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海外販売のストラクチャーとクリアすべき課題

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も暑いですね。よろしくお願いします。今日のお話ですが、あんまりこの話ね、過去にたぶんこの番組でしてこなかったと思うんですけど、海外販売のストラクチャーと、その各ストラクチャーにおけるクリアすべき課題みたいなもののお話をしていきたいと思います。

海外に販売するというのは、輸出でやるのか、現産現販でやるのか、2通りあるわけですけども、輸出でやる、現産現販でやるときに、それぞれのこのストラクチャーがあるんですよね。図を見たほうが早いので、ちょっとスライドをお願いします。このスライドの通り、上のね、海外、ネイビーの海外販売ストラクチャー、工場・本社が日本にあって、上が輸出でやる場合ですよね。自社の輸出部が輸出をしている場合もあれば、輸出に商社を使っている場合もあるわけですよね。下が、現地に販売、法人ありますよと。大手の消費財メーカーの…。これは対象は消費財メーカーですね。食品・飲料・菓子・日用品・文具・化粧品等の消費財メーカー対象で、現地に法人がある国、ここは輸出でやっている国、大手なんかはそれがミックスになっていると思いますけども、ある程度やっぱり市場が大きくなってきたら現法を出すということなので。だいたいシンガポールに地域統括会社みたいのがあって、ASEANだったら、例えばベトナムとかインドネシア、タイに現地の工場とか、あとは現地の販売会社がありますと。その先にインポーター兼ディストリビューター、上のね、輸出している場合は輸入権を持ってないとそもそも相手国で輸入できませんから、インポーター兼ディストリビューターがいて、その下のサブディストリビューターがいて、それが近代小売、伝統小売、ホレカ業務用を通じて消費者にわたっていくという、こういうストラクチャーになっているわけですよね。

この各パートにおいて、下の緑のところがクリアすべき課題になっているわけですけども、どういう課題があるのかということで、まずこの最初の課題で言うと、各国事業の統括がうまくいってないよねと。あと、世界標準化と現地適合化の切り分けができてない。どこまでを標準化として、変えてはいけない部分として持って、どこからが変えていい部分なのかみたいな、基本的にはあまり変えないみたいなね、そういう状況が続いていたり。あと、優秀な統括マネジャーが不在。統括拠点と呼んでいるものの、結局、統括になっていないみたいな。本社と現地の伝言板みたいになっているという、そういう課題があって、なかなか統括拠点、リージョナルヘッドクオーターと呼んで本当にいいのかというような相談を受けるケースというのも結構あって。やっぱり統括拠点ということは、そこが統括している市場のマーケティングをすべて指揮してなんぼだと思うんですよね。それがやっぱりなかなかそうなっていないというケースも少なくないですねと。あと、日本人駐在員のノウハウがやっぱり不足しているし、4年5年で一旦帰るので、せっかくノウハウが溜まってきても、また帰っていくということを繰り返すので、なかなかジョブローテーションで蓄積されない。20年ぐらいいてようやくみたいなところもあるのかもしれませんけど。

ただ、これやっぱりね、時間でね、10年20年いたら、じゃあ、何でも知っているかと言うとそうでもなくて、結構、タイにもう20年駐在していますと。でも、やっぱりそこで日経新聞を読んで、NHKの国際放送を見て、毎日日本食屋で日本食を食べて、土日は平日含めて日本人でゴルフに行ってという、タイの中の日本社会で住んでましたと。多少のタイ語はしゃべるけども、工場の人間に指導するみたいなね、そういう20年と、5年ですと、日本人いません。外資のマーケティング会社でタイ人と一緒に仕事してましたみたいな人材とね、どっちが良くマーケットのことを分かっているかって言うと、やっぱり後者だったりするというケースをいっぱい見てきているので、必ずしも時間じゃないと。その時間をどう過ごしてきたかによって持ち得る能力なんていうのは全然変わってくるので、このノウハウっていうのはね、時間ではなかなかないですよというのは1つあるのかなと。あと、そもそも駐在員がローカルに振りきれてないと優秀なローカルも採用が難しいし。あと、チャネル構築のノウハウがそもそも日本企業は著しく劣っているので、われわれチャネル屋はここが仕事なわけですけども、チャネルのノウハウというのが非常に少ないですよねというのがこの現地統括会社とか、現地工場、現地販売の課題ですよね。
上の輸出とかの、自社の輸出部とかね、輸出入商社の課題はあまり書くと他社の悪口みたいになってしまうのであれですけど、日本の輸出入商社を使っていると、基本的には日本の日系マーケットしか入れないというのはそうで、じゃあ、アジア新興国の日系マーケットってどうなの?って言うと非常に小さなマーケットなので、やっぱり商圏が限られるし、そこを日系の輸出入商社を使わないといけないようなレベル感で今あるっていうことは、やっぱり相当なキャッチアップがこれから必要だっていうことを認識するっていうのはたぶん1つ必要ですよね。

あと、このインポーター、ディストリビューター、ここがやっぱり非常にわれわれのメインストリームでもありますけど、このサブディストリビューターまで。チャネルのデザインがそもそも描けていない、どういうチャネルデザインで展開すべきか、自分たちの戦略とか、自分たちの目標ですね。次のディストリビューターの選定、それからネットワーク化が非常に困難であると。ディストリビューターの管理育成ノウハウが不足している。そもそもディストリビューターの管理ができていないとか、管理の必要性をそもそも分かっていなかったなんていう会社は非常に多いと思うので、こういう問題もあると。サブディストリビューターに関しては、見えていない、もしくはディストリビューターに見せてもらえていないなんていうのも決して少なくないんですよね。そんな状態。2次店以下の情報をブラックボックスにされて、本当にパートナーですかって、パートナーなわけないので、そもそもディストリビューターの管理が間違ってしまっていますねと。ストラクチャー、この辺も全部そうですよね。
あと、小売に関しても、導入戦略が描けていなかったり、小売の実態が見えてなかったりとか、MTとの強固な関係が、現法があるのにMTとの強固な関係を築けていないとかね、こういうケースは全然あるし。これは多くの日本の消費財メーカーの課題ですけども、日系のホレカへの配荷は進むんだけども、全体的にローカルに関しては進まないし、TTの配荷が進まない、TTが課題っていうのはやっぱり非常に大きい。これから日本の消費財メーカーが越えなきゃいけない課題なわけですよね。消費者に関しても4Aを理解していない。消費者にとってのAcceptability、Affordability、Accessibility、それからAwarenessの理解不足が存在していますよという、こんな課題があるということで。この課題を、自分たちの今の進出形態が上なのか下なのか。下だったら自分たちはどこに課題があるのかをやっぱり整理して、その課題を1個1個潰していくというのが自分たちの海外販売を強固なものにしていくという唯一の方法かなというふうに思いますので、ぜひこのマトリクスを見ながら皆さんの課題を1回整理してみてはいかがでしょうか。

今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。