森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も暑いですね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。本当にこれ、東京は中東かなというぐらい暑くて、もうこんなに昔、暑かったかなって毎年思うんだけど、本当に暑いですね。とてもじゃないけどスーツなんて着てられないんですけど、ケースによっては頑張って着ているという今日この頃でございます。妻と息子はもう軽井沢に避難してしまいまして、私も今週来週は行ったり来たりする感じでございます。この時期、軽井沢はね、よくね、テレビでもね、「軽井沢も暑いです」とかって、「東京と変わりません」とかって放送してるんですけど、基本的に彼らが放送しているのって、軽井沢の駅前とかね、コンクリートがバーッと張ってあるような、そういうアウトレットのところで取材してたりするので、「東京と変わらないです」って言ってるんですけど。実際に軽井沢って別荘地なので、人がいるところってもっと森の中なんですよね。そうするともう10℃ぐらい気温が違うので、「あー、なるほどな。軽井沢がなんで昔から避暑地として繁栄していったのかって、こういうことなんだな」っていうのを僕は毎年感じるのでね。報道、本当にいい加減だな。「暑い」って言いたいっていうのがね、もう結果ありき、結果ありきというか、取材の方向性が決まってるから、「暑いです」ってやりたいから、ああなってしまうんでしょうね。まさか森の中が涼しいって知らないとは思わないのでね。まあまあ、すみません。話が逸れましたが…。
今日はね、最近すごく思うんですけど、われわれの仕事はお客様のアジア新興国市場におけるシェア拡大とか、売上拡大とか、それをご支援するというのが僕の仕事なんですけど。すでにほとんどのお客様、新規でこれから参入するというのも当然あるんだけども、それってほんの一部でね、ほとんどがもうすでに参入をしていて、ただ、うまくいかないのでご相談いただくというケースで。じゃあ、なぜうまくいかないのかっていうことを可視化して、ファクトを可視化して、そこに対して対策を打っていくというのがわれわれの仕事なんですよね。その中ですごく思うのが、物事を非常に複雑化し過ぎているという問題と、あと、解決策に対して何かしらできない理由を挙げるという、この2つの問題が必ず起こるんですよね。これは社内でも社外でもというか、われわれの社内でもそうだし、お客さんの中でもそうだし。僕はブレークスルーってこの2つをしっかり取り除いていくことだと思っていて、ものすごく難題なものに誰もが達成したことのない難題に挑んでいくというよりかは、問題は実は非常に近いところにあって、実はもう薄々気付いていて、やるのかやらないのかみたいなところに結構多くの問題が僕はあるんじゃないかなというか、あったんじゃないかなというか、実際に今までのプロジェクトの中でやっぱりそういうことが多かった。
まず大前提として、この番組でも散々お話してきましたけども、ファクトを可視化するということをしてなさ過ぎ、要は知らなさ過ぎという問題がまず絶対的にあって、なんでそんなことも知らないんですかっていう問題がやっぱり多いので、しっかり調査をやるっていうことはまず大前提で。事実を明らかにするっていうことはめちゃめちゃ重要なんですよね。事実を知らないので、自分たちが知っていることを前提で解決策を探ろうとするので、勝つ確率論が下がってしまうんですよね。しかも、自分たちが知っていることの多くは、現地のことというよりかは自分たちが今までやってきたバックグラウンドのこと、日本が長ければ日本での経験がベースになるし、欧米が長ければ欧米の経験がベースになるし。でも、今、われわれが挑んでいるのは、このASEANのこの国のこの都市の話でしょということになってくると、やっぱりそこのずれが大きく出てくるわけですよね。なので、まず知るということは大前提としてあるわけですよね。
その中で、ややこしく考え過ぎる、深読みし過ぎる、消費者を、もしくは市場を、流通を、競合を。結局、僕、常に自分自身にも社内にも言い聞かせるんですけども、マーケティングって誰に何をどう売るかっていう、これを考えていくことがマーケティングなわけですよね。シンプルに誰に何をどう売るかって考えたときに、「誰に」っていう、今は消費財、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財を前提に話してますけども、もうこれは中間層以外にないわけですよね。ここからやっぱり逸れるっていうのが必ず議論になるんですよね。中間層のど真ん中に行かないで上振れしていく。なぜならば、「製品が」という、そこから入ってくるわけなんですよね。ここの概念を変えていかないと、これってさっき言った1番と2番が結び付いているんですけど、難しく考えるということと、あと、何かしらできない理由を考えている。中間層が重要だって。だって、数字がそう示しているわけじゃないですか。「爆発的に拡大する30億人の中間層が重要ですよ」って言っているので、中間層を狙う以外なくて、消費財メーカー、FMCGは、いかにたくさんの人に、いかに早い頻度で、いかに永遠に繰り返し買い続けてもらうかがビジネスの肝なわけですよね。そうするともう、これは数の勝負で、富裕層とかお金持ちとかまったく関係なくてね、お金持ちだろうが、お金を持ってない人だろうが、毎日食べるし、飲むし、使うので、もう、数のビジネスなわけですよね。そうすると、絶対的に中間層から逃げるという戦略はもう戦略としてそもそも間違っている。「自分たちの商品が高いので狙えないんです、中間層」って言うと、もう高いのを変えるしかないわけですよね。「日本からの輸出でやっているので」、日本からの輸出でやるのを変えるしかないわけですよね。まあまあ、現実的には輸出である程度やって、ある一定のところまでいったら現産現販をしていくわけですけども。ここでね、必ず引っ掛かってくるんですよね。なので、僕はシンプルに考える、そんなに深読みしなくても、マーケットはそんなにコンプリケイテッドな市場じゃないですよと、複雑な市場じゃないですよと。もっとシンプルに考える必要があるし。あと、できない理由をやっぱりいっぱいつけてしまうので、そこを取り除いていくっていうことは、1つのブレークスルーにつながっているなというふうに。
なんかね、当然のように議論をやめてしまうんですよね。「いや、もう、うちはこれしかつくれないんで」っていうふうになってしまうと、もう狙えないじゃないですか。「伝統小売、狙わない」という選択肢が確定するんですけど、ASEANに行くのに伝統小売狙わないなんていう戦略はそもそもないんですよ、ちょっと俯瞰してマーケティング全体を考えたときにね。そうすると、「なに、そこで議論を止めているの?」っていう。でも、それを議論することがタブーとなっていく。これがいわゆるグループシンクというやつなんですけどもね。いわゆる「そっちの方向の話はしちゃダメだ」というふうにグループの中で1人の権力者がそういう方向に導くので、それに当然ながら周りも引っ張られていくみたいなね。だから、そこ、シンプルにそこを突いていく。とにかく知らなさ過ぎるという前提があって。複雑に考えない。複雑なモデルじゃないんですよね、消費財をASEANで売るというのは。もうすでに欧米のメーカーがたくさん散々1980年代からやってきていて、すでに何千億円、1兆円を超えるようなアジア、中国の消費財メーカーもやっていて、そこにはたくさんの成功事例、失敗事例が出ているので、誰もチャレンジしたことのないようなことをやるっていう話ではないので、可視化をしていくと、答えはそこにある程度あるという。だから、複雑に考える必要はなくて。あと、もう1つは、ダメな理由をずっと考えていく、中間層から逸れるっていうね、このここがやっぱり一番の要因じゃないかな、日本の消費財メーカーは、というふうに思いますね。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。