東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:引き続き、東京に本社を移して実際に稼ぐ力をどうやって身につけていったかみたいな話をしてたんですけど、実際に東京に移ってからどんな感じだったんですか、森辺さんの事業自体がっていうのを大枠をお話していただけると分かるんですけど。
森辺:振り返ると、東京に本社を移しました、半年以内にファイナンスをしないと会社潰れますと。その状態で1億5000万のファイナンスをしました。そこから人をドンと雇って拡大路線を目指したんだけど、売上があがらなかったんですよ、コストばっかりで。これは別に雇った社員が悪いっていうよりかは僕のマネージメント能力の問題ですよね。そこでもう一度1億5000万のファイナンスをうって、総額3億のファイナンスをやったんですよね。その1ヶ月後にリーマンショックが起きて、払い込みが1ヶ月前だったので僕は運がいいなと。1回目の1億5000万のファイナンスの失敗を繰り返さないために、コスト意識がそこでついたんですよ。前回も話した、1億5000万が一気に2000万になるわけですから、数ヶ月でね。そこからもいろんな問題がありました。割愛しますが。その中でいろいろ苦労をしてお金の恐怖と友達になるっていう方法を学び、儲けるためには事業を集約してひとつのことで一番になるっていう選択と集中、それがいわゆるプロフィタブルな事業を作っていった。サスティナブルと呼んでいいのかどうかは別に、ある一定のサステナリビティが持てるプロフィタブルな事業体を作っていったんですよね。そんな経緯ですかね。
東:そこから具体的にどうやって飛躍したと言ったら変ですけど、苦しい時期から一気に乗り越えていったっていうのは。
森辺:苦しい時期にお金の恐怖と友達になるっていうことと、事業をプロフィタブルにするための選択と集中、それをクリアしてようやく利益が積み上がる会社になっていったんですよね。そこまで5年、6年、7年くらいかかってるんですよ。僕の給料も何千万ももらって、とかっていう状況になるのにね。そこまでに7年くらいかかっていて、そこからまた一山あるわけですよね。そこからっていうのがスケールできるビジネスなのかどうかっていうのが、ひとつ僕の大きな山だったんですよね。
スパイダーの設立もそうなんだけど、結局グローバルリサーチみたいな産業系の調査っていうのはスケールしないんだよね。それに気付いた。結局リサーチっていうのは1やったら1しか返ってこない。コンサルティングっていうビジネスはリサーチの上にあるんだけど、1やったら10返ってくるんですよ。そのコンサルティングの上にある本当の実業っていうのは1あったら100返ってきたり1000返ってきたり1万返ってきたりするのね。僕はそこに行きたかったんですよ。それで会社を売却したんですね、2012年に。1やって1返ってくるっていうのはこれはこれで素晴らしいことなんですよ。利益が毎年毎年積み上がっていって、どんなに工夫しても積み上がっていくわけですよね。役員には何千万も給料払って、みんなハッピー。ただ、スケールはしないですよね。1やったら1しか返ってこない。あとは人を増やして人を教育して自分の分身を何人作れるか、みたいな。それを僕は一生やっていくのかな、違うよね。1やって1万返ってくる、100万返ってくるっていうことに挑戦したかった。
それはお金を儲けるっていうことではなくて、僕はお金ってひとつの評価軸でしか見てなくてね、お金を儲けるっていうのはお客さんが感謝をしているっていうことのバロメータでしかないんですよね。よりお金を儲けられるっていうことは、よりお客さんが感謝してるっていうことなので、僕はそれはすごくいいことだと思っていて。会社を作って経営しといてお金を儲けるのは良くないことなんて、そんなのは意味分からないからね、会社を作ったからには儲けないといけない。儲けてない会社なんてはお客さんに感謝されていないわけで、存在しなくてもいいっていうことですよね。だとしたらそうなろうと。
東ちゃんと出会ったのが2008年でしょ?2008年っていうと、けっこう苦しい最中だったんですよ。2回目のラウンドの後だからちょっと調子に乗ってる時だったと思う。ぎりぎりファイナンス成功して、さあやるぞっていうね。そこからやって、そこから東ちゃんと一緒に飯を食ったり定期的に会うようになっていったけど。2008年に御曹司の息子と一緒に飯を食ってうちに泊まりにきたでしょ。その時に僕のマンションに泊まったの見たよね。ワンルームの。あの当時だよね。そこから2011年とかくらいには全く生活は変わっているわけなんですよ。学生のワンルームみたいなところに住んでたでしょ。2008年に会社の近くの飯倉の交差点の学生ワンルーム、2011年には130平米だよね。そうするとそれだけそこでガーンと変わってるわけなんですよ。そこがひとつの分岐点だったんじゃないかな。ただそれじゃやっぱりスケールがしない。やっぱりマーケットリサーチとしての会社の一番価値の高いところが僕は2012年、その時にいろんなことがあったんで、それもまとめて会社を売却することで処理をしたというのがちょうど2012年。で2013年にスパイダーイニシアティブを東ちゃんとこうして創業して、非常に順調じゃない。結局リサーチじゃないでしょ、この会社は。コンサルティング、アウトソーシングやりながらその先の事業を作ろうとしていて、今のスパイダーの業績を考えると、これだけ高利益率で売上が2月で3期目に入ってるけど、拡大していってるわけで、やっぱりそこでも僕はひとつあったと思っていて、新しい取締役陣と、新しい発想で、新しいことをやって、今までの僕じゃ気付けなかったことを東ちゃんがスパイダーにインプットして、ってのがいっぱいあると思ってるんだよね。それが、なるほどこういう稼ぎ方ってあるんだね、こういうマーケティングってあるんだねって日々感じてるので、充実感はより高い、いい今日この頃という感じかな。
東:今このリスナーさんは大企業にいらっしゃる方もいれば、森辺さんの名前を聞いて企業家って呼ばれるような人もいらっしゃると思うんですよね。一方で大企業にいるけども何かやりたいって思ってる人って今けっこう多いじゃないですか。そうすると、森辺さんなりに最後の締めくくりとして、これから起業する人とか、今起業してる人とかっていうのをいったんどういったことが本当に重要でどうすべきか、まだ道途中なので完全なアドバイスはないかもしれないですけど、これだけの経験を積み上げてきたと思うので、そういう人たちに対してどういうことをアドバイスをできるかなあと思って、けっこういろいろあると思うんですけどね。
森辺:大企業っていうのは僕はまだ分からないけど、起業するとかしないとかって、する人はどうしようって相談しながら、もうやること決めてるんですよ。実は相談してるんだけど悩んでないみたいな。もうやること決めてる。本当にやろうかやるまいか悩んでる人は絶対やめた方がいい。だってお金の感情、お金の苦しさみたいなのってやっぱり耐え難いからね。悩んでる人は絶対失敗するんで、相談して悩んでるふりしてても自分で腹の中で決めてるんですよ。いろんな企業家あるけど、決めてるんでこっちが何言ったって聞かないんですよ。話を耳で聞いてるだけで、もうやるっていう。そこはひとつですよね。
あと何が問題になるかって、お金稼げないことが問題になるんですよね。そうすると、そこがすごい重要で、あなたが考えてる事業がどんなに素晴らしいとか、どんなにすごい技術だとか、どんなに何とかだとか、そんなことはどうでも良くて。お金本当に稼げますか、誰がそれを買ってくれますかっていうことを本当に考え抜いて突き詰める。そこがすごい重要で。もっと言うんだったらお金の儲かる産業の波の中に本当にその事業あるのっていうことなんですよね。例えば分かりやすい話、今日本でエアコンいくら作ったって誰も買わないじゃないですか。テレビいくら作ったって誰も買わないですよね。それと一緒で、その時代のその国のそこに今やろうとしてることは本当に合ってるのかっていうのがすごい重要で。僕このグローバルビジネスをやってきて本当に当たってたなって思うんだけど、僕が始めたときから、これから一生たぶん僕が死ぬまで日本はグローバルって言い続けるんですよ。ですからグローバル関連でお客さんがいなくなるってことは絶対にありえないわけですよ。僕はそこはすごいラッキーだと思ってて。ただそうじゃない業界もあるわけじゃない。そこの事業に陥っちゃってないかっていうことを考えた方がいいんじゃないかなと思っていて。売上5億、経常2億、みたいな会社はそんなに難しくないんですよね。経常2億できたらものすごい豊かになるし、いろんなことができるし、次の投資もできるし、そこまでがひとつの分岐点じゃないかなと思うんですよ。
東:じゃあ少し長くなりましたけど、そういったことで、今香港にいるっていうことだけをお伝えして。
森辺:ねえ。香港から昔話になっちゃったけど、すいませんリスナーの皆さん、グローバルマーケティングとか言いながら僕の昔の思い出話になっちゃいまして申し訳ないですが、これからもこの番組を東と2人で頑張りますんで、よろしくお願いします。
東:森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。