森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品等のメーカーさん、文具・化粧品なんかも含めていいと思いますけども、そういったFMCGのね、Fast Moving Consumer Goodsの製造業の皆様向けのお話になります。
ASEANですね、特にASEANを想定してお話をしていくことになると思うんですが、ASEANの市場参入ということで、すでに出ている企業も、これから出る企業も、現産現販、輸出でやっている、もしくはやっているんだけど、あまり、ちょっとパッとした成果が出ていない、いろんなステージの企業がいると思いますけども、それを全部含めてちょっとお話をしたときに、ASEAN市場でまず何が重要かっていうね、この間とあるセミナーで質問がいろいろ出たので、とあるセミナーというか、日本マーケティング協会に毎年呼ばれて行くんですけど、そこでお話をする中でいろんな質問が出ましたので、ちょっとその良い質問が結構たくさん出て、日本マーケティング協会の受講生ってね、ガチで、ガチでというか、企業でお金をたぶん出して来られてるので、すごく真剣に来られてるので、すごく質問が、良い質問が出るんですよね。なので、この番組でもちょっと、少しシェアしながらお話できたらなというふうに思っています。
まず、「ASEANの展開をする上で重要なことって何ですか」というね、すごく漠然とした質問があって。これはなぜ漠然としているかと言うと、日本マーケティング協会のセミナー、講座にはね、今、現場でまさにアジア、ASEANの現場でやっている人と、あと、まだそうじゃない、国内の市場が中心で、これから可能性がね、そういう部署に配属される可能性があるような人とごっちゃになっているので、そういう漠然とした質問もあるわけなんですよね。でも、この質問ってすごく良い質問で、「何が重要か」っていう。やっぱりこれって、国選びがすごく重要で、ほとんどの企業って、国選びのステージって、上から降ってきてほぼほぼ決まっているというケースが多くて、どちらかと言うと、「じゃあ、その国でどうやるんだ」みたいなところに非常に神経がいっているというケースを僕はたくさん見てきていて。でも、本当に重要なのってね、ASEANと言ってもこれは主要6カ国あるわけですよね。そこにカンボジア、ミャンマー、ラオス、ブルネイ入れたら10カ国あって、多くは主要6カ国なんだけども、仮に、じゃあ、主要6カ国だったとしてもね、どうやるかということよりも、やっぱりどこで最初に戦うんですかということのほうが圧倒的に重要で。先進的なグローバル企業というか、シェアの高い企業は、どう戦うかよりも、どこで戦うかのほうが圧倒的に重要だということを理解しているので、自分たちの経営資源をどこに集中させるのかというね、ここにやっぱりすごく時間も労力もお金もかけて調査をしている。
実際には国で見る、都市で見る、地域で見るというね、順番で言うと、地域で見て、国で見て、都市で見る、これ、この3つすべてが重要で。都市単位で見ないといけない。これは、なぜならば、首都とそうじゃない地域では可処分所得も1人あたりのGDPも大きく異なるので、例えばタイをとったときにもね、バンコクの収入と地方の人の収入というのは違うわけですよね。そうすると、マーケティングは全然変わってくるし、近代小売と伝統小売の数も変わってくるので、やるべきことというのは変わってくる。一方で、タイでやっぱり流行ったものが、そんなに時間をかけずにマレーシアに行くとかね、シンガポールで流行ったものがインドネシアに行くとかね、このASEAN6の中で人・モノ・カネ・情報がかつてないほど行き来がスムーズになっていると。そうすると、やっぱりこのどこで戦うんだということをしっかりと理解をする。そのときにマクロで見て、そこからグッとミクロで絞っていく地域、国、都市という、この3つの観点でどうなんだということを見ていくということがすごく重要なので。
何が重要ですか。最初のステップとしてね、やっぱりどうやるかということよりも、「そもそもその国をなぜ選んだの?」というところをしっかり考えていかないと、やっぱりどうやるかのところが崩れていってしまう。「ASEAN、どこもまだやったことないのに、なぜいきなりベトナムなんですか」って、「いや、ベトナムに生産工場があるので」「いやいや、生産工場…、生産拠点としての市場とマーケットとしての市場って全然違うじゃない」みたいな、そういう会社は少なくないので。早く出るということはもちろん重要なんだけども、ベトナムでまだ成功してないのにミャンマー、カンボジアをやるとかね。だから、そこはしっかりと「どこで戦うんだ」ということを、「なぜそこじゃなきゃ駄目なんだ、なぜそこがいいんだ」ということを考えるということは大変重要ですよという、そんなお話でございます。
皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。