの中でも特にここがターゲットなんだということを考えていくわけですよね。その人たちに対してどういうポジショニングを自分たちは取るのかという、ここを決めていくってね、これは特にね、ポジショニングってね、ブランドエクイティづくりとね、僕は非常に近しいというか、そのものだと思っていて、ブランドエクイティ、自分たちが何者であるかということをね、やっぱり消費者って気にするんですよね。特に日本企業みたいに「プレミアムだ」「高品質だ」をうたうんだったらね、われわれはこういう者なんだという顔がないのはやっぱり駄目だなと思っていて。顔がないのはコモディティなんですよね。コモディティだったら安くしろという話で、そこそこの品質で安くしろという話なので。やっぱりね、日本企業はどの領域を見ていても、コモディティの領域を見ていても、自分たちの品質だったり、ものづくりにすごく大きな自信を持っているので、だとすると、このポジショニングというのはすごい力を入れる必要があって、ターゲットに対して自分たちはどう見られたいのかということがこの『STP』。

最後の『MM』というのがマーケティングミックスの略で、別名4Pなんていうふうにも言われますけど。これはたぶんみんな聞いたことあると思うんですけどね、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションの略で。このターゲットに対してね、『R』で「よし、ここは儲かる。出よう」と決めたときに、じゃあ、自分たちのターゲットは誰ですか、自分たちはどういうポジションでいきますかって決めたときに、このターゲットに対してどんなものを、どんな価格で、どんな流通を通じて、どういうふうにプロモーションして売るんですかということを考えるフレームワークなんですよね。ここに、多くの問題はこの中にあるんですよね。ここが最適化されている、ターゲットに対して4Pが最適化されればモノは売れるんですよね。なので、このマーケティングの基本プロセスがしっかりとできていれば、まず、出るべきか否かということの判断、そして、誰をターゲットに、どういうポジショニングで、どう打って出るのかということが決まってくるし、今、アジア新興国市場で課題を抱えている日本の製造業の皆さんの課題というのは全部このR-STP-MMの中にあると言っても間違いではないので、このR-STP-MM、マーケティングの基本プロセスは本当に重要ですよというお話でございます。

次回以降ね、この『R』を少し掘り下げてお話をしていきたいなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。