森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は何の話をしようかなということで、今、考えていますが、その考えている間にちょっとプライベートな話をしようかなと思いますが…。
実はね、数日前、昨日、一昨日か、から妻がいなくて、海外出張に行っていて。今回ね、すごく長くて10日間いないんですよね。僕と6歳の息子と2人で。まあまあ、お手伝いさんはいるんですけど。今まではね、どちらかと言うと妻がね、フルで働いているので出張へ行くことはあるんですよね。そうすると、僕も仕事だし。子どもは学校へ行きますけど、その送り迎えをとかね、送るのは僕がスクールバスのところまで朝歩いて一緒に行くので、帰りね、スクールバスが到着したときに迎えないといけないんですけど、それが夕方ですよね、それはじいじとばあばを呼んで、じいじとばあばに行ってもらったりとか、あと、お手伝いさんに行ってもらったりとか、そんな感じでクリアをするんですが。じいじとばあばもね、僕も結構いい年齢なんで、かなり歳を取っているんですよね。僕の両親なんかは関西に住んでいて、妻の両親は軽井沢にいたり伊豆にいたりするんですけど、どちらかに来てもらうんだけども、今回呼ばなかったんですよね、大変だと思うのでね。子どももね、朝早くから夕方まで学校で、帰ってきたら次の日も早いから7時にはベッドに入って8時には寝るみたいな感じだと、なんかつまんないじゃないですか。だから、呼ばなかったんですよね。
一応、ランチは学校で出るので、お弁当をつくる必要はないんだけど、スナックを用意しなきゃいけない。僕も、人生初、子どものスナックみたいな。スナックと言っても妻がつくったババロアを冷蔵容器に入れてとか、あと、ちっちゃいハッピーターンとかありますよね、ちっちゃいお菓子、おせんべいとか、そういうのを入れて、ランチのお箸入れてとか、そういう簡単な作業なんだけども。しかも、僕が分かんないと思って、お手伝いさんが全部キッチンカウンターの上に並べてくれるので、それを入れてとかってやるんですけど。まあまあ、でも、ドキドキしながら、「あー、妻はいろいろ何でもできてすごいな」と思いながら、そういうことをやっていると。帰ってきたらね、2人で風呂入って、本を読んで寝るみたいな。「ママに会いたいよー」とか言って、ちょっとこう、寝て落ちる瞬間にグズグズ言うんですけど、「もう帰ってくるよ」とか言いながらね、寝るんですけどね。なんだろうな、男2人でたまにはっていうのも、これはこれでまたいいなというのも感じながら、この10日間を乗り切るという、そういう状況でございます。(笑)どうでもいい話を4分近くしてますけども。すみません。そんな感じの生活を今していますというご報告です。はい、どうでもいいですね。
今日はね、何のお話を、残り時間が少なくなってしまいましたけども。もうね、最近ね、調査の話をまたさせてください。「最近、森辺、調査、調査、調査、調査、調査、調査って、うるさいよ!」って思っている方、たぶんいっぱいいらっしゃると思うんですけど、僕、もともと調査屋さんなんですよね。もともとっていうか、こういう仕事を25年近くやっていて、このSPYDER INITIATIVEという会社は2社目で、この前に自分で創業した会社、これはもう売却してしまいましたけど、これは調査会社で。調査ベースでチャネル屋さんになっているというね。人はね、マーケターと呼んだり、コンサルタントと呼んだり、いろいろな呼び方があるんですけど、僕、コンサルタントでもあるし、マーケターでもあるし、リサーチャーでもあるし。でも、いずれもちょっとあんまりしっくりこなくて、最近、「僕ってチャネル屋さんだよな」って思っているんですけど。
そんな中でね、調査をすごく僕はベースにしてきていて。何かって言うと、結局、コンサルをするにも、マーケターをやるにも、調査でファクトをあぶり出すというね、事実を可視化して、そのファクトベースで物事をジャッジするし、分析するし、判断するし、決めていくし、組み立てるし、ということを、めちゃめちゃこう、自分の中でやってきていて。情報がない中、策をつくるなんていうのは無理なわけですよね。日本の消費財メーカーを見ているとね、やっぱり限られた情報の中で、日本国内の経験値を前面にね、新興国の限られた情報、日本国内のたくさんの知見、これで勝負をしていて、勝てる戦も勝てていないというのが本当にもったいなくて。いわゆる情報戦に負けているからシェア争いに負けていると本当につくづく感じますと。特に流通環境、大きく言うと市場環境と競争環境。市場環境はある程度把握できているんだけども、競争環境がやっぱり粗くてね、自分たちがどういうふうに攻め上がっていかなきゃいけないのか、チャネルを中心にね。これは直販チャネルもそうだし、ディストリビューター経由のチャネルもそうだし。消費財メーカーの今の敗因は、もうすべてチャネルの差なんですよ。すべてチャネルの差だって言い切るとね、非常にちょっと誤解があるかもしれないけど、チャネルの差が最も大きい。最もシェアの差に大きく影響している。また、チャネルをつくるのって、一夜にしてならないので、やっぱり時間がかかるわけですよね。このチャネルをつくるためには、やっぱり調査しなきゃいけなくて、基準値を持たなきゃいけなくて。この基準値がないから、何をどこまでどうすればいいのかっていうことがふにゃふにゃ、ふんわりしていて、なかなか前に具体的に進まない。
中途半端にやってみたんだけどもできなかったと。やったけどできなかったって、結構これ、たくさん聞くんですよ、特に現地から。「それもやりました。あれもやりました。これもやりました。でも、駄目だったんです」って言うんですよね。「じゃあ、何のために僕のとこに相談しに来たの? まさか必殺技を教えてもらいに来ましたか?」と、「必殺技なんかないですよ」と、「そんなもの存在しませんよ」と、僕が今まで25年のキャリアの中で見てきたのはね、多くの突破口は今までやってきたことの中に絶対にあるんですよ。誰が何をどうやるかで結果なんて大きく変わってくるのでね。「同じようにやったんだけども、結局この最後の粒度が甘かったよね」とか、「解像度が甘かったよね。だから、失敗したよね」ってね、そういうケースのほうが圧倒的に多いんですよ。右に行かなきゃいけないのに、左に行っているなんてね、そんなわけのわかんないことをする日本企業はさすがにないです。みんなちゃんと右に行ってますと。ただ、じゃあ、この右の中でも、「右のこの45度のここのところに行かないと突破できないんだよね」っていうところの解像度で突破できていないだけなので。なので、「これもやった。あれもやった。それもやった。でも、駄目だったんです」というのは、それはやっているんだけども、その45度のところにバスッとはまってない。それはなぜはまってないかと言うと、調査ができていないので、もっと具体的に解像度を上げた回答が得られていないという、単純にそれだけで。もうね、ぜひ調査をやってほしいし。
その調査も、消費者調査なんかやったって意味がなくて、回答をする…。意味がなくてって言うと、消費者調査会社に申し訳ないのであれなんだけども、回答して謝礼をもらうことを目的にしている人たちに、僕は何を聞いても真実なんて見えてこないと思っているので、それはあくまで定量の参考値にしか僕はしない。それよりも、N数少なくてもいいから、もっと生の声を聞きながら、その消費者の裏側にある真実を僕はつかみたいしね、消費者調査なんだったら。僕が今、ここで言っている、「もっと調査をしろ」というのは産業調査の話で、もっと言うと競合調査の話で、もっと言うとチャネルの話でね。調査会社もいろいろあるんだけども、競合のチャネルを徹底的に可視化して、丸裸にすることが重要なので、余計な調査に余計な費用を払う必要はないし。やっぱりあんまりこの番組を使って自分の会社の宣伝するのは嫌なんだけども、ちゃんと専門のところにお願いしないと、見えるものも見えないですよね。こんな調査をやったのに、なんか全然駄目だった。その調査とうちの調査を一緒にしないでみたいなこともよくあるし。そうは言ってもね、ちょっとうちももうキャパいっぱいなので、今年はもう新しい案件を受けられないので。受けられないのかな。たぶん、だいぶ受けられないので、相当面白い案件じゃないと受けないと思うんですけど。なので、別に宣伝しているつもりはないんだけども、やっぱりそこもね、違うし。調査は費用じゃない、投資だってね、これは先進グローバル企業はみんな言っていることでね、いかに調査をして得た答えをアクションに変えていくかっていうことだし。もうね、「調査なんかに費用を割けないんですという会社はね、もう海外、アジア新興国、もうやらなくていいです」というか、「僕のとこに来ないでください。もう勝手にやってください」というね、それぐらい重要。シェアの高い企業で調査をサボっている会社なんてね、ほんとないので。調査は重要ですよ、というお話でございます。
今日のエピソードは長い上に、前半、森辺のどうでもいい話を聞かされて、後半、「調査しろ、調査しろ」って攻撃的に言われて、なんか嫌な感じって思ってしまっていたら、すみません。そんなつもりはないんです。調査すればね、もっともっと良くなる。もっと良くなるというか、正しい調査をしっかりやれば、もっと皆さんの戦略は高度なものになっていくという強い思いから、今日はこんなメッセージになってしまいました。
それでは皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。