HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » アジア新興国 強固な販売チャネルを作る3つのステップ

動画番組 スパイダー・チャンネル

アジア新興国 強固な販売チャネルを作る3つのステップ

番組への質問はこちら » お問い合わせフォーム
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/4495650238
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、販売チャネルの構築についてお話をしていきたいと思います。最近ますます販売チャネルの再構築の依頼が非常に多い。すでに出ているような会社さんでなかなかシェアが伸び悩んでいる中でどうやって既存の販売チャネルを生かしながら再構築していくかという、こういう課題を持たれているメーカーさんが非常に多くて、そんなご相談が非常に多いですと。7~8割はそういうご相談。一方で、新規の国の展開において0から販売チャネルをつくっていくという、こういうご相談も2割3割あるわけですけど、やっぱりこの販売チャネルの重要性がますます注目をされているというようなことを日々感じる今日この頃でございます。改めて販売チャネルの、もちろん取り扱う製品とか競争環境、市場環境によって、これは非常にそれぞれカスタマイズしていくべき話なんだけども、基本的なプロセスとして、まず、強固な販売チャネルはどうやってつくられるのか、強固な販売チャネルをつくるためには必ずこの3つのステップを踏まないと強固な販売チャネルは成立しないので、そのオーバービューを今日はお話をしていきたいなというふうに思います。次回以降ね、それぞれのステップを細かく説明していけたらいいかなというふうに思います。

じゃあ、まずね、スライドをお願いします。このスライドの通り、強固な販売チャネルをつくる3つのステップって何かというと、まず、ディストリビューターの発掘選定。いかに自分たちに最適な、これね、最適というのがミソで、良いディストリビューターとか、大きいディストリビューターとか、そういうことではなくて、自分たちの今の現状、これから投下する経営資源に対して最適なディストリビューターを発掘選定するかということがね、まずものすごく重要で。このディストリビューターの発掘選定で間違いなく5割以上、なんなら6割7割が決まると言っても過言ではないんじゃないかなというふうに思います。7割は言い過ぎかな。5割6割はね、もうこの発掘選定で決まる。いかに自分たちに最適なディストリビューターを特定していくかということはすごく重要で。マスターリストから、それから絶対評価の絞り込み、相対評価の絞り込みと書いてありますけど、ロングリスト、ミドルリスト、ショートリストってこう、リストをつくっていくんですけど。例えば消費財の場合ね、1カ国で消費財、自分たちが例えばフードなのかノンフードなのかって考えたときに、フードを取り扱っていて自分たちが適していると受け止められるディストリビューターなんて、どんなに大きくたって数十なんですよ。なぜならば、例えば自分たちがね、向こう何年で、消費財で、例えば、分からないですけど、10億とか20億やりたいとなったときにね、そもそも5億円のディストリビューターとやったって、これは10億20億はいかないですよね、キャッシュを回せないので。そうすると、そういうところは絶対評価で落ちていくので。例えば何年で10億やるためにはこれぐらいの売上が今ないと駄目だとか、こういう商品を取り扱っていないと駄目だとか、こういう地域で強くないと駄目だとか、こういう小売に強くないと駄目だとかっていう絶対的な評価、このスキルは持ってないと駄目だよねっていう、絶対的な評価でバサッと切っていくと、やっぱり最終的にいくつかに絞られていくんですよね。そのいくつかに絞られたものを相対評価、その絞ったディストリビューターの中で比較していくという、こういうプロセスを繰り返しながら最適なディストリビューターに到達していくと。だから、ディストリビューターの発掘選定って、よくね、間違った選定ってね、とにかく強いところ、とにかく実績のあるところ、とにかく大手、財閥系っていくんだけども、それは大手で財閥系で実績あったら、それは誰もがそれがいいに決まっているわけで。でも、大手っていうことはね、自分たちよりも重要なプリンシパル、メーカーをたくさん抱えている、ブランドをたくさん抱えている。そうすると、大手と組んだはずなのに、小さなチームをあてがわれてほとんどやってもらえないなんていうケースって全然あるわけですよね。そうすると、やっぱり自分たちが「誰に何を売りたいの?」っていうところが明確にあって、それがどれだけできますかっていうことをベースに選定していく必要があってね。大手だからといって、それをやってくれるとは限らないわけで。もうそんなプロモーションしか出せないんだったら、こんな感じでやりますとかね、適当にあしらわれるなんていう事例はごまんとあって。そうすると、発掘選定で重要なのは、「どういうディストリビューターが自分たちに最適なんだろうか」ということをしっかり突き詰めた上で、そのディストリビューターに到達するという話なので、ディストリビューターを探すことよりも、「自分たちは、今年、来年、再来年、何をやるべきなんだろう? 誰に対してどういうことをしたいんだ? 誰に何を売りたいんだ」っていうことを明確するということがめちゃめちゃ重要ですと。

そのあと、この契約交渉というのがあるわけですけども、この契約交渉を、ディストリビューターとの契約はイベントじゃないので、いかにこの契約交渉までに細かいことが決められるかということがすごく重要で、契約締結後のアクションをそれまでに握るというね、これがすごく重要で。「契約できたのであとはお任せ。これぐらい売りたいです。さあ、どうぞ」みたいな話でやってもね、これはアンコントローラブル過ぎて、万に1つうまくいけばそれはそれで良かったんだけども、そうじゃないケースなんていうのは往々にしてあるわけで。どういう条件で契約をする。じゃあ、この条件もね、何が最適な条件なのか。「これは自分たちは海外ではこういうふうな契約をしてきているのでこうです。これ以外ないです。契約書はもうこれで決まっているので、変更するとややこしいので、これでお願いします」みたいな話でやっているんだとするとなかなかうまくいかなくて。今、その国のその他の競合、シェアの高い企業はどういう契約条件でやっているのか、どういうメーカーとしての支援をディストリビューターに対してしているのか、それに対して何をディストリビューターにコミットさせて、どういうKPIでディストリビューターと協業しているのか、ということをまず明確に分かっていないと、契約条件なんて決められないんですよね。自分たちよがりの契約条件でも駄目だし、先方の言われる、先方に言われるがままの契約条件でも駄目だし、今、シェアの高い企業はどういう契約条件をベースにやっているのか、ということがまず大前提として理解できていなかったら、ディストリビューターとの契約交渉なんて絶対できないですよ。よくありがちなのが、日本のディストリビューターとのメーカーの契約書を見ると、単年度契約になっているんですよ。結局、基本的には更新していくんだけども、単年度契約ということはね、やっぱりディストリビューターにとっては自分たちの経営資源の投下をしにくいですよね。だって、単年度で切られる可能性がある。ころころ駐在員が変わっていく、担当が変わっていく、そんな中で契約は1年更新、突如として日本から偉い人が来て「契約を解消していきたいと思う」なんて言われたら、それで終わってしまうわけなので、やっぱりダイナミックな経営資源の投下っていうのはできなくて。一方で、じゃあ、欧米系のメーカーを見てみるとね、2年とか3年で契約していたりするんですよね。だから、そういう契約の期間1つ取っても、やっぱり実態が今どうなっているのかっていうことがちゃんと可視化された上で契約ができていない。これは本当にすごく重要なことですと。

3つ目が管理育成なんだけども。これは、じゃあ、ディストリビューターに任せたら、あとはもうそれでおしまいと、自分たちは役割は以上です、という話ではなくてね、いかにディストリビューターと握ったこと、KPIがしっかり運用されているか。例えばディストリビューターに依頼をする主たることっていうのはストアカバレッジをどれだけ伸ばすかっていう話だと思うんだけども、月間ストアカバレッジ数がしっかり伸びているか、週間ストアカバレッジ数がしっかり伸びているのか、なぜ伸びていないのか、伸びていないんだとすると、しっかり訪問できているのか、訪問のコンバージョンが悪いのか、なぜ悪いんだ、訪問の質はどうなんだ、セールスマンは何をやっているんだ、ということを遡って見ていき、問題があるところにしっかり修正パッチを貼っていくということをやっていかないといけない。管理育成なくして勝利なしと言ってもいいぐらいでね。6割ぐらいはもう発掘選定で決まるんだけども、残りの4割は、僕はね、契約交渉をどれだけしっかり詰められるかだと思います、契約までにね。これでもう100%じゃないですか。100%なんだけども、じゃあ、この100%を維持し続けていく、100%以上を維持し続けていくためにはこの管理育成が必要なので、管理育成は絶対、アジア新興国では重要な項目、ステップになってくるというお話でございます。

次回以降ね、この3つのステップ、発掘選定、それから契約交渉、管理育成をブレークダウンして説明をしていきたいなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。