森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺です。今日も前回に引き続き、メーカーが本当にやるべき仕事とそうでない仕事についてお話をしていきたいと思います。前回ね、メーカーが本当にやるべき仕事とそうじゃない仕事って何なんだろうということで、皆さんと一緒に考えてきたわけですけど、極力ね、僕の今のコンサルタントというポジションに有利なトークにならないようにお話を客観的にしていきたいなと思っています。
前回、やっぱり優れた会社って、自分たちの得意・不得意の切り分けがしっかりできていますと。メーカーが本来やるべきことは事業推進なので、事業推進を中心とした得意領域にすべての経営資源を投下をしますと。そして、不得意の領域、これ、不得意なものを自分たちでやったって効率悪いだけで、本当に本来やるべきことへの影響が大きいので、不得意なところはしっかりと外部のパートナーを使うと。だから、僕が今イメージしながら話している会社ね、例えばデジタルマーケティングはここ、販売チャネル構築はわれわれとか、何とかはここみたいなことで、パートナーが明確に決まっていて、そのパートナーと3カ年、5カ年、10カ年で進んでいくんですよね。それで毎年毎年その成果を見ながら、外部パートナーに支払っているフィーに対して得たリターンのROIが合っているかということを精査しながら契約を継続していく。だから、成長が早いですよね。自分たちにないものを外から持ってくる。そのノウハウも同時に吸収をしていく。
例えばなんですけど、現場を回っていくような調査1つ取ってもね、結局、われわれの主たるクライアント、10社、20社のクライアント、皆さん大手ですと。インドはあれですけど、ASEANなんていうのはもう何十年も前から出ていて、日用消費財の場合は1カ国の売上が10億とか20億とか30億とか、まあまあ、だいたいそういう規模なんですよ。シェアが数%で、市場としてはまだまだ伸びしろがあるのに、売上が鈍化している、シェアが鈍化していると。そんな中でどう伸ばしていこうかって考えたときに、やっぱり答えは現場に落ちているんですよね。現場を徹底的に回るということをやるんですけど。大手ですから、皆さん現地に駐在員事務所もあって、日本人も駐在して、ローカルもいますよと。そんな中、やっぱりわれわれが思うのは、日系企業で働いているローカルの子たちは、もちろん優秀なんですけど、やっぱりお坊ちゃんですよね。特に役職の高い子たちは、やっぱりローカルなのにローカルじゃないみたいなね、そういうことを感じる。うちのローカルと比べたら、だいぶお坊ちゃんであると。うちの、各国、今、9カ国に総勢30名ぐらいをローカル置いていますけど、やっぱりゲリラ戦を得意とした戦士タイプが多いので、ローカルとローカルで戦わせても、やっぱり全然タイプが違うなというのはすごく感じるし。駐在員もやっぱり、駐在していながら現場のことを知っているようで知っていないというか、なんとなくそうだということは分かっているんだけども、確実にそうかどうかを数値で理解しているかというとそうじゃない。でも、それはそうなんですよね、それでいいんですよね。現場1つ回るにしたってね、結局、大手の駐在員が現場を回るって、それは回ったことない人はいない。いや、回りましたよと、よく知っていますよ、伝統小売もと。ただ、ドライバー付きの車で今まで何回か回ったという、そういうレベルですよね。われわれの回るというのは、現場のローカルはもちろんそうだけども、東京からチームのヘッドが飛んでいって、彼らはマイヘルメットを持っているんですよね、東京のメンバーもね。マイヘルメットを持ってフィリピンやベトナムやインドネシアの現場に出ていって、ローカルのチームと、車なんか絶対使わないですからね、バイクに乗って現場を回る。これだけでもね、ASEANの渋滞の中、車で1日に回れる現場の件数って何軒ですか。一方でバイクで回ったら、その何倍も効率的に回れるわけですよね。でも、大手のメーカーのレギュレーションで言ったら、バイクは乗っては駄目ですよね。でも、うちはバイク乗りなさいと、乗っていいですと、なぜ乗っては駄目なんですかという社内ルールなので、もうそこだけでも圧倒的に現場を見れる数が違う。さすがにうちも、日本から行くメンバーはバイク運転するなと、後ろに乗ってくれということは言っていますけど。でも、それぐらい戦い方が違う、回る数が違う。そんな中で差が出てしまうわけ。そこまでやらないと、ローカルの競合には勝てないし、先進グローバル企業には勝てないんですよね。だから、それだけやる。それを、じゃあ、メーカーがやる必要あるのかといったら、やる必要ないと思うんですよ、僕はね。だから、それよりも事業を推進するほうに経営資源を投下するべきなので、現場を回って何かを収集しないといけない。現場を回って、例えばディストリビューターの配荷を確認しに行くとか、ディストリビューターと一緒にセールスをするみたいな話は、逆に言うと外部を使ったらいいんじゃないですかと。むしろその成果を見て、KPIを追いかけて、進捗をしっかり上げていくことこそがメーカーの仕事だと思うので。逆に言うと、そっちのほうにシフトをしていくほうが、僕は圧倒的に。そういうメンバーを社内でどうやって育成していくかということをね、われわれみたいな外部のコンサルと一緒につくり上げていくということのほうが、たぶんメーカーの仕事としては重要で、じゃあ、自分たちもバイクに乗って現場を回りますという話じゃないと思いますね。
なので、前回からのお話も含めてまとめると、やっぱり自分たちの得意・不得意を、シェアの高い会社ってね、よく分かっていると。まず自分たちを客観的に見れている。これってなぜ見れているかというと、基準値を持っているからなんですよ。競合の競争力を100とした場合に自分たちはどれぐらいなんだろうと、自分たちに何が足りないんだろう、何が足りているんだろうと、何を補わないとシェア上がらないんだろうということが明確に見えていて、その不得意の領域において、パートナーをしっかりと使っていく。パートナーの使い方も、申し上げた通り、非常に上手。もう、こことやるって決めたら、そことしっかりやっていく、長いことやっていく。調査パートナーって決めたら、いちいちコンペとかしないですもんね。うちももうコンペなんか参加しないですもんね。そういうスタンスのご支援したくないので、やっぱり本当に必要とされているお客さんのためだけにわれわれのすべての力を振り絞りたいと思っているので、コンペって言われた時点でもう辞退みたいな状態がやっぱり多いし、今僕が想像しているような会社は、もう、そこって決めたらそことずっと長くやっている。毎年見るのは、その会社に支払った金額と自分たちが得た成果のROIが合うのか合わないのかということだけをしっかり見ていくということなので。やっぱり伸びる会社というのは外部をうまく使えている、これに尽きるなと。そういう会社は総じてディストリビューターのマネジメントも上手なんですよ。やっぱりディストリビューターのことを、これはパートナーですから、うまく使う。だから、パートナーを大切にする会社って、やっぱりすごく伸びていると僕は感じていて、どんなに大きくて、どんなにこのカテゴリー、業界ではNo.1でもね、やっぱり社風としてパートナーを大切にしない会社とはこっちからお取り引き願い下げみたいな。うちは別に僕が株主だし、僕のしたいようにできるので、そういう感じで済んでいるので幸せだなと思うんですけど、やりたいことだけをやるというね。でも、やっぱりそういう会社は伸びていますよね、パートナーを大切にする会社というのはね。これはディストリビューターもそうだし。甘やかすのと大切にするのはまた違うので。能力もないのにね、1度決めたらからそことダラダラ付き合うという、そういう話ではなくてね。なので、メーカーが本来やるべきことは事業を推進することなので、自分たちの得意・不得意をしっかり切り分けて、うまく外部を使っていくということが、僕は結論じゃないかなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。