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アジア新興国 強固な販売チャネルはディストリビューターの選定が肝

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』の解説をしていきたいと思います。

今日は128ページですね。「ディストリビューターは絶対評価と相対評価で絞り込む」ということで、今日から強固な販売チャネルのつくり方のお話をしていきたいと思います。強固な販売チャネルをつくるためには、ディストリビューターの発掘選定、それからディストリビューターとの契約交渉、これは儀式的な契約交渉を言っているのではなくて、契約締結までに握るべき事項がいくつかありますので、そのことを言っています。あと、契約締結後の管理育成、これが非常に重要ですよと。この3つがセットになって初めて強固な販売チャネルはつくられると。その中でも成功の5割以上を決めてしまうと言ってもいいぐらいのこの発掘選定、これは非常に重要なポイントで。こんな言い方をするとちょっとひどいやつみたいな思われ方をしてしまうかもしれないですけど、やっぱりね、ダメなやつとどれだけやっても、これはダメなんですよね。ダメなディストリビューターとどれだけやっても、これはダメにしかならないので、いかに自分たちに合致した相手と組むかということはすごく重要で。ここで言う合致というのは、必ずしも規模が大きい、実績があるということを言っていなくて、自分たちのレベルと合致してなきゃダメなんですよね。自分たちがこういうレベルにいるのに、こういうレベルのディストリビューターと組んでもね、必ずしも良いことにはならない。なので、自分たちの今のレベル感と合致させていくということがすごく重要で、そのことも含めて、この発掘選定の話をしていきたいなというふうに思います。

まず、ディストリビューターの発掘選定なんけども、スライドをお願いします。全体の流れとしてはこの1、2、3ですよね、発掘選定、契約交渉、管理育成というのがあって、発掘選定というのは、この1番のところですよね。いわゆる契約締結、2番の契約締結までにどのディストリビューターと組むべきかという候補を出していくというプロセスなんですよね。ロングリストからミドルリスト、ショートリストに絞り込んでいく。まずね、やってはいけないのは、自分たちが手の届くところにあるディストリビューターだけを集めて「ここにしよう」みたいな。要はこれはどういうことかと言うと、網羅的じゃないですよね。その国、例えばベトナムならベトナム、フィリピンならフィリピン、インドネシアならインドネシア、すべての対象インダストリーのディストリビューターを全部並べて、その上で一番良いところはどこだという選び方をしないといけないのに、断片的な情報、銀行からもらった情報、なんとかからもらった情報、自分たちがもともと知っている情報、ネットで得た情報、そんなところから、「ここがなんとなく良さそうだ」と。この「なんとなく良さそうだ」も、そのディストリビューターの規模、実績、それから印象、会ったときの印象、日本語ができるとか、フレンドリーだとか、そんなことはまったく関係なくて、そんなことから決めていってしまうというケースがすごく多くてね。そうではなくて、このディストリビューターを決めるときにまず一番重要なのは、この番組でも何回もやっていますけども、重要なのは「誰と」売るかよりも「誰に」売るかということのほうが圧倒的に重要なので、自分たちの売りたい相手をまず明確にするということが重要なんですよね。B2Bならバイネームで企業を明確にする、B2Cであれば消費者、中間層、アジア新興国は中間層なので、どういう中間層なのかを明確にしたら、その中間層が最も接点を持っている小売がどこなのか、これは近代も伝統も含めて明確にして。このステージでは、例えばこの近代小売にとか、このぐらいの数の伝統小売にリーチできるディストリビューターが自分たちが必要なディストリビューターになるわけですよね。だって、その顧客に売れないディストリビューターといくらやったって何の意味もなくて、そのディストリビューターが大きかろうが、実績がたくさんあろうが、自分たちが売りたい先に売れるか売れないか、もうこれだけが一点の、唯一のフォーカスポイントなんですよね。そうすると、この全部のリストね、極端な話、もうそんな小さい下のほうの会社は探す必要ないと思います。日本企業の場合はインダストリー上位20社ぐらいまでで十分だと思います。その20社の中で絶対的な評価と相対的な評価で決めていくんだけど。まず絶対的な評価って何かと言うと、その売りたい先に口座があるのかないのかということですよね。例えば口座がないんだとするとね、口座がないところに口座をつくるの、最低でも1年かかりますよね。むしろその口座をつくってからの関係を強化させていくのにまた何年もかかるわけなので、もう口座がないというところは排除するわけですよね。そうすると、例えば自分たちがフードを売りたいのにノンフードのディストリビューターとかっていうのはそもそもその時点で絶対評価で排除なんですよ。なぜならば、確かにフィリピンのSMと取り引きがあると、ベトナムのウィンマートと取り引きがある。なんだけども、それはあくまでノンフードのバイヤーとの取り引きであって、フードのバイヤーとの取り引きではないので、はい、排除とかね。ホレカ、業務用市場は取り引きがないので、はい、絶対評価でもう消し込みみたいな話になる。これはB2Bでのそうなんですよね。自分たちが自動車産業をターゲットにしているのに、通信産業にしかルートがない。もうこれは絶対評価でアウトというかたちで、絶対評価でグワーッとざっくり絞っていくと。最終的にショートリストになった段階で、これは初めて相対評価というものが出てきて、相対的に比べていくわけですよね。右の5社ぐらいをね、相対的に絞り込んでいくと。

まず、絶対評価と相対評価。絶対評価の基準としてはね、例えばなんですけど、B2Cとこれ、図にありますけども、次のスライドですけども、B2CとB2Bでね。B2Cだったらね、例えばこのスキルセットというのが絶対的な評価なんですよ。マインドセットというのが相対的な評価で。絶対評価というのは提案力とか資金力とか対応力、B2Bだったら提案力、資金力、配荷力みたいなものがなければ…。これ、ごめんなさい。B2Cだったら配荷力ですね、B2Bだったら対応力がなければ、これはもう、そもそも対象にならないので、こういうところはもうNGというか、絶対評価で取り払っていかないといけない。一方でスキルセットが、最低限自分たちのやりたい相手に提案できる、やりたい物量が資金力で回せる。対応力というのは、B2Bのね、例えばアフターサービスの対応ができるとか、配荷力というのはチャネルへの配荷、自分たちが10万店の伝統小売に売りたいなら10万店の伝統小売に配荷できるみたいな力を言ってるんですけど、こういう最低限の力、スキルセットがあるということを絶対的に評価していって。これが、スキルセットはクリアしているところが5社に絞り込んだあと、じゃあ、どうするかと言うと、これはもうオーナー社長の人柄とか思想とか熱量、皆さんの商品に対してどれぐらいの熱量を持って一緒にやっていきたいのかということを肌で感じていくしかない。それを相対的に考えて、最終的な1社なのか複数社なのかに選定していくということをやっていくんですよね。僕の経験上、このスキルセットよりもね、やっぱり最後はマインドセットなんですよね。例えば5社の企業のスキルセット、もうこれは優劣がつくので1から5までつくわけですよね、順番が。じゃあ、一番良いところを選ぶかと言うと、そうではなくて、マインドセットがやっぱりすごく重要で、最後は熱量なんですよね。どれだけそこに熱量、オーナー社長の熱量ね、かけていこうとしているのかということがすごく重要になるので、そこは最後、非常に重要なポイントになっていくかなというふうに思います。

こうして決めていくということになるわけですけども、ちょっと時間がきてしまったのでね、また次回ちょっと丁寧にお話をしたいなと思いますが、そうやってディストリビューターを選定していくということになります。次回もう1回おさらいをしていきたいと思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。