森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、ディストリビューターとの契約についてお話をしていきたいと思います。
先日ね、とある会合というか、講演の場で受けた質問の内容なんですけども、ディストリビューターとの契約のポイントみたいなね、そんなことをやっぱり皆さんご苦労されていて。まあまあ、すでにもう出ているんですよね。消費財メーカーさんですでに出ていて、何十年もやっていて、でも、なかなか、何だろうな、じゃあ、すぐに替えられるかって言うと、中途半端に売上もあるので替えられないけど、基本的には満足していないというね、そういう状態のディストリビューターが今いますよと。その中で、そもそも何が間違っているのと。日本企業のディストリビューター契約って何が間違っているの?ということと、あと、その間違っている状態で、じゃあ、言っても今、売上が上がっている中でね、どうしていけばいいの?という、そういう質問だったんですけど。まあね、何が違うの?って、もう基本的にディストリビューターをどうやって探して、どうやって交渉して、契約して、そのあとどうやって管理するかみたいなことが全部違うんですよね。もともと日本の消費財メーカーにとってアジア新興国市場ってそんなに大きなマーケットじゃなかったので、基本はディストリビューター側のアプローチ、側からのアプローチで20年30年、もしくは40年ぐらい前に契約をして、やれるんだったらやってみてと、ある程度、与信取って、そこそこ地元で頑張っているじゃん、大きいじゃないと、じゃあ、やってみてということで、輸出で勝手にやっていたという、そういうケースがもともと消費財メーカーなんかは多いんですよね。国によってはね、そのあと生産拠点を持って、現地生産して現地販売するみたいな、そういう状況にはなっているものの、やっぱり課題としては、近代小売はなんとか入ってきたんだけども、伝統小売の攻略がなかなか難しいよねと。でもね、この近代小売に関しても、やっぱり課題はなさそうに表面的には見えるんだけど、ものすごくたくさん課題があったりとかね、ひどいとこだと現地法人があるのに近代小売の攻略にディストリビューターを使っているとか、こんなの絶対に直販でしょうと。メーカーにとってね、現地法人にとって一番重要なのは小売との関係性をどう構築するかって話で、先進的なグローバル企業なんかはみんなそれに時間を費やしてきているのでね。そこをディストリビューターに握らせてしまったら、いつまで経ってもね、現法が現地にいるのに小売との関係が構築されないという、こういうジレンマがあって。ディストリビューターを使うのは、基本的には伝統小売ですよと。という中で、今使っているディストリビューターはそもそも伝統小売は得意じゃないとかね、4万5万店持っていると言うんだけど、本当にそうなのかよく分からないとかね、いろいろあるわけですよね。
やっぱり契約を見ていても、単年度契約になってしまっているケースとかね、結構、日本企業は多くて、欧米の先進的な企業は複数年契約は全然やっていますよね。なんで複数年契約にするかって言うと、ディストリビューターにとってみたら、契約書にあることがすべてなので、単年で切られるかもしれない契約に対してダイナミックな経営資源の投下はできないですよね。新しく人を雇ったりとか、何か購入したりとか。そうすると、やっぱり2年とか3年とか、そういう複数年の契約をするということが大前提になっていたりとか。あと、基本的に契約締結前にどれぐらいの市場に需要があってね、需要予測があって、どういうKPIで、どれぐらいのメーカーとしての支援があって、ディストリビューターには何人のセールスをどういうふうに動くことを求めていて、その結果、この需要の何十%か獲れるみたいなね、こういう緻密なマーケティングプランが絶対にあるんですよ。それもない中、取りあえずやってみましょうみたいな始まり方は結構、先進グローバル企業はやってなくて。ディストリビューターとどこまでそれを共有するかにもよるんですけど。インドなんかは結構そこをやっぱり重要視してくるので、インド人は数字に強いし、結構、僕はなんとなく経験則から言って、ASEANのディストリビューターよりもインドのディストリビューターのほうが、やろうとしていることの需要予測が今どれぐらいあって、それに対して自分たちの役割はこう、責任はこう、じゃあ、自分たちはこのぐらいの投資をすると、なぜならばこれぐらいのリターンが見えるからと。このね、投資対効果、ROIの計算を明確にするイメージがありますよね、僕は、インドの市場のディストリビューターさんは。華僑はやっぱりわれわれに近いところもあって、まあまあ、そうは言ってもと、オーナー社長の属人的な経験則みたいなところを結構、重要視したりもするのでね。なんとなく、投資対効果は日本企業以上にそれは考えていますよ、頭の中では緻密な計算がある中でも、結構、オーナー社長の経験則、つまりは属人性がまだ残っていると思うんだよね、僕は華僑のディストリビューターっていうのは。でも、インドのディストリビューターは、かなり投資対効果、これだけのリターンが得られるなら、何年後にね、じゃあ、今、これぐらいの投資をしようとか、そういうことがね、結構、僕は明確にやるので、投資対効果ね、すごい気にするイメージがあるんですよね、インドなんかは。なので、そういうこともなかなかない中で、なんとなく自分の手の届く範囲のディストリビューターで、できれば大手、実績のあるところ。いや、それは大手で実績があるところはいいに決まっているけども、導入期でね、大した量売らないのに、そんな大手がダイナミックが経営資源をその商品のために、ブランドのために投下するかって、そんな、もっと重要なブランドをいっぱい持っているから大手なわけでね。もっと重要なブランドをいっぱい持っているから実績があるわけで。そんなことっていうのは現実的にはなくて。そうすると、結構、中堅規模で、こちら側でコントロールしやすいディストリビューターのほうが導入期は良かったりとか、そんなケースも全然あるんですよね。
やっぱり僕が思うのはね、ディストリビューターの選定で成功確率の半分はもう決まってしまう。だめな相手とどう頑張ったって、これ、だめなものはだめにしかならないですよ。苦労ばっかりするだけなので、ディストリビューターの選定というのはすごく重要。あと、ディストリビューターとの契約締結までにどこまで緻密に市場予測をして、お互いの役割分担、KPIを決めきったか、ここでもう残りの半分決まると言ってもいいぐらいだと思います。最後の管理育成で、じゃあ、何が決まるか、もう100%決まっているんだから、もうそれでいいじゃんと、管理育成要らないじゃんと。そうじゃなくてね、この100%をどれだけ維持して継続し続けられるかっていうことは、契約締結後の管理育成に、もうかかっているんですよ。だからね、本当に今のディストリビューション・チャネル、日本の製造業、消費財メーカーだけじゃなくて、特に消費財メーカー、食品・飲料・菓子・日用品は、アジア新興国の最大の弱みはディストリビューション・チャネルです。この再構築をしっかりね、私の言う通り…、私の言う通りにやればって。(笑)偉そうですけど、われわれの言う通りにやればね、必ずシェアは上がると思います。それだけの失敗もわれわれはたくさんしてきていますのでね、ぜひね、ディストリビューターの再構築、やってみてもらえればと思います。
と言いながら、なかなかちょっと、すみません、今年はもうお仕事のお引き受けが難しくて、ちょっと来年以降にはなってくると思うんですけども、はい、来年以降のスタートをベースに今から調整をしていくということになるとは思いますが、来年からの調整だと、来年後半からのスタートみたいな話になってしまうと思いますけど、まあまあ、ぜひご相談いただければと思います。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。