森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、輸出の事業についてお話をしていきたいなというふうに思います。FMCG、食品・飲料・菓子・日用品、B2CのFMCGとその周辺のB2Cの製造業が輸出で事業展開する際に、この2点をしっかりやっていくと事業の成功確率が上がりますよという、そんなお話をしていきたいなというふうに思います。弊社の仕事って、基本的には7割は現産・現販でやっている企業、現地生産・現地販売でやっている企業、すでに何十年も前から進出をしているんだけども、なかなかシェアが伸び悩んでいるので、その現地での事業を再構築するという、こういう仕事が1つですよね。主には販売チャネルの再構築をやっていくわけですけども、これが7割。一方で、残りの3割というのはまだまったく何もしていないような地域に輸出で展開をしていくという、こういう企業。大手でも、この国は現産・現販だけど、この国は輸出とかね、中小中堅になればなるほど輸出というのは多くなるわけですけども。この輸出の事業において非常に重要な2つのポイントがあって、われわれが輸出をお客様から引き受けるときに一番重要視をする2つのポイントがあるので、それについてちょっとお話をしていきたいというふうに思います。
まず1つ目のポイントなんだけども、「誰に売りたいのか」と、「誰に売るべきなんだ」というね、「売りたい」というよりかは「誰に売るべきなのか」ということをまず非常に重要視します、1点目は。これは、消費者ですよね。どの消費者なの?と、どの都市の、どのエリアの、どの地域に住んで、どういうライフスタイルを持つ、どういう消費者なんですかということの理解をまず明確にする、定義を明確にするということと。もっと言うと、じゃあ、その消費者はどこで買うの?と、近代小売? 伝統小売? オンライン? それぞれ具体的にどの近代小売? フィリピンだったらピュアゴールド? SM? ロビンソンズ? ランドマーク? どこ? ベトナムだったらウィンマート? コープマート? ロッテマート? どこ? 明確に小売をターゲットする。タイだったらセブンイレブン? どこ? 伝統小売もそうですよね。伝統小売も上から下までいろいろレイヤーがあるので、どのレイヤーの伝統小売? 最近、大変重要なのがオンライン。これをまず最初にかっちり決めてしまうというのがすごく重要で。特にこれは競合との比較になってくる。競合が今こうやっていると。なぜ競合がそうやっているのかって、そこには必ず理由があるので、そこを見ながら、どこで自分たちは売るべきなんだ?と。それが短・中ぐらいで考えたときにね、短・中期戦略で考えたときに本当に正しいターゲットなのかということをまず最初に明確にしていく。これを調査分析をして、しっかり設定をする。
これが設定できて初めて、じゃあ、「誰と売ろうか」と。輸出なので、絶対に現地にパートナーが必要なんですよね。ディストリビューターですよね。結局、正しい適切なディストリビューターを選んだか選んでいないかで、成功確率がまったく違うので。ターゲットが明確になれば、正しい、適したディストリビューターを選ぶ確率もグンと上がるわけですよね。だって、そこのターゲットに売れるディストリビューターを選ぶべきだから。ターゲットがぼんやりしていると、なんか凄そうとか、なんか大きそうとか、なんか気が合いそうっていう、その「なんか」で決めてしまう。これが一番危険な選定なので。そうやって次はディストリビューターを選定していく。結局、ディストリビューターも相対比較なんですよね。強い競合がどういうレベルのディストリビューターを使っているのか。この競争力を基準値に持った上で、じゃあ、自分たちはどれぐらいのディストリビューターが必要かということを決めていかないと、なかなか、例えば競合からシェアを奪うのにね、「競合と同じだけのシェアを獲ろう」と最初から言う企業はないと思いますけども、でも、やっぱりそこってある1つの基準として持たないと、シェアっていうのはひとりよがりじゃないので、他社から1%奪うから自分のシェアが1%上がるという構造になっているわけなので、競合のやっぱりディストリビューター、チャネルの競争力というのはきっちり見る。なので、「誰に売るのか」「誰に売るべきなのか」ということと、「誰と売るべきなのか」「誰に売るべきなのか」「誰と売るべきなのか」、ここを非常に2つの重要なポイントとしてわれわれは見る。
本当に日本のB2Cのメーカーさんはこの「誰に」というところがぼんやりしてしまうので、まずターゲットを明確にしてくださいということと、じゃあ、ターゲットが明確になったら、「誰と」売るのね、この「誰」、ここの発掘選定にやっぱり時間とお金と労力をしっかりかける。成功確率の7割はもうディストリビューターの選定で決まると言ってもね、僕は過言じゃないって散々この番組でも言ってきていますけども、駄目な相手といくらやったって、これは駄目にしかならないし、時間をすごくロスする。1回ディストリビューターと契約したら、最低でも3年ぐらいは契約解除しないですよ、日本の企業はね。3年で契約解除をするなんていう企業は珍しいぐらいなので。今、自分たちの売りたいところに売れない企業がね、売れるわけがなくて。これもやっぱり相対比較で。不動産と一緒ですよね。賃貸の不動産でね、こうやって1個しか見に行かなかったら、もうそこが一番いいって思っちゃうわけですよね。不動産を見に行ったときに、「いい」とか「悪い」とかっていうのをどうしてみんな思うのかって言うと、今住んでいるところと比べていいのか悪いのかっていう、もうここの基準なので、今が0だったらもうこれは比べようがないのでね、なんとなく良さそう、気が合いそうと思ったら、もうめちゃめちゃいいと。あからさまに興味がなかったら失礼な態度を取るディストリビューターもいるでしょうけども、日本のメーカーが来てね、基本的にはウエルカムモードなので、すべてが良く見えるって、それは当然のことでね。そうすると、やっぱり比較をしていかないといけない。A社に会って「A社、いいな」と思って、次、B社に行ったら「B社のほうがやっぱりいいな」なんていうことは、たぶん皆さんも往々にして経験があると思います。B社を見ていたら「C社もいいな」という経験は全然あると思うので、いかに今、自分たちの手の届くところのディストリビューターだけで決めるのではなくて、全部を網羅的に見た上で決める。結局、1カテゴリーね、20~30社もないですよ、Max。なので、全部見てしまうということがやっぱりすごく重要なので。その上で相対比較して決めていく。この番組でも強固な販売チャネルのつくり方の話は散々してきているので、発掘選定のプロセスの中でね、絶対評価と相対評価の評価基準をつくって絞り込んでいってくださいねという話はしていると思いますけどもね、そういう意味で最終的には相対的に評価をして決めていくと。
なので、僕はこの2つ、輸出においてはどの小売で売るべきだっけって、消費者のレイヤーまではね、逆に言うとそこはぼんやりでいいかもしれない。それよりも、どの小売で自分たちは売るべきなんだっけということを明確にして、じゃあ、その小売に確実に売れるのはどのディストリビューターなんだっけというところから「誰と売るか」を選んでいく。ここがやっぱり非常に重要じゃないかなと。このプロセスにしっかり投資をする、お金をかける、予算を組むということをやらないと、なんか、なんだろうな、ガーッと突っ込んでいってもね、何も知らないから、突っ込んでいけばなんとかなると思ってしまっていて、ちゃんと景色が見えていたらね、そんな無謀なことはしないので。そこはね、1回失敗しないとなかなか言っても分からないですよね。まあまあ、そうですよね。何が問題かが分かっていないのでどんどん走っていくというね、ときにそういうのも重要なんですけども、森辺がこんなことを言っていたなと頭のどこかに置いておいていただければと思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。