ASEAN・インド 小売との直接交渉はなぜ重要なのか
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺です。今日は、小売との直接交渉がなぜ重要なのかというお話をしていきたいと思います。前回この番組で、ディストリビューター主導でセールス、マーケティングをやっても、うまくいく、長くうまくいく状態が続くなんていう事例は1個もないですよという話をさせてもらって。その中の1つに…、4つぐらいこういう問題が起きますよと、ディストリビューター主導でいろいろやっていくとこういう問題が起きますよというのを4つぐらいお話させていただいて、そのうちの1つに小売との関係性が構築できないと、そんなお話をしたと思うんですけど、その部分に少し今日はちょっと焦点を当ててお話をしていきたいんですが…。
小売との直接交渉がなぜ重要なのかというのはね、これはもうまさに…。ここで言っている小売というのはモダントレード、MTですよね。大手のMT小売チェーンと関係性が構築できないということが最大のマイナスで、いかに直接交渉をして、バイヤーと直接交渉をして、小売の中で自分たちのプレゼンスを発揮していくかということがすごく重要なんだけども、ディストリビューター主導でやっていると、いつまで経ってもそこって関係性ってできないんですよね。10年そこに進出しているのに、結局、大手の主要MTとの交渉を全部ディストリビューターに丸投げしてきたので、会ったことはあるよ、同行したことはあるよ、でも、関係性築けてないよね、自分でLINEでちょっとした連絡をしたりとか、そういう話にはならないよねと、必ずディストリビューターを通じてみたいなね、こういうメーカーって日本の製造業の消費財メーカーの場合は決して少なくなくて。現地に法人があるのにディストリビューター経由で交渉しているとかね。われわれなんか輸出でやっていたって、ディストリビューター飛ばして直接小売と交渉して、そこで決めたことをディストリビューターに落とすというね、ここはやっぱりすごく重要で。特に日系の消費財メーカーの場合は、例えば大手のディストリビューターを使うというケースが多いわけですよね。大手のディストリビューターって、もうすでに欧米の先進的なグローバル企業のプロダクト、ブランドを抱えていたりして、かなりシステマティックに機能されているんですよね、会社の中が。びっくりするぐらい日本の問屋という言葉から連想されるような企業じゃなくて、非常に先進的な状態になっていると。その状態で中を見ていくと。
ちょっとスライドでお話をしていきたい。スライドをお願いします。このスライドの通りね、メーカーの皆さんの対応するディストリビューターの人というのは、これはメーカーの担当者なんですよね、プリンシパル担当と言われる人たち。一方で、主要の小売の担当者というのは、これはディストリビューターの小売担当ですよね。まさにプリンシパル担当ではなくて、小売り側の、まったく逆の担当者ですよね。アカウントマネジャーとか、アカウントの担当者、アカウントというのはそれぞれの小売のアカウントですね。ディストリビューターにとって重要なのはメーカーなのか、小売なのかというと、絶対的に小売なんですよ。なぜならば、メーカーからは商品を仕入れるので、自分たちはお金を払っている立場ですと。一方で、小売には商品を買ってもらっているので、お金を受け取っている立場ですと。これ、どっちのほうが大切かと言ったら、圧倒的に小売なんですよね。
そうなったときに、結局、自分たちの真意が小売にしっかり伝わらない、ディストリビューターとしてはとにかくこれを売りたいという、非常に短期的な思想、発想の中で小売と商談をすると。一方で、メーカーは短期的な思想や発想も重要なんだけども、中長期的な思想やビジョンを持って市場や小売とお付き合いをして、将来こういう市場にこの国が変わる、例えばフィリピンが変わっていくから、ベトナムが変わっていくから、タイが変わっていくから、インドネシアが変わっていくから、だから今これをやるべきなんだという、もっと深いレベルの次元で商談をしたりということは当然ながらあって。でも、そういう話がやっぱりメーカーの担当者というのは、プリンシパルってディストリビューターのメーカー担当者と話をして、このメーカー担当者が今度社内、自社内で、ディストリビューター内で小売の担当者にそれを伝えて、その小売の担当者が小売のバイヤーと話をするので、ここですでに伝言ゲームが、大きな伝言ゲームが2つあるわけですよね。この時点でかなりメーカーが本来伝えたかったことが小売に伝わらないという現象が起きる。また、ディストリビューターはメーカーの前では「私たちは非常に強いコネクションをこの小売とは長年にわたって築いてきて、大変良い関係を築けている」と、みんな口を揃えて言うんだけど、じゃあ、実際に商談の場に出たときにね、やっぱり強いことをなかなか言えないんですよね。メーカーは言える。でも、ディストリビューターでそんなに強いことを小売に言うというのはなかなかなくて、驚くぐらい御用聞きになっているというケースも全然あったりするわけですよね。
次のスライドをお願いします。なので、結局、質の高いコミュニケーションをメーカーの担当者と小売のバイヤーがしっかり取ることが小売との緊密なね、親密な関係を築くということになって、このコミュニケーションの量と密度と、それから時間、ここが初めて小売との関係を築いていくので。そもそも先進グローバル企業とかシェアの高い企業、プロモーションをバンバン打つような企業、小売にとっておいしい会社、こういうところがたくさんひしめいている中で、数字でいったら絶対負けるわけですよね、日本の消費財メーカーは。数字でいったらね、経済合理性でいったら、ひいきにしてもらう理由なんて1つもないわけですよ。お金は出さない、商品はあまり売れない。そんな中で、じゃあ、どうやって小売と売れるところまで持っていくかといったら、やっぱりこれは人間的な関係をできる限りつくっていって、そこに寄せていくということがまだまだ必要。これがアジア新興国でもだんだんやりにくくなってきている。だんだん、そういうことが難しくなってきているので、この先どこまでそれが通用するかというのは分かりませんが。ただ、いずれにしてもシェアの高い企業で近代小売との交渉をディストリビューターに任せているなんていう会社は、メーカーは、ほぼないということは1つ事実としてご理解いただけるんじゃないかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。



