森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺です。今日は、ディストリビューターと契約を締結するプロセスのことについてちょっとお話をしたいなというふうに思います。今日の対象は本当にB2CでもB2Bでも構いません。ASEAN、インド、最近、中東とか南米、アフリカなどもご依頼がありますが、こういった新興国市場でディストリビューターと契約をする際のプロセスが非常に重要だなと。結構われわれがご支援する会社というのは、すでに参入をしていて、でも、なかなか成果が出ないので、診断をしてどう成果を上げていくかという、こういう仕事をしているわけですけど、その中でディストリビューターとの契約のプロセスにすごく大きな違いがね、シェアの高い企業と大きな違いがある、契約書そのものにも大きな違いがあるんだけども、今日はこのプロセスにちょっと絞ってお話をしていきたいなというふうに思います。
どういうプロセスかというと、基本的に自分たちが日本国内でやってきたプロセスをベースに欧米でやったそのプロセスが社内で標準化されていて、プロセスがどちらかというと契約合意が儀式であって、そこが1つのゴールなので、基本的にはプロセスにあまり重きが置かれていない。リスクをヘッジするための重きは置いてあるんだけども、基本的にゴールが契約締結なので、このプロセスが結構軽視されているというケースが多い。一方で、シェアの高い企業というのはこのプロセスをめちゃめちゃ重要視していて、この契約締結までのね、契約書に調印するまでのプロセスで問題があれば、そこで契約交渉を断念するという、こういう話になっているんですよね。極端に言うと、日本の…、日本のって言うと言い方が良くないかもしれない、シェアの低い企業というか、なかなかうまくいっていない企業というのは、本当に「ここ良さそうだな」と思ったら、もうそこと契約することがゴールになってしまっていて、結局、そこと契約するためのゴールに向かってプロセスを粛々とやっていくという、こういうイメージなんですよね。一方でシェアの高い企業というのは、「この企業良さそうだな」と設定した場合に、契約締結というゴールの旗を立てて、その旗に行くまでに本当にこことやって大丈夫かということを確認していくというね、お互い結ばれたらこんなはずじゃなかったということは起きないよねということを確認するプロセスという、こういう1つ大きな違いが、やっぱりシェアの高い企業と低い企業の差には起きていると。
まず一番は、自分たちが何をしたいのかということが明確に伝わっている。私たちはこれがしたいんですと、そのためにディストリビューターに何をしてもらいたいのか、自分たちはここまでの支援ができるというね、この3点セットがまず明確ですよね。何をしたいのか、自分たちがね、ディストリビューターにはその実現したい、したいことの中のどの部分を求めているのかと、どういう条件で考えているのかという、この3点セットがやっぱり非常に明確になっていて。ここの議論に及ぶときにね、非常にそれがロジカルに、自分たちよがりの話ではなくて、業界標準をしっかり理解した上でその設定になっているので。これね、契約交渉の進め方って、結構、国によって微妙に違うんですよね。このタイミングでMOUをまいてとか、このタイミングで何々して、最終的に本契約に行くとか、あとサーベイをその間に入れるとか。あと契約の内容も、取引条件はこうで、プロモーションの支援はこうで、契約期間はこうで、コミットメントはこうでとかっていうことが、業界標準というのがやっぱりあって。その国の同一カテゴリーのほかの先駆者、シェアの高い、自分たちよりシェアの高い企業がどういうプロセスを経て、どういう条件で契約しているのかって、これを知らないでディストリビューション契約しようなんてね、もう絶対間違いなんですよね。だって、それが業界標準なんだもん。シェアの高い企業が進めているやり方、プロセスですよね、シェアの高い企業が締結している契約書、これが業界の標準なので、これをベースにディストリビューターも話をするわけですよね。そんな欧米の先進的なグローバル企業との契約が過去30年以上にわたりASEANでもインドでも行われているわけですよね。そういうことをしっかりと理解した上で、同じようにプロセス、同じような契約内容で進めていかないといけない。
これね、契約内容同じようにというのは、欧米の先進グローバル企業が巨額のプロモーション投資を出すような、こういうプロモーション投資の条件をつけなさいと言っているのではなくて、それはつけられないのは分かっていますから、日本企業はね。つけられないんだったら、代わりにこういうメリットがあるとか、こういうデメリットがあるとか。ただ、「私たちは日系企業なので、プロモーション投資は、巨額のプロモーション投資はできません。高い人件費は払えません。どうか品質が良いのでやってもらえませんか」って、これはなかなかやっぱり難しいので。できない分ここはできるとか、できない分こうするとか、そういうことを考えていかないといけないし。でも、それでもやっぱり難しい場合は、やっぱり大手、大手、実績あるとこ、実績あるとこって選びがちなんだけども、いや、さすがにそういう商売だと、大手はやっぱり求めている利益が全然違うので、向こう3年で3億、5億の商売をしようと言っているんだったらちょっとそれはって、それはやっぱりディストリビューターの規模を変えていくとかね、そういうことをしないといけないですし。ちょっと話が逸れましたけども、基本的にはプロセスと契約の内容というのは、その業界の先駆者、シェアの高い企業がどうやっているのかがその国での、その地域での業界標準になっているので、まずそれをしっかり可視化をして知ることがもう大前提ですよと。自分たちと何が違うのか。そうしないと、「あっ、何にも知らない日系企業来ました」と、うまいことやられてしまいますよね。
あと、最近やっぱり本気の企業は、地域のエリア独占を与えるときに、その地域でのマーケットサーベイをしっかり一緒にやってね、ここで、「あっ、できるね」と、「この数字できるよね」という実感をね、ディストリビューター自身も持つんですよね。だから、そういうサーベイを一緒にやることで契約締結の条件が良くなったりとか、「これぐらいのコミットだったらのむ」って言ったりとか、あと、契約締結後のアクションがやっぱり非常にダイナミックな経営資源の投下をディストリビューターがしやすくなる。契約をする前にディストリビューターと市場調査を一緒にやるなんてね、なかなかそんな企業は日系企業だと少ないんですけど、でも、そういうことをしっかり一緒にやっていくことで、より良い条件で契約ができたりとか、契約後のディストリビューター側の経営資源の投下の量が変わったりとか、質が変わったりもするので、このプロセスというのは非常に重要ですよというお話でございました。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。