森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。前回に引き続き、伝統小売の攻略について考察していきたいと思います。対象は消費財メーカーが中心になります。B2Cです。FMCG、食品・飲料・菓子・日用品・文具・化粧品、それら周辺の企業が対象になります。
でね、前回、ベトナムのお話をしていましたと。ベトナムはセールス機能がないというか、少ないので、そこは1つちょっとポイントですよねというお話をしたかなと。あとは、インドネシアは島がね、6島とか、主要の島があるわけで。まず、ジャワ島なんですけどね。まず、ジャカルタ、ジャワ島なんですけど、そこからさらにってなってくるときには、やっぱりこれはディストリビューション、今度はネットワークがすごい重要になってくるんですよね。もちろんね、ベトナムもサブディストリビューターを活用したディストリビューション・ネットワークというのはすごく重要になってくるんだけど、結局ね、セールス機能がないので、自分たちのセールスの力っていうのがね、最後まで残るんですよ。たぶんこれは、僕ここを25年間見てきてもね、良くはなっている、確かに。なんだけども、25年間で、じゃあ、セールスバンバンっていう話になっていないので、ここはもうメーカーがやっぱりセールス機能を持たざるを得ない、そこに経営資源を投下せざるを得ない、そういう市場だと思います。これはもう文化的背景、共産主義でもともとね、国営の工場がつくったものを、おまえら取りに来いというところから来ていて、売ってやっているという、そういうスタンスで来ているんでね。中国の20年前とか30年前もまさにそうだった。20年前はあれだな、30年前はまさにそうだったんですけど。でも、中国は劇的な経済発展と、とてつもない合理的な考え方を、国民性でどんどん、どんどん、セールスが強化されていったけども。ベトナムはそんなことはないんじゃないかなと思います。インドネシアの場合は、ディストリビューション・ネットワークを構築する、島ごとにね。
フィリピンの場合は3島ありますけどね、上・真ん中・下ってこうね、ありますけども、基本的にはディストリビューター、やっぱりね、マニラ、メトロマニラ周辺で強いところ、それからビサヤス、真ん中のセブ辺りで強いところ、それからミンダナオ島で強いところってあるので、そういったところを個別に使っていくっていうケースが多いのかなと。ただ、絶対的に言えるのは、フィリピンももう小売の交渉力が圧倒的に強くて、SM、ピュアゴールド、ロビンソンズ、ここの棚に並んでいなかったら、もう伝統小売もクソもないので、ここはやっぱりね、すごく重要な小売。どの小売からやっていくのかっていうことをね、まずMT。MTなくしてTTは絶対ないので。いずれの国においてもね、ベトナムだったらもう、ウィンマートで並ぶっていうことはすごい重要。ほかの小売はもう店舗数が少な過ぎますよね。コープマートとかまだあるかもしれないけど、とにかくウィンマートですよね、ベトナムは。フィリピンはSM、ピュアゴールド、ロビンソンズ、ランドマークとかね、ああいうのも店舗数は少ないですけど、圧倒的にマニラで影響力の大きな小売、ここの棚をしっかり獲るということが伝統小売の波及に大きくつながるので、それ以外、ガイサノとかいろいろありますけども、基本的にはそこですよね。
インドネシアもね、近代小売は絶対だし、インドネシアでやっぱり特徴的なのはコンビニですよね、ローカル系の。アルファマートとインドマレット、ここがやっぱり両社合わせて4万店近くかな、4万店前後ありますから、ここを、もしコンビニで売るのが主流な商品なんていうのは、やっぱりここの交渉力はもう相当なので、こことどうやり合えるか。ここの4万店で知名度を上げた上で伝統小売をどうやっていくか、なので。なんかね、私が見ていて思うのは、小さく始めて型をつくりながら大きく広げていくんだけども、全体のデザイン、戦略デザインがやっぱりちゃんと事前にあって、おおよそどれぐらいの経営資源がかかってくるのかっていうことは事前にある程度シミュレーションできるんですよね。伝統小売の配荷店舗数が5万店とかいかないと、まず最低限ね、苦しいところから抜けられないんですよね。5万店いけばね、呼吸はできている状態なので。5万店いけば近代小売でもある程度のプレゼンスを発揮しているレベルなんですよね。5万店というとね、伝統小売で5万店置いてくれるということは、近代小売である程度のプレゼンスがあるから伝統小売5万店が置いてくれるので。5万店に置けているということは、これはセルアウトしているっていうことですよ。セルアウトしなかったらね、1~2万店で、1万店でもう苦しいですから、セルアウトしていかないので、置いたらもう売れていかないので、はい、2カ月の間に一気に5万店までいきませんから、もうその間に棚落ちして、増やす、ストアカバレッジを増やすのよりも、棚落ちのほうがスピードが速くなってしまうのでね。5万店いけたということは、やっぱり近代小売でもそれなりにプレゼンスを発揮できているのでね。5、7、10、15って伸ばしていくと、シェアが10%、20%と増えていくわけですよね。なので、シェア1%前後でこちょこちょやっていると、やっぱりいつまで経ってもこのブレークスルーしていかないので、かなり腹を決めてやっていかないと、VIPの伝統小売はなかなか難しいですよね、というのはすごくやっていて感じます。
ということで、今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。