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海外事業に失敗する企業の3つの法則

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカー、文具・化粧品も入れて結構かと思いますが、B2Cの製造業のためのアジア新興国向けのお話をしたいと思います。

お話する内容は、この話もね、このエピソードでもPodcastでも散々してきているんですけども、だいぶ、だいぶ浸透してきたのかなと思うんですけど、今一度、今日お話をしていきたいなと思うんですが、日本のね、消費財メーカーの失敗する法則。でね、もうこれはほんと、私、25年間、これをやってきてね、この仕事をやってきてね、いまだに必ず、昔も今も変わってないんですよ。必ずこの今から説明する3つの法則のいずれか、多くの場合はすべてに当てはまってしまっていて、分かってはいるけど変われない状態。これがね、ほんとにもったいないなと、ここを突破できればね、日本の消費財メーカーはまだまだシェアを上げられるのに、もったいないなというふうに思います。この話をね、今日、今一度ちょっとお話をしていきたいなというふうに思っています。

最初のスライドをお願いします。このスライド、私のセミナーへ結構来てもらってる方は、結構、私、このスライドをずっともう長いこと使っているので、見たことある人もいるかもしれませんが、これは何かというと、世界の10大消費財メーカーと、そのメーカーが抱えるブランドです。左からクラフト、コカ・コーラ、ペプシコ、ジェネラルミルズ、ケロッグ、マース、ユニリーバ、ジョンソンアンドジョンソン、P&G、ネスレということで、これが世界を牛耳る消費財メーカー、10大消費財メーカーなわけですよ。残念ながら、ここには日本の消費財メーカーは一社も入っていないと。花王もなければ、キッコーマンもないし、明治も、ロッテも、ハウス食品も、味の素も、キューピーもないですよと。これはね、多くの場合、時価総額で見ても、売上で見ても、ブランド力で見ても、何で見ても、10大消費財メーカーの中には残念ながら入ってこないと。ユニ・チャームさんとかね、味の素さんが惜しいところに位置付けているというのが今の実態で。これは決して欧米だけの話じゃなくてね、アジアも含めて世界全体の話なので、こういう状態になってしまっていて。これら先進的なグローバル企業と、じゃあ、日本の消費財メーカーが何が違うのかと、なぜ失敗するのかと、それをいろいろ分析していくと、個々にね、もちろん、ああだこうだっていうのはあるんですけど、大きくはこの3つに当てはまるんですよね。

次のスライドをお願いします。1つはプロダクト依存型、もう1つはパートナー依存型、そして3つ目がパーソン依存型。これはどういうことかと言うと、プロダクト依存型というのは、自分たちは良い原材料を使って、高い技術力で良い商品をつくってますと。それが日本の国内市場の消費者に支えられ続けた何十年。この商品は良いんですという、もうプロダクト絶対良いというのがもう前面に出ているので、基本的にはここが崩れてこない。なので、良いものを新興国市場に、アジア新興国に売るので、売れるでしょうと、欲しいでしょうと、どうですかと。基本的にマーケティングって、ターゲットに対してプロダクト、プライス、プレイス、プロモーションの4つのPが最適化されて初めてモノは売れるんだけども、このプロダクトだけが前に出てしまって、プライスとかは後回し、良いものなんで、ちょっと高くてもしょうがないよねと。プロダクトが良いので、プレイスはできれば近代小売中心に売っていきたいねと。プロダクトが良いので、プロモーションをそんなに最初からかけなくても大丈夫ですよと、売れたらちょっと予算取りますみたいな。だから、片輪走行というか、一輪走行なんですよね。プロダクトとプライスが前輪、プレイスとプロモーションが後輪だとすると、マーケティングというのはターゲットに対してこの四輪が同じ速度で回るからターゲットの到達する、これがマーケティングですよね。しかしながら、プロダクトの車輪だけは非常に速く回っているんだけども、前輪右のプライスと後輪左右の、左右のプレイスとプロモーションがゆっくりの状態。なので、ずっと左回りでくるくるくるくる、その場を回ってしまっている。このプロダクト依存というのが1つの大きな問題だし。あと、日本が考える良いがね、必ずしも良いじゃなかったりするということと。あと1つ言うのは、プレミアム。プレミアムって、もうみんな口を揃えてプレミアムって言うんですよね。プレミアムって、もうプレミアム戦略、極論を言うとやめたほうがいいぐらいのことがたぶん日本企業には必要でね。プロダクトを磨くよりも、圧倒的にチャネルを磨いているというのが、今のシェアの高い企業の実態なわけですよ。プロダクトをどんなに磨いたって、チョコはチョコなわけですよ。シャンプーはシャンプーなわけですよ。洗剤は洗剤なわけですよね。もうこのチョコ、圧倒的に違うと、そういうチョコを売っているんだったらね、生チョコとかも1個何万円もするチョコを売っているんだったら、それはプロダクトを磨けばいいけども。消費者に対して小売の棚に並べるものでね、100円か200円かみたいな違いの中でね、そんな違い出ないですよね。でも、一方でチャネルの違いは、投資に対してめちゃめちゃ大きく違いが出る。だって、近代小売の8,000店舗ぐらいにしか配荷ができていない企業と、伝統小売含めて20万店にストアカバレッジ、配荷ができていますって、これはもう、まったく次元の違う差ですよね。だから、プロダクトで差を出していく、もちろんプロダクトありきなのでプロダクトは重要なんだけども、そこじゃないよね、今の戦いはということをたぶんもう少し理解しなきゃいけなかったりとか。最近、話が長くなっちゃうよね。歳のせいかもしれないです。(笑)

パートナー依存型。要は、ディストリビューター、ディストリビューター、ディストリビューター。確かにディストリビューターは重要なんだけど、「誰と」売るかよりも、「誰に」売るかのほうが圧倒的に重要なので、全部がディストリビューター任せ。なので、ディストリビューターに聞かないと分からないし、ディストリビューターがいないと何もできない。なんなら、現法があるのに、近代小売をディストリビューター経由でやっていますとか、ディストリビューターを通しているので真実が見えないとか。ブラックボックス。二次流通、三次流通、ブラックボックスにされている。顧客、ブラックボックスにされている。日本でね、問屋にすべてを任すなんていうことは絶対にやってないのに、しかもね、問屋がすべてを、市場のこと、消費者のことを分かっているなんて絶対思ってないのに、なぜか国境を越えるとそういう錯覚に陥ってしまって、問屋任せになっていると。でも、そうじゃない。すべて自分でやらないといけない。自分でやるというのは、自分で理解をした上で、パートナーにこの部分を任せるという、こういう考え方に完全に変えなきゃいけないのに、パートナー依存になっている。問屋や小売がね、今まで僕に何か圧倒的な提案をしたことなんてただの1度もないですよ。彼らが口を揃えて言うのは、「価格が高いからだ」と、「だから、売れないんだ」と、「Buy 1 Get 1 Freeやろう」みたいな。「1個買ったら1個ただ、つまりは50%オフキャンペーンをやりましょう」みたいなね。安く売るなら誰にでも売れるだろうというふうに思うわけですけども、そういう話しか出てこない。

最後、パーソン依存型。これはもう、その名の通り、戦略ないので駐在員の俗人的な力に頼るという。もうこの3つがだいたい、だいたいというか、もうほぼこの3つの次元でつまづいていて。日本の消費財メーカーのアジア新興国市場の課題ってね、そんなに高いレベルに今ないんですよ。高いレベルで課題を抱えているのはね、ほんの一握り。多くはこの3つの次元で課題を抱えているので。「ここが完璧なのにモノが売れないんです」っていう企業がいたら、ぜひ言ってください。私、ただでもご支援したいぐらいなので。そんなメーカーは僕は見たことがないということで、話が長くなりましたが、今日はこれぐらいにしたいと思います。

次回以降ね、このプロダクト依存型、パートナー依存型、パーソン依存型を少しね、事例を交えながら詳しく説明をしていきたいなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。