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アジア新興国戦略を俯瞰して見ることの重要性

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。すみませんね、こんな焼けた見苦しい姿をお見せして。夏は、僕、ただでさえ日焼けしやすい体質で、日陰にいてもね、光がグーッと屈折して僕に当たってくるっていうぐらい、すぐに焼けてしまうんですけど。子どもと海へ行ったり、プールへ行ったり、そんなのでね、こんなに真っ黒になってしまいまして。「森辺さん、毎日ゴルフですか」というふうに言われるんですが、ゴルフではなくて、プールでございます。

じゃあ、今日、すみません、早速でございますが、少し何の話をしようかなと考えていて、アジアっ新興国市場のグローバル・マーケティング、販売チャネルにフォーカスをした話、どちらかと言うと最前線に立った方が現場で必要となる情報の提供みたいなお話が結構この番組は多かったのかなというふうに思うんですが、今日は少しミクロよりかはマクロ側にちょっと引いてお話をしていきたいなというふうに思います。対象はFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーで、アジア新興国市場、グローバルでちょっと考えてもらってもいいのかなというふうに思っていて。なんでそういうことを言っているかと言うと、われわれの仕事もそうなんですけど、いかに特定の国でね、タイでこのカテゴリーでシェアを5%上げるかとか、売上を何%上げるかとか、インドネシアでシェアを何%上げるかとか、そういうことのお手伝いをするっていうのがわれわれの仕事の主軸になっていると。そんな中で、やっぱり現場のこの最前線の状況を見ていろんな手を打っていくんですけど、この戦いって目の見えている範囲での戦いをしているわけですよね。一方で、われわれがすごく考えなきゃいけないのは、前提としてグランドデザインがあって、全体像が、世界地図があって、世界中でどういう企業がどういう戦い方をどの大陸でやっているのかということが完全に分かった状態で、じゃあ、インドネシアをやろうとか、ASEANをやろうとか、タイをやろうとか、アジアをやろうとか、まあまあ、そういうのがあって、あるっていうことが前提なわけですよね。だから、グランドデザインを持つということはすごく重要で。シェアの高い企業とか欧米の先進的なグローバル企業は必ずグランドデザインを持った上で、ミクロにそのエリアに集中して戦略を展開していますよ、戦術を展開していますよという話をこの番組でも過去いくつかのエピソードをやってきたと思うんですが。私の直近の書籍でもね、グランドデザインについてはいろいろ書いてますけど。これに関して少しちょっと整理をしながら話していきたいなと思うんですが。

例えば、消費財で、タイでどうやってシェアを上げようとか、インドネシアでどうやってシェアを上げようって一生懸命考えてもね、一生懸命考えて、仮に時間をかけてね、5年10年かけて、タイでここまでいった、インドネシアでここまでいったとしても、ASEAN全体の競争がどうなっているかによって、そのアクション、5年間のアクション、10年間のアクションが無駄にすらなるっていうことが往々にしてあったりするわけなんですよね。グランドデザインが重要だというのは、まさにそういうことを言っていて。世界の大陸を3つに分けたとき、欧米とアジア、それから日本、まあまあ、日本単体で見るケースは多いと思うんですけど、このだいたい3つ、4つぐらいで分けたときに、自分たちの主要なプレイヤーがいるわけですよね、FMCGだったら、食品だったら食品の主要なメーカー、菓子だったら菓子の主要なメーカー、乳だったら乳の主要なメーカー、日用品だったら日用品の主要なメーカー、文具だったら文具の主要なメーカー、これらがそれぞれの大陸でどういうアクションをしていて、この世界のマーケットを獲りあっているというのがグローバル競争ですよね。このグローバル競争がどういうふうに進んでいて、だから自分たちはASEANなんだとか、インドネシアなんだとか、タイなんだ、みたいなのが本来はあるべきで。もしかすると、仮にタイで勝ったとしても、ASEAN全体で負けてしまったら、いずれタイも取られる。だったら端からやらないとかっていう選択肢もあるわけですよね。基本的にASEANやらないという選択肢はないと思いますけど、ほかの地域でいったら。そうすると、やっぱり世界地図を広げたときに、自分たちの主要競合、5社でも10社でも並べたときに、どの地域でどんなことをしているのかということがまず大前提としてあって。

なぜこんな話をするかと言うと、現場で一生懸命販売チャネルをつくっていくということは大前提重要なんだけども、このスピード感だと競合の競争力を考えたときに勝てないよねと、M&Aだよねとかね、別のまったく次元の違う、現場でチャネルをつくるということとは次元が違う、M&Aという選択肢が新たに出てくるので、この積み上げ式で、とにかくこの先に何があるか分からないけど、今、目の前にあることを頑張ってコツコツ積み上げていけば、そこにはきっと幸せが待っているはずだという、このわれわれ日本人がある意味大切にしてきた価値観、これはね、人生70年80年とかで見たときにはすごく大切な思考の方法だと思うんですが、こと企業のアジア新興国の戦略で見たときに、これをやってしまうとやっぱり、コツコツやってきたのに、5年経ったら、あれ、市場が総変わりしてしまったなんていうことは全然あり得るんですよね。中国の2000年代初頭と2010年代初頭ってまったくマーケットが変わってしまったので。それはまさにそうですよね。2000年代からコツコツやってきたのに、2010年代になったら一気に市場が変わってしまった。2020年代にはさらに市場が変わってしまったということが実際に起きているわけなので。この全体像を俯瞰して見るということはすごく重要で。その上で、今、ASEANをどうするんだ、インドネシアをどうするんだ、タイをどうするんだということがまずないといけない。ただ闇雲にタイが市場が重要だからチャネル構築しますということではなくてね、やっぱり全体で見ていく。これ、マーケットを獲っていくって、自分よがりの話ではなくて、世界中の企業との競争の中で打ち勝っていかないといけない。だから、欧米系の先進グローバル企業もそうだし、中国系の企業もそうだし、タイとかインドネシアのね、ASEANの企業もそうなわけですよね。こういう企業との競争を、相手があって初めて自分のシェアが増えたり減ったりする話なので、世界地図を広げたときに、主要な競合がどういう戦略でどういう手を打っているのかというグランドデザインがないと、いくらこの目の前のミクロの戦略戦術をやっていっても、結果として意味がなかったということに往々にしてなるので、このグランドデザインを描くということはね、すごく重要ですよと。

そのグランドデザインを、じゃあ、描いていくときにね、もっと具体的にどういう競合がどれぐらいの規模でいるのかということを見ていかないといけなくて。それを少しね、今日は時間がないのであれなんですけど、次回以降ね、例えば世界の10大消費財メーカーの売上とか時価総額ってどれぐらいの規模で、どれぐらいの会社が世界中でどんなことを展開していて、それらと戦っていかないといけないわけですよね。彼らは先進的なグローバル企業で大き過ぎるから競合じゃないなんていうのはもうなくて、彼らとどう戦っていくかという話だし。新たに中国のFMCGのトップ10の企業ね、どういう食肉加工会社があるのか、どういう乳製品の会社があるのかとかね、こんなところをちょっと売上順で見ていったりとか、あと、ASEANのFMCGのトップ10企業とかね、こういうものを紹介しながら、タイでの競合が云々とかね、インドネシアでの競合、これもこれでミクロの話で大切なんだけども、ちょっと引いて俯瞰して考えたときに、グローバル全体で主要な競合がどういうことをやっているのか、それを完全に理解した上で自分たちのグランドデザインがあって、ASEANをどうする、タイをどうする、インドネシアをどうするということがないといけないので、特にこれ、現場で現場の仕事ばかりやっていると、この俯瞰した絵を見るということがね、世界全体を見なくてもいいけども、少なくともタイ、インドネシア、アジアぐらいのこの大きさで見ていかないと、やっぱり誤った方向に進んでしまうので、この次回ね、企業をちょっと見ながらお話をしていきたいなというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。