ASEAN 現場と全体像を繋げる重要性
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、見えないものを可視化するというお話をしていきたいなというふうに思うんですが…。まあね、見えないものを可視化するって、「また、森辺、調査の話か」というふうに思われてしまうかもしれないですけど、そうではなくて。ちょっと何回か前のエピソードで少しお話したと思うんだけども、少し俯瞰して物事を見ていきましょうというお話をさせてもらったと思うんだけども。アジア新興国市場でいろんな企業をご支援していて思うのが、全体像が見えている企業と、目の前のことしか見えてない企業って、やっぱり両極端で2つあるなというのをすごく感じるんですよね。僕は、その全体像を見た上でこの目の前のことをやるということと、全体像は見えていない、その状態でこの目の前のことをやるって、もう得られる結果がまったく違うなというふうに思っていて。もちろん現場をやる人がこの全体像を見る必要があるのかないのかとかね、特に日本企業は見えにくい状態、むしろ「現場の人間はここを見なくていい」みたいに、こういう風潮が文化的にあるのかもしれないですよね。「まずこれができないと、次のことは考える必要はない」みたいなね、そういう文化的な背景も少しもしかしたら影響しているのかもしれないけども。僕はそんなふうには思わなくて、現場をやる人間だからこそ、この少し俯瞰した全体像を見るということがすごく重要だと思っていて。例えばFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の市場で考えたときに、世界のね、例えば、いいですよ、飲み物でもいいですよね、世界のこの缶に入った飲み物市場がね、世界全体でどうなっているのか。要は、どの国に、どういう主要プレイヤーがいて、どういうシェアを持っていて、どの大陸に、どういう攻勢をかけているのか、その中でアジアはどうなんだということを見ていく必要がすごくあって。もちろん先進的なグローバル企業と、あと、独自のローカル企業、そこに参入をしていくわけですよね。まったく敵がいないなんていうことはまずなくてね。そうしたときに、その参入に何年かかって、どこまでいけると、競合の競争力と10年経ったときに比較して、この10年のこの活動が本当に意味があるのかどうかということをしっかり見ていく必要があって。
結局、なぜこんなことを言うかというと、極地で勝っても全体で負けるみたいなね、こういう状況があると、極地で勝つために費やしたお金、費用、こういうものが、全体で負けたら全部パーになるわけですよね。もしくは、極地で勝つ選択肢は、実は自分たちでやるのではなくて、M&Aだったとかね、いろんな方法があるわけです。逆に言うと、M&Aじゃなくて自分たちでやるべきだったという選択肢も当然あると思うので。そうすると、やっぱりこの全体像を見るということはすごく重要で、その上で今どうやる、どうすべきなのかということを考える。何でもいいんですよ。飲み物じゃなくても、スナック菓子でもね、スナック菓子の例えばアジア全体に今、中国系、欧米系、それからローカル系、タイ系、インドネシア系、マレー系、フィリピン系っていたときに、どういうスナック菓子で、どういうシェアを獲っているのか、この彼らのチャネルを、じゃあ、何年でつくることができるのかと、これは現実的だねと、われわれのほうが製品開発力もなんとか力もあるから、最初は輸出でやるけども、スナック菓子なので賞味期限の問題もあるから現産現販に切り替えて、こういうことをやっていけば、10年で追い越せるねとかね、分かんないですけど、5年で追い越せるねと、そういう計算が1つだし。もしかしたら、この2位3位はいけるけど、この1位はいけないからM&Aしておこうとかね、そういういろんな選択肢があるわけですよね。なので、いかに自分がこの極地で今、戦っている、この最前線の状況というのは、どういう全体像があるから、今、ここでこういう戦い方をしているんだっけということを、戦っている本人が認識しているか、していないかってものすごく重要なことだと思うんですよね。リーダーが方向を示して、そっちにガーッと進んでいく上ではね。自分、やっぱり戦ってくれているみんながね、自分は何のためにこれは戦っているんだっけということをやっぱり腹落ちをしないと、戦い方にも違いが出ると思うし。
なので、ちょっとスライド、僕の好きなスライドを1個出したいんですけど、スライドをお願いします。こういう状態でアジア新興国展開するのは本当に良くなくて。自分たちは今、階段の麓にいるんですよね。あの上に何か光が射していて、すごく良い世界が待っていそうだと。この階段、高くて大変だけど、一歩一歩頑張っていこうと、あそこを目指して、みたいなね。もし上に上がったときに、何にもなかったらどうするの?と。もしくは、光が、もう日が沈んでいたらどうするの?とかね。やっぱり本当にあの上には何があるのかということを一回ドローンを飛ばしてしっかり見て、その上で間違いないって言ったら、じゃあ、あそこの上に最短で上がる方法は何だろうと。一歩一歩上がることが最短と思っていたけど、そうじゃなかったとかね、選択肢が出てくるわけで。
次のスライドをお願いします。そうしないとね、結局、極地で勝ったとしてもね、マレーシアでは勝ったんですと。でも、ASEAN全体で負けましたとかね。中国の天津では勝ったんですと、でも、華東、華北、華南、いずれも全体では負けましたみたいなね、そういうことになるわけで。インドもそうですよね。なので、ぜひね、この全体をしっかり見た上で現場をやっていくということは重要であるということを認識をしてもらえたらなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。