欧米系と日系消費財メーカーの5つの異なる特徴
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日はすみません、誰とも会う予定がなかったので、こんなラフな格好をしておりますが。普段、特にお客様と会う予定がないときは、すみません、こんな格好で収録をしておりますが…。今日の話なんですけども、欧米系の先進的なグローバル企業と日本の企業、今日のお話も、前回、前々回の続きなので、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品・文具・化粧品などのいわゆるFMCGとその周辺商品が対象になりますが、これらの外資とね、日系消費財メーカーの5つの異なる特徴について今日はお話をしていこうかなというふうに思っています。前回、欧米系だけじゃなくて、ASEAN系、中国系の消費財メーカーのトップ10企業の紹介をしたと。どれだけ多くの企業がもうすでに存在しているのか、どれぐらいの規模なのかという、あまりにもやっぱりわれわれ、僕が見ていてね、アジア新興国展開、FMCGメーカーのアジア新興国展開が、競争力の戦いだという前提をどこか別のところに置いて、自分たちが正しいことを、もしくは良いことをしていれば報われるというようなね、こういう価値観の中で戦略が進んでいる印象をとても強く受けていますと。でも、シェアを獲るというのは他人から5%奪うから自分のシェアが5%上がるので、常に競争にさらされているわけなんですよね。成長著しいアジア新興国市場というのは、欧米の消費財メーカーだけじゃなくて、中国系、韓国系、台湾系、それからASEAN系の消費財メーカーが、10年15年前は小さな会社が、今、何千億円、何兆円を超えてくるね、1兆円を超えてくるような企業も出てきていると、ASEANの中にはね。かたや欧米系は何十兆円の規模。その中で、本当に自分たちが今の戦略で戦っていて勝てるんですかと、今のペースでやっていて勝てるんですか、スピードでやっていて勝てるんですか、今のやり方で勝てるんですかということをやっぱり常に俯瞰して見ていくということはすごく重要で。ちょっとスライドを見ながらね、5つのこの日系の消費財メーカーと欧米系の消費財メーカーの違いをね、今日はお話をしていこうと思います。
じゃあ、スライドをお願いします。この図の通りですが、欧米系と日系消費財メーカーの5つの異なる特徴ということで。5つの軸、項目に合わせてちょっとお話をしていこうかなと思っていて、1つは戦略、それからチャネル設計、ブランド運営、マーケ&販促、あと、規模の生かし方。やっぱり彼らの戦略をね、僕らの仕事は、欧米系はもちろんのこと、中国系、韓国系、アジア系、ASEAN系、こういうFMCG企業の成功の要因や失敗の要因を調べて分析をして、その中から日本の消費財メーカーの勝ち筋をつくっていくというのが僕の仕事なので、いろんな調査分析をするんですよね。その中で、やっぱり戦略がもともとグローバル標準化と言った、世界標準化と言ったほうがいいのかもしれないんですが、やっぱりしっかり本社で世界標準化戦略というのがあって、変えてはいけないところ、変えるべきところというのが明確に示されていて、その変えるべきところをローカライズしている、現地適合化していくと、現地主導でやらせていくという、ここのメリハリが非常に明確になっているんですよね。これが日本の企業だと、基本的に本社に戦略がなくて、現地任せ、俗人的なアプローチという、なんともこの戦略的ではないアプローチ、これがやっぱり非常に目立つんですよね。このやり方にもう、もはや限界がきていて。おそらく多くの消費財メーカーは、それにすでに気付いている、気付いていると思うんですよね。なので、われわれのところにご相談に来てくださると思うので。グローバル、世界標準化まで、世界標準化すればするほど投資効率は良くなるわけですよね。すべての国で同じ戦略の土台を築いてやっていく。その上で要所要所で現地適合化をしていくので。この世界標準化戦略をやっぱりつくっていく。僕の専門は販売チャネルなので、販売チャネルにおいてどうやって世界標準化をつくっていくか、世界標準的な型、1つのベースとなる型をつくっていって、それを各国で変えていくというね、こういうことをお手伝いするわけですけども。やっぱりそういうのはすごく重要ですよね。そうすると、型をつくってしまえば俗人性を極力排除できるので、この国はこういう人がいるから、20年駐在がいるからうまくいくとかね、この国はいかないとか、それがなくなるわけですよね。だから、この型をつくる、戦略の型をつくるというのはすごく重要なことであるというのは1つですよね。
あと、今、チャネル設計、チャネルの話を少ししましたけど、型をつくりましょうということなんですけど。欧米系とか、欧米系という言い方もちょっとおかしいのかもしれないですけど、シェアの高い企業と言ったほうがいいのかもしれないですけど、シェアの高い企業はね、自社主導で設計して、自社主導でコントロールしているんですよね、チャネルをね、チャネルの設計が。これ、シェアが高くて、「お任せです、うちはもう任せてるんです、自分たちはつくる人、売るのはパートナーさん」なんてやっている企業はね、1社の事例も僕は見たことがない。基本的にシェアの高い企業の共通点は、チャネル設計、自社主導で設計してコントロールしていますと。それが自分たちの型になっていくわけですよね。一方で、ダメな企業というのは、商社とか代理店任せにしていて、最悪なケースはブラックボックスにされてしまっていると。よく分かりませんみたいな。いや、二次店が大半を売っているというのは分かっているんですけど、その二次店がどこなのか、教えてくれませんとか、売り先の情報、教えてくれませんとか、小売と会わせてもらえませんとか、そんな状態になってしまっていると。もしくは、商社自体も把握していません。その先に2社かんでいますみたいな、そんな状態で何をチャネルつくるんですかという話になってしまうので。やっぱりここはね、すごく自社主導、これ、自社主導のチャネル設計って、まさに自社主導のマーケにも共通する話なので、とてもとても重要なポイントだと思います。
3つ目のブランド運営ね。製品・ブランド単位のポートフォリオ経営と、これはよく言われますけど、社名=ブランドの傾向が強く、柔軟性に欠けるというのが日系だよねというのも1つだし。
4つ目のマーケ&販促。データにもとづく戦略設計と積極的な投資。データにもとづいているわけですよね。ファクトというデータにもとづいているので、確率論がいいわけですよね。確率論、高い確率論で戦略を実行するので、思い切ってそこに投資ができると。日系の場合は、販促は現地任せ、データ不足でPDCAが回らない。最悪のケースは、現地のディストリビューターにある程度プロモーション予算を委ねて、あとは自由にやってくれと。一応、領収書を見せてねみたいな。何に使われたのか分からないですよね。日本で例えば菓子メーカーさんがね、問屋さんにプロモーションをお願いしますかって、絶対お願いしないことを、海を越えるとお願いするみたいな。いや、海外のことはよく分からないし、よく分かっている人にお願いしたほうがって。いや、それ、全然お願いする相手が違いますよねみたいな、そういうケースも多々見られる。
あと、規模の生かし方。グローバル調達、生産、販促を最適化し、規模の経済を徹底活用。どれだけROIを上げるか、投資対効率を上げるかということがやっぱり絶対条件ですよね。欧米系の戦略的な、先進グローバル企業は特にね。どれだけ少ない投資でどれだけたくさんのリターンを生むかって、もうね、これ、この考え方が、何だろうな、欧米の戦略的なシェアの高い会社の根幹にあるので。ここ、われわれの良いところでもあるのかもしれないんだけども、努力をしないで何かを得るなんてダメみたいなね。いやいや、そうじゃないんだと。努力しなくても得られてしまったら、そっちのほうがいいみたいな。つまりは最小の努力で最大の効果を出すということをね、われわれの文化では美徳としない場合があるわけですよ。しっかりと適正な努力をしたから効果が得られるんだみたいなね。でも、残念ながらそのやり方はなかなかアジア新興国では通用しないと。各国で個別対応が主流、全体最適が困難でコスト増につながりますよと。コスト増につながったら、投資に回せるお金が少なくなるので、当然ながら結果が出にくくなるということなわけですよね。
とにかくこういう違い、僕が今回上げた5つの違いをね、1個1個やっぱり潰していく、改善していくしかなくて。そのためには、ある程度われわれみたいな専門家を使うというのはね、そこにフィーがかかるって言ってもね、それはしょうがない話だと思うんですよね。そこのフィーをケチってしまうんだとすると、たぶん今のグローバル競争のスピードには到底かなわないし、逆に言うと、われわれのような専門家もいろんな専門家がいるので、どの会社が適任でね、どういうふうに使っていけばいいのかっていうこともまたノウハウで。じゃあ、これらのシェアの高い企業がね、最初から専門家をうまく使いこなせていたかというと、決してそうじゃなくてね、いろんな失敗をして、違うところ、見当外のところに見当外のお願いをしてきたとかね、そういうケースもあるわけですよね。うちの場合はね、グローバル・マーケティング、販売チャネル以外の話はそもそもお引き受けしないので、お断りしますけど。何でもやれるようなね、ところは何でもお引き受けするというところもあるので、使い方も1つのノウハウだと思いますし。なので、今日は5つ挙げましたけど、こういう5つ、この5つがやっぱり僕が市場で見ていて特に大きな違いだなというふうに思うので、1個1個改善をしていくということが重要ではないかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。