アジア新興国 魔法のフレームワーク
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「アジア新興国市場 - 魔法のフレームワーク」というお話をしていきたいと思います。「魔法のフレームワーク」と言うとなんだか怪しい話のように聞こえますが、今日は「魔法のフレームワーク」のお話をしていきたいと思います。その前にご紹介です。先日、前回かな、前回、唐沢先生の新刊のご案内をしましたが、今回はね、これは前にもやったかな、少し前なんですけど、埼玉大学の井原先生の本をお送りいただいて。これも非常に良い本。井原先生とはね、明治大学の名誉教授の大石先生の紹介でご飯を食べに行ったんですよ。すごくね、気が合った。勝手に僕は気が合ったと思っていますけども。非常にね、このアジア、ASEANとかのチャネルのマニアというかね、オタクというかね、ものすごい詳しいですね。結構ね、何カ国語もしゃべるんですよね。タイ語をしゃべると言ったかな、非常に面白い先生で。この本もものすごくおすすめです。ぜひご興味のある方は、Amazonでも売っているのかな、見てみてください。
それではね、今日は「魔法のフレームワーク」ということでお話をしていきたいと思います。早速、スライドをお願いします。「魔法のフレームワークって何?」ということなんですが、それはね、マーケティングの基本プロセスというフレームワークです。この「R」-「STP」-「MM」。僕、もう、この番組でも何回も言っていますけど、この「R」-「STP」-「MM」がちゃんとできているのに海外で出てからね、「あれ? 10年間黒字化できません」とか、「えーっ、伝統小売の攻略ってこんなに重要だったの? なかなか伝統小売が攻略できません」とかね、そういうことにはまずもって遭遇しない。やっぱり日本のね、もうすでに出てしまっている、何十年も前から出てしまっていて、何十年も前にアジア新興国市場に出るのに「R」-「STP」-「MM」なんて誰も言ってなかったし、言っても市場としてはまだ小さかったしね、「格下のアジアに展開するんだ」ぐらいの勢いでたぶん先人は行った、もしくは「どうでもいいから、取りあえずやらせておこう」ぐらいの勢いで、声がかかった相手に、パートナーに売らせてみたみたいなところから始まったんだと思うんですけど。思うんですけどというか、そういうケースがほとんどなんだけどもね。やっぱりこの今、参入してしまっている企業が再参入をするとか、これから参入をする、大手さんなんかだとね、もうすでに参入しているケースがほとんどなので、再参入という話になると思いますが、やっぱりこの「R」-「STP」-「MM」ってすごく重要で。
ただ、これはね、マクロ環境とか、ミクロ環境とか、SWOTとか、セグメンテーションとかね、カタカナでいろいろ書かれてもよく分からないよねということで、僕はこういうふうに解釈していて。次のスライドをお願いします。「R」は基本的には出る前にやることですよね。マクロ環境分析って、ここはどんな市場なの?と。儲かるの? 儲からないの? どうなの?と。ミクロ環境というのは、そこにはどんな敵がいるの? どれぐらい強いの?と。彼らの競争力は? 戦闘力は?と。SWOT分析というのは、じゃあ、自分たちの経営資源を考えたときに、そこに自分たちが出たときにどうなるの? 勝てるの? 負けるの? どれぐらいで勝てるの? どれぐらい負けるの?ということを分析していく。これがしっかりできるから進出するべき優先順位の国が決まっていく、都市が決まっていく、やり方が決まっていく、中長期の見通しが立つということで、投下しないといけない経営資源も決まってくるわけで。結局、企業と企業の戦いなんて経営資源と経営資源のぶつけ合いなわけですよ。どっちがどれだけ効率よく自分たちの経営資源を使うかっていうことになってきたときにね、やっぱり100の経営資源を持っている相手と、1の経営資源では戦えないので、これは戦うべきじゃないわけじゃないですか。そうすると、100の経営資源、どんなに効率を上げたとしてもね、2倍だよね、3倍だよねとかっていうことであれば、やっぱりそれなりの経営資源を持って、じゃあ、その2倍3倍の効率ってどういうふうにやるの?ということを持って初めて出る出ないということが決まるわけなので。すでに出てしまっている企業はね、もう一度、これ、「R」をやることによって再参入戦略を立て直すということも非常に重要なので、それは1つ活用してみるということかなというふうに思います。
次のスライド、この「STP」。多くの日本の消費財メーカー、今回は消費財メーカー…、毎回、消費財メーカーがターゲットですけどね、うちはもう8割9割が消費財メーカーがクライアントなので、B2Cね、B2C。B2Bの方はね、自分たちの事業に置き換えて聞いてもらったらいいと思いますけど。「STP」、これね、セグメンテーション、どのセグメントのどのターゲットに商品を売るんですかと。自分たちはどういうふうなポジショニングを取るの?ということなわけですよね。やっぱりターゲットがふやふやしているんですよね。ふらふらしている。アジア新興国の消費財メーカーのターゲットと言ったら、中間層以外あり得ないですよ。中間層のど真ん中、一番人口の多いボリュームゾーン。そこからやっぱり上振れしてしまう。プレミアムだとかね、なんとかだと言って、全部上振れしていってしまうので、このど真ん中に当てるということを考えないといけないし。もっとこれを細分化していくと、じゃあ、その段階をおっていったときにね、タイで段階をおって出たときに、じゃあ、近代小売、伝統小売、どっちからやるの?と。これは近代小売がターゲットになるわけですよね。近代小売の中でも、CPとセントラルの2強財閥が牛耳っている小売市場の中でね、じゃあ、どっちから行くの?と、自分の商品はコンビニ向けですと言ったら、1万5,000店舗に迫るセブンイレブンから行くしかないんですよ、選択肢は。そうすると、セブンイレブンとの商談になってくるので、ターゲットはセブンだという話になるので。消費者というターゲットのレベルと、それから小売、リテールのレベルまで、やっぱりターゲットをしっかりつくっていかないといけないというふうに思います。
次。次は「MM」。マーケティング・ミックス、通称4Pですよね。プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション。この4つが最適化されていないと商品は売れないんですよ。1回2回売れてもしょうがないので、いかにこれを最適化し続けるかということはすごく重要でね。日本企業の場合は、4Pじゃなくて4Cで考えていく。4Cってどういうことかと言うと、まずプロダクトはね、カスタマーバリューに変わりますよね。お客さんにとっての価値は何なの?と。あなたが売りたいプロダクトが何なの?じゃなくて、お客さんにとっての価値が何なのか。あなたが売りたいプライス、値段じゃなくて、お客さんにとってのコスト、コスト、費用ですね、これがどれぐらいだったら受け入れられるのか。プレイスに関してもね、お客さんにとっての、皆さんがどこで売りたいかじゃなくて、お客さんがどこで買うことがコンビニエンスなの?と、便利なの?ということを考えないといけないし、プロモーションもね、どういうふうに知ってもらうのかじゃなくて、お客さんとどうやってコミュニケーションを取るんだという、この4つのCの概念で考えていかないといけない。特に日本企業はこのプレイスの組み立て、デザインから間違ってしまっている、ストラクチャーから間違ってしまっているので。なぜこれはストラクチャーを間違えるかと言ったら、ターゲットがふらついているからなんですよね。ターゲットが明確になればね、このターゲットにリーチするチャネルじゃないといけない。このターゲットにリーチするチャネルをつくるのに労力や時間やお金がかかるので、ここを避けては絶対に通れないんですよ。プロダクトとかプライスはね、これは日系企業は自力で頑張ればなんとでもなるし、プロモーションだって事例が見えるところにね、表面的なところに転がっていて、ここはもうチャネルができたら投資できるわけでね。チャネルをいつまで経っても強固なものに構築していかないからね。チャネルって模倣困難性が高いんですよ。プロモーションなんて、他社がやっているプロモーションを見れば分かるのでね、模倣困難性は非常に低い。プライスだって、もう即日、今、合わせてしまえばすぐに合わせられるので、模倣困難性は低い。プロダクトもね、プロダクトはまあまあそうかもしれませんけど。でも、やっぱりこのプレイスはね、相当に模倣困難性が高いので、プレイスと、あと「R」のミクロ環境分析、競合、競合のチャネルに対して自分たちのチャネルがどれぐらいの競争力を保っているのか、これがやっぱり一番重要で、ここの競争力をどうやって上げるかということがシェアを上げるということに直結する。これが、僕がずっと言っている「基準値」の話ですよね。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。




