【特別対談】アジア新興国におけるチャネル研究の第一人者 井原 基 教授と語る『アジア新興国チャネル戦略論(白桃書房)』
番組への質問はこちら » お問い合わせフォーム
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/4495650238
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/
noteはこちら » https://note.com/spyder_moribe
この放送の要点
- 井原基教授は埼玉大学副学長。アジアの流通マーケティングが専門。
- 著書『アジア新興国チャネル戦略論』は、B2C製造業の事例からチャネルを論じる。
- 企業が海外に出る際、現地でネットワークをどう戦略的につくるかが一貫したテーマ。
- 日本のB2C大企業はチャネル構築はしてきたが戦略性を欠き、主導権を握られてきた。
埼玉大学副学長・井原基教授をゲストに迎えた対談の第1回です。井原教授はアジア新興国市場の販売チャネルを20年以上研究してきた第一人者で、企業が海外に出る際に現地でネットワークをいかに戦略的につくるかを一貫したテーマとしています。日本のB2C製造業はチャネル構築自体は行ってきたものの、戦略性を欠いたためにパートナー側へ主導権が移ってきました。
テキスト版
ゲストのご著書はこちら▽Amazon:アジア新興国チャネル戦略論: 企業・国の2軸による比較事例アプローチ
井原 基 (著)
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺でございます。今日は、このPodcastに久々にゲストをお迎えしております。埼玉大学副学長 経済学部教授の井原基先生でございます。
井原先生、よろしくお願いします。
井原基先生(以下、井原):こんにちは。井原です。よろしくお願いします。
森辺:よろしくお願いします。井原先生、今年の『SPYDER Global Marketing Conference 2026』に基調講演で登壇いただいた以来でございまして、お疲れ様でございます。その節は大変お世話になりました。
井原:いえいえ。お招きいただいて、ありがとうございます。
森辺:評判も非常に良く、あの後、出光の佐藤さんとか、明治大学の大石先生なんかのご参加も叶って非常に評判が良くて、井原先生に初めてご登壇いただいたんですけども、いろんなお客さんから紹介してほしいという連絡があって、私、今、もったいぶっているんですけども。(笑)今度、セミナーに呼びますからというふうに言ってありますので、また機会がありましたら、ぜひよろしくお願いします。
井原:そうですね、はい。
森辺:今日はそんなものもあったので、ちょっと井原先生にPodcastに出ていただいたら、たぶんリスナーの皆さんも喜ばれるんじゃないかなと思って、今日はちょっと無理を言ってお招きしたという、そんな経緯でございます。このPodcast、リスナーさん、まだ井原先生のことを知らない方もいらっしゃると思うので、ちょっと私のほうから簡単に先生のプロフィールを読み上げてもよろしいですかね。
井原:はい、もちろんです。
森辺:井原基先生、井原先生って、私、基、下の名前が基なんですけど、基もなんか苗字っぽいので、基先生って言いやすい感じがあって、すみません、ちょっと基先生と。
井原:基でも何でも。(笑)
森辺:いえ、言いませんので、井原先生。(笑)埼玉大学副学長の経済学部の教授で、東京大学経済学部卒業後、東京大学大学院経済学科研究科を修了して、経済学の博士です。東京大学日本経済国際共同研究センター特任研究員、それから埼玉大学経済学部准教授、チュラーロンコーン大学研究員、ハーバード大学の客員研究員を経て現職になります。最近の活動としては、経済産業省、化粧品産業競争力強化検討会の座長をお務めになられたり、専門分野はアジアの流通マーケティングの研究、新興国市場におけるチャネル構築、日用品、化粧品企業のマーケティング史ということでございます。
私、井原先生と出会ったのが2025年暮れでしたかね。
井原:そうでしたかね。
森辺:12月ぐらいですよね。
井原:そうでしたね。はいはい。
森辺:明治大学名誉教授の大石先生から連絡いただいて、「井原先生の本が出ます」ということで、私、連絡いただいて、その本のタイトルが『アジア新興国チャネル戦略論』ということで、今日はエピソード1ですけど、2、3、4でまたこの本の紹介もしていきますけど、それを見て、「先生、大石先生、紹介してください!」と言って、渋谷で1回ご飯をご一緒させていただいたんですよね。
井原:そうですね。
森辺:それで、なかなかアジア新興国のチャネルど真ん中の研究を真剣にやっている人に会うことが本当になくて、唯一、大石先生。あと国際マーケティングとか、グローバル・マーケティングとか、ちょっとこの周辺の人はいるんですよ。大石先生もグローバル・マーケティングなので、チャネルの重要性はすごくおっしゃってもらいましたけど、井原先生ほどド真ん中にチャネルをマニアックに研究されている先生を僕は初めて見て。
井原:そうですね。
森辺:それで、うわーっと言って行ったという、そんなあれなんですけど。先生のちょっとプロフィールを紹介しましたけど、改めまして先生の専門のお話をちょっとお聞かせいただけたらと。
井原:そうですね。だから、まず本が出たときに、私、この本のタイトルは、森辺さんの著書のことはあまり意識せずにタイトルを考えたんですけど、そしたら、すみません、森辺さんのご著書とそっくりになってしまって。
森辺:いえいえ。
井原:Amazonでこうね、僕の本を検索すると、森辺さんの本が先に出ちゃうみたいな。
森辺:そうですか。じゃあ、一緒に売れて良かったです。
井原:(笑)
森辺:でも、もうこのタイトルしかつけようがないですもんね。
井原:もうこれ、これですよねと思って。実は出版社から、もうちょっとね、マーケティング・チャネルのなんちゃらとか、そういう提案もいただいたんですけど、もうズバリこれでいこうと、いいじゃないですか、これでと言って。
森辺:そうですよね。いや、マーケティングにすると層が広がるので、言ったらそれに興味を持つ人って広がるじゃないですか。
井原:そうですね。
森辺:だから、たぶん出版社的にはそうしたいんですよね。
井原:そうですね。
森辺:私も出版社の方から言われましたので。ただ、書いてあることはアジア新興国のチャネル戦略論なので、あまりそれをマーケティングって広げると、買って読んだときに読者との、期待と実態とのギャップが生まれて、残念に思われてもね、ちょっとあれなので、いいタイトルですよね。
井原:そうですね。僕は、だから、マーケティングは取ってチャネルに絞ったことと、あとは戦略をつけたかったんですよね。やっぱり、ちょっとあとから話していきますけど、戦略が大事なので。
森辺:そうですね。結局、日本のアジア新興国のこの本もB2Cの製造業が中心に事例をいっぱい書いていただいているんですよね。
井原:そうですね。
森辺:やっぱりチャネルの完成度はまだまだ高められるし、全体的なチャネルの設計とか実装とか構築が戦略的になっていないというのがたぶん日本企業の大きな今の弱点だと思うので。
井原:そうですね。
森辺:そこを中心に書いてるっていうことですよね。
井原:そういう本ですね。そうですね。
森辺:先生って、ずっとあれなんですか、こういう新興国市場の販売、日本の特にB2Cの製造業のチャネルの研究をされてきたんですか?
井原:そうなんですよ。なぜかもう20年ぐらいこれをやっていて。僕がこのチャネルの研究を始めたときは、チャネルに絞るっていうことについてあまり周りから賛同を得られていなくて、もっと、だから、マーケティングは4Pがあるんだから、4P全体に目を配りましょうとか、あるいはそもそもマーケティングよりは国際経営の中のもうちょっとやるべきことがあるでしょうみたいなことを言われたんですよね。でも、僕はなぜかチャネルがすごく引っかかって、それを追い求めてしまったということがあって。それはなぜかというと、あれなんですよ、僕が大学あるいは大学院生になったときって、円高だったんですよね。それで、東南アジアに…。
森辺:80年代?
井原:80年代、90年代。当時、学生が1人で放浪の旅みたいなのを結構して、流行っていて、僕も東南アジアによく行ってましたよね。僕の場合、院生でもあったので、研究目的でいろんなところへ行くんですけど、やっぱり、ちょっと皆さんが見ているところ、皆さんというのは実務家の方とか研究者の人たちが見ているところがなんか違うんじゃないかなっていう思いがずっとあって。例えばね、日本企業の強みって品質とか技術なんだから、つくっているところを見ましょうみたいなね、というのがありました。それはそれでもちろん大事なんですけど、でも、決定的に問題あるのってマーケティングだし、マーケティングと言っても広いし、いろいろあるので、やっぱりどうやって販売経路をつくっていくかというところ、大事なんだなというのは思っていて。それってなぜかと言うと、やっぱり企業が出ていくとき、企業でも実はなんでも同じなんですけど、組織がある国に出て行くときに、現地にどうやってネットワークをつくっていくかというところがとても大事で。
森辺:そうですね。
井原:そうなんですよ。それで、僕の言いたいことって一言で言ってしまうと、そのネットワークをどうやって戦略的につくるかっていう話なんですよ。
森辺:まさに。
井原:そうなんですよ。これって二極端に行きがちで、全然ネットワークなしの戦略論とかマーケティング論になってしまうか、それともネットワークってやっぱり社会学的なほうにいってしまって、ネットワークがありますよって、例えば華人ネットワークはアジアで大事なんだから、そことつながっていこうという話になるんですけど、でも、やっぱり企業の視点からすると、そことどう戦略的につながるかとか、そこをどう生かすかという視点が大事だし、研究としてもそこをやるべきじゃないかなっていうのがずっとあったんですけど。
森辺:めちゃめちゃ同感ですね。
井原:あったんですけど、そこがね、ほとんどあまり。
森辺:分かります。そのネットワークをつくるっていうね。
井原:そうですね。
森辺:チャネルのネットワークをつくるっていうことは、おそらくたぶん多くの日本の大企業、B2Cの大企業は分かっていて、それはたぶんやってきたんだと思うんですよね。ただ、それが戦略的じゃないので、結局、華人ネットワークの、華僑の、ディストリビューターって8割方華僑じゃないですか。大きなところとパートナーシップを組んだんだけど、結局、イニシアティブは先方に取られて、ここに来てパートナーシップがなかなかうまくいっていない企業さんの事例とかってたくさんあるので。
井原:そうですね。
森辺:それって戦略的につくっていないから、そうなっているだけで、そこはね、すごく僕も分かるし、その前段でおっしゃられた、確かにコトラーの理論で言うと、ターゲットに対して4Pを最適化すればモノは売れ続けるんだけども、プロダクトの話もプライスの話も、これはメーカー自身で解決できる話だし、ここを解決できないんだったら、そもそもが終わっているので、ここじゃないよねと。一番やっぱり弱いのってチャネルで、チャネルがちゃんと強くないとプロモーションをいくら打っても砂漠に水を撒くような話なので、やっぱり著しく弱いのはチャネルだなというのは、このコンサルタントとしてフィールドで支援していてもね、それをずっと見てきて違和感があって、15年前にたどり着いたのが明治大学名誉教授の大石先生だったんですよ。
井原:うん。(笑)
森辺:当時はまだ明治大学の経営学部の教授でしたけども。そこからさらに15年経ってたどり着いたのが井原先生だったっていう。(笑)
井原:(笑)
森辺:そんなあれだったんですよね。なので、ますますドンピシャになったっていうですね。
井原:はい。もう、なんかね、そうです、天の川を隔てて遠くにいたのが、すごい時間をかけて出会ったみたいな感じですね。
森辺:いやいや、本当にそうで、僕はすごくね、印象的な出会いであれなんですけど。ちょっともうそろそろ時間ではあるんですけど。
井原:もう時間なんだ。
森辺:2回目、またこれ4回ぐらいちょっと続けて撮りたいと思いますので、今日はちょっとこれぐらいにして、先生のご紹介と出会い編ということで、次回ちょっと引き続きまたよろしくお願いいたします。
井原:はい、よろしくお願いします。
森辺:それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。



