森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺です。今日は、ディストリビューターとの契約解除のお話をちょっとしていこうかなというふうに思います。
ディストリビューターとの契約解除なんですけど、われわれの仕事もそうなんですけど、9割方はもうすでに新興国市場にね、ASEAN、インド、進出をしている大企業さんで、製造業さんで、すでにディストリビューターいますよと。ただ、なかなか満足していないと、もっと数字をやりたいと、もっとやらないといけないと、そんな中で今のディストリビューターで本当にいいのか、漠然と悩んでいますと、悩み続けて結構時間が経っていますという、そんな状態が結構多いんですよね。これ、日本の消費財メーカー、日用消費財に限らず、B2Cに限らず、B2Bも含めて、B2Bは直販もあるのであれですけど。基本的にディストリビューター、新興国市場において、今この時代にね、ディストリビューターのパフォーマンスに100%満足できないという企業は決して少なくなくて、非常に多いんですよね。そういう企業からわれわれはご相談を受けるので、非常に多いですと。
まず、なぜそういう問題が起きているのかということを考えていくと、主体的に販売チャネルをつくったのかどうなのかということがすごく大きく関係していて。例えば日本の国内の市場、これ、自分たちが主体的に販売チャネルをつくっているんですよね、戦後。そのあとアジア新興国市場に生産拠点を移転させて、日本だけじゃなくて、欧米に出て行くんだということで、アメリカの市場もヨーロッパの市場も自分たちが主体的に販売チャネルをつくっていった市場なんですよね。なので、比較的販売チャネルに不満足ですと、満足していませんと。ただ、何が満足していないのか漠然と分かりませんみたいな状態はなくて、基本的には主体的につくっていったので、何が悪くて何が悪くないのかということは理解していて。一方で、アジア新興国市場というのは、もともとは生産拠点だったわけですよね。その生産拠点として繁栄をした結果、アジア新興国市場に消費市場が生まれて、そのアジア新興国市場の消費市場側から「お宅の商品を売りたい。売らせてくれ」と。当時、日本企業はアジア新興国市場の重要性を理解しつつも、やっぱり日本国内の市場と欧米の市場が一番重要でしたから、「やれるんだったらやってみてください」ということでお任せをしてきているんですよね。なので、主体的に販売チャネルをつくったかというと、ディストリビューターに丸投げで今の販売チャネルができあがっていますというのが今の状態ですと。なので、今の日本企業の多くのアジア新興国市場の販売チャネルって誰にとって一番良くできているのかというと、これは主体的につくった立場の人、ディストリビューターとか合弁先のパートナーとか、そういう人たちにとって一番魅力的にできているんですよね。それは当然そうですよね。今ここに来てアジア新興国市場の重要性がさらに増して、特にインドネシア、ベトナム、フィリピン、VIPと言われるような市場ですね、ベトナム、インドネシア、フィリピンの頭文字を取ってVIP、インドが最近非常に大きな市場としてあって、ディストリビューター、販売チャネルの再構築を求められていると。ディストリビューターとの契約解除ということでは、もうその解除が頭にチラついている時点で、もうたぶん今のディストリビューターじゃ駄目なんですよね、これは。もうそこまで行っていて。多くの場合は、実は自分の担当の前から、もしくはその前からもうチラついているんですという状態。ただ、一向に何か具体的な意思決定がされるかというと、されていないんですという、こういう企業も結構少なくなくて。とにかく満足していないと、今のままじゃ駄目だと、営業もっとやれと言っているけどやらないと、もっと行けと言っているけど行かないと、こういうレベル感なんですよね。
ここでわれわれなんかが一番最初にやるのは、今のお客さんのディストリビューション・チャネル、ディストリビューター含めて、その競争力がどれぐらいなのかということをやっぱり明確に数字で可視化して、それを相対的にその他の競合と比べたときに、お客さんには何が足りていて、何が足りていないのか、これをやっぱり明確に出していかないと、本当にディストリビューターを切り替えるのか。切り替えると言っても、いきなり「はい、こっちを。Aを切ってBにします」という話にはならないので、AとBを併用していきながらとか、今まで理由もないまま1カ国1ディストリビューターでやってきたけども、それをエリアで分けて、もう本当に販売チャネルを再設計しないといけない。そもそも日本の多くのメーカーは、販売チャネルの設計思想というのは新興国市場で持ち得ていないんですよね。なので、そもそも設計したことがない。お任せしてきたと。その数十年の結果が今なので、設計なんてしてことない。だから、再設計と呼んでいいのかちょっとあれですけども、もう1度1から設計をするということをわれわれはやるんですよね。本当にこの市場環境、流通環境、競争環境を考えたときに、お客様にとってベストな販売チャネルというのはどういう形であるべきなのか、その像をまず導き出していかないといけない。それを構築していく。実装していく。なんですけど、それは一夜にしてできる話ではないので、タイムラインを引いて、1年でここまで、2年でここまで、3年でここまでと、タイムラインを引きながらやっていく。
その過程において、やっぱり既存のディストリビューとしっかり話をして、なぜ駄目なのか、私たちは何をしたいのか、そして何を求めるのか。まず、彼らにある一定期間やらせてみるんですよね。これはやらせてみて、もしかしたらできるかもしれないという意味でやらすのではなくて、やっぱり段階を踏まないといけないので、いきなり「あなたたち駄目よ」という話にはならないので。でもね、僕の経験値から言うと、もう9割方、やれるんだったら最初からやっているんですよね。なので、そのディストリビューターにはもうここまでしかやる力がないんですよ。もうそれ以上はできない。それ以上はできないのに、独占という権利だけをずっと主張して持たせておいても、これはなかなか到達しない。具体的に言うと、今この近代小売と商売ができていないのに、そこと力を強めてうまくやっていくのに何年待てばいいのかという話だし、今、5万店しか伝統小売への配荷ができていないのに、それを15万店まで配荷するには、やっぱりそれなりの経営資源の投下が必要になるので、そんな投資しないですよね。なので、結局はできるんだったらもうやっているので、できないので、それをしっかりと道筋立てて整理をしていくと。
じゃあ、既存のディストリビューターにそんな話をしたら怒るんじゃないか、当然怒りますよと。怒るけども、ディストリビューターの8割9割はもう華僑です。華僑は銭金一番重要ですから、そんな話をして「もう怒った」、ケツまくって「もうお前たちの商品売らない」なんていうことは絶対に言わない。僕はそんな事例、今まで1度も見たことがない。もちろんね、まだ数億円のビジネスだったらそれは言うかもしれないですけど。でも、まだ数億円なんだったら、さっさとそれはケツまくってもらって、やっぱり正しいやり方に変えていかないといけない。これが10億20億数十億円あったらね、絶対ケツまくりませんから。かといって、「分かったよ。あんたたちに賛同します。賛成します」とも絶対言わない。言うことの経済合理性がそこにないのでね、彼らは常に、いや、話は聞いたけど、当然イエスともノーとも言わないので、「いいですね」という了解を取りにいく必要がそもそもないですよね。メーカー側としてはね、合意をしたということを書類に落としたいんだろうけども、合意をする経済合理性は先方にはないので、基本的にこちらが契約を違反していないということがしっかり担保できれば、向こうの合意なく粛々と進めていく。今度新たに加えていくディストリビューターとは、決して間違えたやり方、間違えた契約、こういうことをしないということが重要で、今までなぜ駄目だったのかということを振り返りながら、正しい契約の仕方、こういうものをしっかりやっていくということが重要なわけですね。
今日は時間が来ましたのでこれぐらいにして、次回ね、新しいディストリビューターと、じゃあ、どういうふうに今度は契約をしていくのかということのお話をしていきたいと思います。
皆さん、今日はこれぐらいにします。また次回お会いいたしましょう。