森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、アジア新興国市場におけるウルトラCについてお話をしていきたいと思います。
ウルトラCとか必殺技と言ったほうがいいのかな。別にアジアに限らずなんですけど、新興国ビジネスをする上で、いろんなお問い合わせ・ご相談をいただく中でね、なかなかうまくいきませんと、成果が上がりませんという中で、何か良い方法がないだろうかと。この良い方法の意味合いが、結構、今まで想像もし得なかった何か新しい手法とか、ウルトラC的なね、本当に必殺技的な方法がないのかということで期待をされる方、企業さんって稀にあるんですよね。ただ、私の経験から申し上げて、そういう必殺技やウルトラCは今まで見たことがなくて、何かもう全然違うやり方で劇的にマーケットを伸ばしていくなんていうのは、もっと高い次元の競争にある企業が展開するような話なんですよね。例えばシェアが2割3割あって、そこからさらにアクセルを踏んでいくときに、今まで業界ではまったく考えられていなかった、もしくは業界では否定的に見られていたとか、逆説的に考えられていたものがドーンと当たってさらに飛躍していくということはもちろんあるんですが、まだシェアが下のほうでやっている状況の中で、何かそれを必殺技やウルトラCで劇的に上げるというのはね、私は今まで見たことがなくて、「必殺技はないですよ」と、「ウルトラCはないですよ」というお話をしますと。
やるべきことをしっかりとやるということがやっぱりすごく重要で。今まで見てきた中で、やるべきことがしっかりやれてないという企業のほうが圧倒的に多いんですよね。もう9割がそこで。本来はここまでやらなきゃいけないのに、そこまでやりきれてない。自分たちはある程度やれていると思っているケースというのが多いわけですよね。例えば自分たちの競争力を客観的に可視化できていないとか、うまくいっている競合の競争力を客観的に可視化できていないと。この可視化がしっかりできると、自分たちに何が足りていて、何が足りていないのかということが明確になるので、足りていないものを補っていくということをしっかりとやっていけるんですよね。この可視化、調査の粒度が粗いので、自分たちはやれていると思っていたりするんですよね。例えば、「TTやっています。でも、駄目なんです」みたいなね。例えば、これは消費財メーカーの話ですね。食品・飲料・菓子・日用品、FMCG等の消費財メーカー、「TTやっています。でも、駄目なんです」と、「ディストリビューターもちゃんと使っています。自分たちのセールスもやっています。でも、駄目なんです。だから、困っているんです」みたいなね。それって、やっている方向は正しいんですよね。やっている方向がさすがに間違っているというのはね、これはもう論外なので、あまり見ないですよね。日本企業は優秀ですから、やっている方向は正しいと。ただ、その方向、同じ右上でも、右上のこの角度のどこのその1度の角度を獲るの?というところの緻密さに至れていないというケースがほとんどで。例えば、伝統小売をやっているんだけど、そのやり方がまずいと。確かに一般的に言われている伝統小売の攻略方法を取っているものの、もっと解像度を上げて見たときにね、「やっぱりここって至ってないですよね」とか、「ここをやりきれてないですよね」とか、そういうことが見えてくる。例えば近代小売でもそうですけども、「近代小売の配荷はできているんです」と。これを見てみると、いや、「配荷、1万店舗にしているって言ってたけども、結局、なんだかんだ6割ぐらいしか入っていませんよ」と。「ほかの店舗は確かに口座はあるけど欠品してますよ」とか、「本来置くべき棚に置かれていませんよ」とか、「本来置くべきSKUが置かれていませんよ」とか、そういう状況に陥っていたりするので、まだまだ近代小売でも伸ばせる余地があるよねみたいなことが往々にしてあるので。
必殺技を探し始めると結構まずいなという状況で。必殺技を探す思考に陥っているケースって、自分たちはある程度、というか、「やったんだけど駄目だったんだ」という思考にも同時に侵されてしまっているので、結構、素直じゃなくなってしまっているというケースがあって。「いや、やったんです。それ、やったんだけど駄目だったんです」。なので、そこをもう一度分解して、やったということを、どういうふうにやったのか、誰がやったのか、それをもう1回可視化して見直して、改めてやり方を変えてやっていくということをするだけでも全然改善の余地はあるんですよね。なんですけど、それは無駄な作業だという会社になってしまう。そっちの方向性にはネガティブな思考にとらわれてしまっていて、結局ずっとその場で足踏みしている状態というのは結構たくさん見てきたので、必殺技を求め始めるとかなりまずいですということと。あと、「それ、やりました」と、「やったけど駄目だったんです」みたいな思考にとらわれると、結構、足元にある改善ポイントに直視できないことになってしまって足踏みが続いてしまうということにつながるので、基本的には必殺技はないですよと、ウルトラCはないですよということと。課題は「今までやったけど駄目だったんだ」というところにこそあるので、そこをより粒度を細かく、解像度を上げて見直してみると、そこに答えがあるということが結構たくさんありましたという、私の経験談でございます。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。