森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日もね、前回の引き続きで、輸出型、輸出で新たに展開をするケースのお話の続きですね。
フィリピンを事例にお話をしていたかなと思うんですが…。まず、どの国に輸出するのかを決めてくださいと。国が決まれば、それはイコール、首都を狙うということになりますと。輸出なのでね、1.5倍とか、1.6倍とか1.7倍とか、高くなるわけですから、基本的には首都を狙っていくということになるわけですよね。じゃあ、その首都の次のレイヤー、次の下のレイヤー、どの小売をやりますかと。フィリピンで新しいものをというふうになったときに、やっぱりSM、ランドマーク辺りからスタートするのが王道ですよねということで、そこの小売から始めていく。こうやってどんどん、国、首都、小売、店舗ってどんどん絞っていったときに、十分満ち足りた店舗数に至っているかっていうことをやっぱり見極めていかないといけないし、じゃあ、どの店舗数までこのフェーズ2、フェーズ3、フェーズ4で増やしていくべきなのかっていうことをね、事前にやっぱりある程度仮説を置いておく。それに応じて、じゃあ、どのタイミングでどれぐらいのBTLを展開しよう、プロモーションを展開しよう、今だとKOLを使ったプロモーション展開を段階的にしていこう、小売とのコミュニケーションはこうしていこう、こういうことを計画立てていって。ディストリビューターなんてね、一番後ですよね。ディストリビューター、じゃあ、その自分達が売りたい先が決まったら、じゃあ、そこに売るためには誰と組むべきなんだっていうことがそのあとに来るべきで。もしね、小売と先に商談できれば、小売の息のかかったディストリビューターを小売り側に紹介させて中間流通マージンを薄く薄くしてやるということだってできるし、例えばS&Rみたいにね、日本で言うとこのコストコみたいな業態のところだと、コンテナで小売が直接引っ張ってくれるというケースだってあるわけですよね。そうすると、必ずしもディストリビューターが必要かと言うと、そうではないというケースも当然あるので。「誰に」売るかということのほうが、「誰と」売るかよりも圧倒的に重要で、ここを結構間違えてしまって、とにかく私たちは現地のことは無知なので、一緒に組めるパートナー、いいパートナーが絶対重要と。パートナーは重要なんだけども、その前に自分たちが「誰に」売りたいのかを明確にするということのほうがもっと重要で。そこが明確じゃないから結局はパートナーの言いなりになってしまう。万に一つ成功すればいいですけども、でも、そんなのって瞬間風速で、そのあと必ずまた停滞、衰退が待っているのでね、そのときに本当にしっかりと前に進めるかっていうのが、自分たちでマーケットをしっかり可視化して、自分たちでマーケティングの主軸を握っているかどうかということがめちゃめちゃ重要になるので、そこで間違えてしまっているというケースがありますよね。
あと、消費財の場合、輸出でやっている場合ね、そんなに簡単にポンポンポンといかないので。モノにもよるんですよ。モノにも当然よるし、われわれなんか、ご相談に来るときに、「やっぱりこれはちょっと厳しい。これぐらいしかいかない」ということは事前にはっきり申し上げるようにしていて。プレリサーチをしっかりやるのでね、どういう市場で、どういう競争環境で、どれぐらいのところにどういうふうに置けるか。そうしたときにどれぐらいの配荷が期待できるか、セルアウトが期待できるか、そうすると、おそらくたぶん1、2、3、4、5年でこういう感じになるでしょう、というのを出して進んでいくんですけど。初年度で何千万とか、次年度で億を超えてきて、3、5、7みたいなね、こういうたぶん流れになるのに、いきなり5億10億ドンドンと消費財でいくかというとね、なかなか輸出の場合は難しい。キャラクターものとかね、そういうのだったらあれですけど。もしくはB2Bで大量に注文を確保できると、ホレカの市場でホテル・レストラン・カフェのB2Bのほうの顧客に売っていく、食品を売っていくとかね、そこがあってB2Cをやるとかっていうんだったら全然可能かもしれませんけども。一応そういう状況ですよということですね。なので、そこをやっぱり明確にしていく。どこの国でやるのか。国を選んだら、それは首都からやるということはもう法則ですと、鉄則ですと。その中で、どの小売に並べたいのか、どの小売の、どの棚に、どう並べたいのか、これぐらいまではちゃんと現場を見て明確にして、その上でまずは小売と直接交渉をしに行く。もちろん小売にディストリビューターがいなかったら全然取引できないよって言われてもいいんですよね、それは。会うということがすごく重要で、「じゃあ、逆に紹介してくださいよ」と、紹介してもらえたらめちゃめちゃラッキーなわけで。小売側が「やりたい」と言えば、ディストリビューターはやらざるを得ないので。重要なのは、「誰と」売るかよりも、「誰に」売るかということなので、そこをしっかりと固めていくということが重要ですよと。
なので、輸出の場合は、そうですね、あと、国によってはね、実はこういうエリアの、富裕層が住んでいるこのエリアのこの伝統小売だったら置けるとかね。あと、ベトナムなんかでもね、ドラッグストア系の商品でね、ドラッグストアと言っても近代的なドラッグストアと伝統的なドラッグストアというのがあって、伝統的なドラッグストアって6万店ぐらいあるのかな。そこに置かないといけないとかっていう、要はそれは伝統でも置けたりもするので、輸出でやっていてもね。なので、そういうところの見極め。だから、自分たちの商品がどこにまで置けるのか。だって、小売はね、もう可視化されているので。最大、自分たちは輸出でどこまで行けるんだろうということをね、積み上げじゃなくて、逆算でやっぱり明確にしてからやるということをやらないと、すべてがディストリビューターの言いなりになってしまう、すべてが誰かの言いなりになってしまうので、そこはしっかり自分たちで軸を持つということが重要だと思います。
それでは今日はこれぐらいにして、皆さん、また次回お会いいたしましょう。