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アジア新興国 戦略的輸出と戦略的現産現販

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、アジア新興国市場、主にはASEANの話になりますかね。対象はFMCG並びにその周辺の消費財メーカーさん、食品・飲料・菓子・日用品・文具・化粧品などの消費財メーカーさん。今日のお話なんですけども、戦略的輸出と戦略的現産現販ということでお話をしていきたいと思います。

海外展開のステージ、大きく分けて、輸出でやる方法と、それから現産現販でやる方法。多くは輸出で始めて、ある程度マーケットが大きくなってきたので、実際に現地に生産工場をつくって販売会社を立てて現産現販をするという、こういう流れになるわけですよね。ちょっと、じゃあ、スライドを見ながらお話をすると…。この図の通りに、皆さんから向かって左が輸出のステージと、赤いほうですね、輸出をいかに拡大するかということと、あと、右側の現地生産・現地販売、現産現販をいかに拡大するかという、この2つのステージがあって、だいたい左から右にずっと上がっていくわけですよね。今日のタイトルにね、敢えて「戦略的輸出と戦略的現産現販」というふうにつけたのは、やっぱり輸出をしている国、大手の消費財メーカーなんかは、「この国はまだ小さいから輸出でやっています」と、「この国は現産現販です」とか、「この商品は輸出だけど、この商品は現産現販でやってます」みたいなパターンがありますよと。そんな中で輸出でね、これは別に中小で輸出だけでやっていますというのも対象でもいいですけども。結局、ただ惰性で輸出をしているのか、戦略的に輸出をしているのか、僕はこの戦略的輸出を輸出型チャネルビジネスというふうに呼んでいて。どういうことかと言うと、自分たちの商品が誰を通じて輸入されて、どんなディストリビューター、サブディストリビューターにわたり、そこからどういう小売の、どのレーンの、どの棚に、どういうふうに並べられて、どんな消費者がそれを手に取り、何を思って買って、リピートしているの、してないのというところを分かった輸出を、僕は戦略的輸出=輸出型チャネルビジネスというふうに呼んでいるんですよね。一方で、惰性で輸出をしているというのは、例えば海外から来る引き合いに応じてただ輸出をしているとか、日本の輸出入商社に商品を出して、なんかタイにいってるみたいだとか、なんかアジアにいってるみたいだとか、なんとなくこの辺で売られているとか、いくらで売られているということは分かっていても、それがどうなっているか分かっていない。並行輸入なんていうのはそれの最たるものですよね。そんなことをやっていても、マーケットは伸びないし、為替と景気に左右されるだけの話なので、いかに戦略的にやっていかないといけないのかと。輸出でやる場合も、いわゆるなんとなく日系の臭いのするような小売でとどめる場合、もしくは業務市場だけを狙う場合、もしくは現地のMTまで行く場合、もしくは一部のTTまで行ける場合と、いくつかのパターンがあって、自分たちの商品と価格だったらどこまで行けるのかと、そのときにどういう中間流通を通じて、どの小売の、どの棚に置くことが適切なのかと、その上で一番重要な消費者に、何を訴求していくことが必要なのかということをね、やっぱり戦略的にやっていかないと、これはいつまで経っても伸びていかないし、現産現販のステージに行けない。

重要なのは輸出の、自分たちの会社の輸出比率が上がりましたということよりも、その1個1個の国でどれだけマーケットシェアを獲れているか。もっと言うと、その都市でどれだけ大きなマーケットシェアを獲れているかということのほうが圧倒的に重要なので、この輸出型チャネルビジネスに変えていかないと、いずれは淘汰されてしまう。せっかく頑張ってやってきたのに淘汰されるとか、20年間ちょろちょろちょろちょろやったんだけど、結局20年して、あまり大きく膨らまなくて、最後しぼんで終わりましたみたいなね。何のために20年、その仕事に関わってきた20年間の中で関わった人たち、何のためにそれをやったの?という話で、これはやった人が悪いんじゃなくて、その市場をどういうふうに捉えて、どうやって戦略立てたかというリーダーの問題だと僕は思うので、これは本当に輸出型のチャネルビジネスに今、変えていかないといけないですよねと。

われわれの顧客はこの青いほうの、青いほうの現産現販が7割で、輸出型が3割ぐらいの比率で今ご支援してますけど、この現産現販もそうですよね。現地法人があると。なんだけども、やっぱり自分たちの競争力がどれぐらいのものなのかっていうことを数値で理解していないというのは非常に多い。例えば競合の競争力を100とした場合に自分たちが70なのか、50なのか、30なのか、どれぐらい遅れているのか。これね、20の差なんだったら、こういう戦い方をしましょうと。でも、これ、倍以上差が開いてしまっているんだったら、やっぱりこういう戦い方をしないと駄目ですよねとか、こういう時間軸を引かなきゃ駄目ですよねというのはあるわけですよね。求めている大きさによって戦い方なんて変わるわけなので。そういうことをやっぱり戦略的にやっていかないと、目の前にある気づいた課題に対して対策パッチをとにかくべたべた張りぼてのように貼っていくみたいなことをやっても、結局、水が噴き出す勢いのほうが強いので、やっぱり沈没してしまいましたよねみたいな話になるので。問題の全体像をちゃんと可視化して、どの問題から改善していきますか、改善していくことが望ましいですか、どのレベルまで改善させますかと。それっていうのは、マーケットシェアはひとりよがりで獲っているものじゃないので、相手から1%奪うから自分のマーケットシェア1%上がるんだということを考えると、やっぱり相手の競争力をしっかりと可視化しないといけない。例えば、競合が使っているディストリビューターはどこですか、どういう規模の、どんなディストリビューターを使っているのか、そのディストリビューターの何割がその競合企業の商品割合になっているのか、2割がそうなんだとすると、どれぐらいの経営資源を競合のためにそのディストリビューターは割いているとか、そんなディストリビューターがあと何社いて、どれぐらいの専属チームと非専属チーム、何人のセールスマン、スーパーバイザーがいて、それが日々どんな活動をして、どんなことを店舗でやっているんだと。TT含めてどういう取り組みをしているんだと。だから、このシェアがあるというのがあるわけですよね。それも細かく見ずして、ただひたすら自分たちは頑張ろうみたいな、そういうのはやっぱりなかなか通用しないので、可視化の解像度を上げるということはすごく重要で。可視化、つまり調査ですよね。調査費用をケチっているような会社でアジア、ASEANで成功している会社なんて私は見たことないので。欧米の先進的なグローバル企業は「調査は投資だ」と真顔で言いきりますから。「調査を費用にしてしまうのも、投資にできるのも、それは己れ次第だ」ということを言っていた人もいたね。「調査にお金いっぱいかけて、ふーんと思って動かない人はそれは調査はコストになるし、多くの日本企業はそうだよね」と言って笑っていましたけど。そのときはさすがに悔しかったですけどね。「でも、われわれは調査をアクションに変える」っていうことをすごくどや顔で言っている先進企業なんかもありましたので。やっぱり調査を投資に変えていく、調査した結果をいかにアクションに結びつけるかっていうことが大変重要だよねという、そんなお話でございます。従いまして、輸出でやっている場合でも、現産現販でやっている場合でも、戦略的に、敢えて戦略的輸出、戦略的現産現販というふうに言いましたけども、そういったものに変えていく、そんなことが必要になります。そのお手伝いをしておりますので、ご用命ありましたらいつでもご連絡をいただければと思います。

それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。