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アジア新興国のディストリビューターは既に”椅子取り合戦”

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』の解説をしていきたいと思います。

今日は126ページですね。「アジア新興国のディストリビューターは既に“椅子取り合戦”」ということで、前回ぐらいなのかな、前々回ぐらいから第6章に入っていて、この第6章というのは、販売チャネルの、「強固な販売チャネル構築に必要な3つのこと」ということで、販売チャネルをどうやってつくっていくかということを書いてる章になります。その中で販売チャネル、強固な販売チャネル構築に重要なのは、ディストリビューターの発掘選定、それからディストリビューターとの契約交渉、さらにはディストリビューターの管理育成が重要ですよと。今後ね、それを1つ1つ丁寧に説明していこうと思っておるんですが…。

その前に、この一番最初のね、ディストリビューターの発掘選定なんだけども、結局、良いディストリビューターって、結果的にね、お話すると、もう既に取られているというか、多くのインダストリーで、日本の製造業の海外展開、製造拠点としての展開は早かったけども、現地、アジア新興国、マーケットとして捉えたときの展開はやっぱり必ずしも早くないと、先駆者ではない、間違いなく。そうすると、やっぱり既に参入をしている先進的なグローバル企業が良いディストリビューターをもう既に活用しているケース、もしくはもともと新興国に良いディストリビューターなんていうのはなくて、それを先進グローバル企業が苦労して育てていったという歴史的な背景があって、なので、非常に先進グローバル企業に対するロイヤリティが強い。なので、椅子取り合戦になっていますよと。残ったディストリビューターをどうやって獲っていくかと。結局、ディストリビューターの関係って、コミュニケーションの量じゃないですか。コミュニケーションの量を、密度というんですかね、これを格段に上げていくには時間が必要なので、やっぱり長く付き合っていくと、ディストリビューターとの関係性って強くなっていくわけですよね。その上では、残っているディストリビューターは、もう良いところは取られているので、その状態で獲っていくというのはすごく椅子取り合戦状態になっていて。

ちょっと図で説明をすると、どういうインダストリーでもね、B2BでもB2Cでも結構だと思うんだけども、こういうようなディストリビューター、上軸がね、上下軸が上に行けば行くほど規模が大きい、下に行けば行くほど規模が小さい。右に行けば行くほど取り扱い商品が近い、自分たちが取り扱っているものに近い、左に行けば遠い。究極は右上が一番良いわけですよね。自分たちが例えば食品を売っていたら、これ、食品にね、近いディストリビューターが良いわけだし、一番左のね、規模が小さくて売っているものが違うなんていうのは、もうもう選択肢にも入らないので、この図では消してますよね。例えば、食品を売っているのに、ネジを売っている、さらに規模が小さいって、そんなところに食品を売ってもらう、極端に言うとね、必要はないので、例えば、そうですよね。そうすると、一番良いのは右上ですと、グループAですと。規模が大きくて、ただ取り扱い品目が異なると、グループCですよね。規模は大きいと。規模が大きい、ネジを売っているディストリビューターさんっていって、さすがにネジってね、食品とネジって遠すぎるので、そういう話ではなくて、食品か、例えば日用品かとかね、フードかノンフードかみたいなね、そういう違いでグループC。ただ、やっぱりね、取り扱っているものが違うとね、なかなかうまくいかないというのが僕が今まで経験してきた実態です。食品、フードを売りたいのにね、ノンフードのところにお願いするとか、結構ビバレッジ、ドリンク系が多いところにスナック菓子を売らせるとか、これはやっぱり難しいんですよね。なぜ難しいかと言うと、例えばB2C、近代小売のバイヤーもコネクションのあるバイヤーが違うし、君たちビバレッジが強いでしょみたいな、ビバレッジが強いということは、結構オンのマーケットとオフのマーケットがあったときに、レストランみたいなね、ホレカみたいなところが強かったりするんですよね。実際に自分たちはスナックを売りたい。スナックとホレカはあまり関係なかったりするので、結局、売りたい先に売れないっていうことが起きる。基本的にはグループCがね、例えば、「いやいや、これからフードを強くやっていくんです、力を入れていきたいんです」という明確なオーナー社長の意思があって、そこに明確な投資がされるという状況、例外を除けば、まずもってグループCでやって成功するということはないので、結局、グループBから選ぶということになるんですよね。グループBも、できる限りグループAの下からグループBの上ぐらいのところで、極力右よりの、いわゆる取扱商品が近いところを選んでいくということになるのが現実的。

僕、思うんですけど、思うんですけどっていうのは、過去の実体験からお話して、グループAが規模がでかくて、実績があって、商品取り扱いが近いってね、それはいいんだけども、これから始める企業にとって規模が大き過ぎるって必ずしもプラスにはならない。なんとなくぼんやり考えると、規模が大きい=実績がある、安心、みたいな話になるんだけどもね、結局、具体的に業務に落とし込んでいくとね、規模が大きいということはね、やっぱり重要なプリンシパル、メーカーがたくさんいるわけですよね。重要なブランドをたくさん抱えていて、その状況でこれから始める会社との取り組みにね、エース級の人材とかチームがあてがわれるかと言うと、やっぱりあてがわれないし、大切にされるかって言うと、やっぱり一番重要なのは既に取扱量の多いプリンシパル、メーカーが最優先なわけですよね。そうすると、あらゆることにおいて後回しにされる可能性が非常に多い。可能性じゃなくて、実際そうなるんですよね。相当な両社のトップ同士の握りがあって始めない限り、基本的にはそうなりますと。そうすると、グループBの中堅で、まだ30~40代の若い経営者でね、ある程度こちら側でもコントロールラブルな会社のほうが実際にはうまくいきがち、導入期はね。これが成長期になったときにこの導入期に付き合っていたディストリビューターだけでは不十分であるという場合に初めて併用したりとか、別のディストリビューターに切り替えたり、なんていう話が検討材料として上がってくるということになるので。必ずしも大手が良いとは限らないですよ、というお話ですよね。椅子取り合戦になっていますよ、というのがこの章のお話でございます。

次回以降から、具体的に発掘選定と、それから契約交渉、さらには管理育成みたいなところのお話をしていきたいと思います。皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。