東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:じゃあ森辺さん、前回はですね、価値の源泉からディストリビューターの、初期のボタンのかけ違いがあると当然後もつまずくわけで、ディストリビューターの選定と重要性みたいなところを語っていただいたと思うんですけど、じゃあそこの導入期はある程度うまくいきました。ただリピートとかそれ以上伸びないで、導入期がずっと続いているっていう企業さんが多いっていうのを、森辺さんよく言われると思うんですけど、導入期は当然MTに入っていると思うんですよね。
森辺:入ってる、うん。
東:そうすると、森辺さんが言われるGTとかTTに入っていくためには、やってるけどもうまくいかないっていうところもあるし、やり方が間違ってるっていうとこもあるし、いろんな複合要素があるので、これとは言えないかもしれないですけど、そこに入っていくために重要なこととか、こうした方がいいんじゃないかみたいなのを、森辺さんに多分いろいろ提言があると思うんですけど、そのへんをお聞かせいただければと思うんですが。
森辺:特にASEANのグループBで…
東:そうですね。
森辺:いう時に…
東:ベトナムとか、インドネシア、フィリピン。
森辺:でいう時に、MTだけじゃ利益出ないですよ、現法つくっちゃったらね。これはなんでかっていったらMTの間口数が少ないからっていうことと、GT、TTがMT化するにはまだ数十年の時間がかかるという中で、高いリスティングフィーを求められながらやっていかないといけない、日本企業はね。P&G、ネスレ、ユニリーバだったら、リスティングフィーなんて払わなくてもいいのかもしれないですけど、日本最大の消費財、食品メーカーでもリスティングフィーは要求される。なぜならばブランド価値がないから。ていう中で、先進グローバル企業がTT、GTでも売れてるからMTでもリスティングフィーはとられないっていう、そういう事情もあるわけですよね。
そんな中でいつまで経っても導入期から抜けられないっていうのは、1つが、私たちの製品はいい製品なんですと。ブランドっていうのは絶対下から上にはいかないし、上から下にしかいかないんですよ。これは絶対にいいですと。ただ、VIPを狙う時に中間層をとらないで何の意味があるのかと。出る意味がそもそもないわけですよね。ですから、MTで高いブランド価値を築きながらも、中間層のGT、TTの間尺に合うような商品を適合化させるっていうことも同時にしていかないといけないわけじゃないですか。
GT、TTに商品が並ぶ、並べるのはそんなに難しくないんですよ。お店のとうちゃん、かあちゃんと話して、置いてくれって。喜んで置いてくれます。店前にパラソル立ててキャンペーンガール置いてもいいかって、どうぞやってくれって。置いてくれるんですけど、結局それ終わっちゃったら売れないから返品在庫の山ですねって話になっちゃうわけですよね。
この時によくある失敗要因2つあって、GTの、TTのとり方が中途半端。要はGT、TTが重要だってとにかく並べた。フォローしないわけですよ。ですから、とにかく置いた。けど売れないから返品された。はい、GT、TTはだめだったねってなるんですけど、それじゃまだだめかどうかわかんないですよね。要は特定のエリアを決めて、そこのGT、TTに商品を置いて、そこでひたすらキャンペーンやりながら、地元の住人の家に訪問して、商品サンプリングで配って、どうですか、ああですか、こうですか、あそこで買えますよ、ここで買えますよっての散々やって、それでも売れなかったらリピートしなかったのか、っていうところまでやらないと。中途半端にちょろっとやってだめ、ほんとはだめじゃなかったのかもしれないのに、だめだったっていう結果が出ちゃってる会社も僕はあると思う。
もう1つは商品がそもそもGT、TTにはまる商品なんですか、どうなんですか。それは価格もそうだし、ものそのものもそうだし。店の店主はね、GT、TTの店主はそれはタダでサンプリングして置いてくれるわけだから、何の損もないわけじゃないですか。喜ぶわけなんですけど。ほんとに商品と価格の適合化が済んでいるの?っていうのが1つありますよね。ここで大体日本企業の場合は、開発が、生産が、こんなに安い原価を使って、こういう商品を出すことは日本の企業としてできない、みたいな話になるわけですよね。だったらそもそもASEANなんか出なさんなっていう話で。そういうことになるわけで。結局MTに出すじゃないですか。MTに並んだものを、ベトナムがVIPの中で一番大変なんでね。ベトナムの話すると、いわゆるお煎餅とかね、日本のハッピーターンとかあるじゃないですか。あと丸い袋に入ったお煎餅でちょっと砂糖がついているようなやつとか、塩がついているやつとかね。旺旺(ワンワン)っていう会社があるんですけどね。そういうところが見よう見まねでつくって安いお煎餅ばんばん売ってるわけですよ、GT、TTに。結局MTに商品、儲かんないMTに商品投入して、GT、TTの攻略が遅れるから、その間に現地企業が見よう見まねでつくっちゃってGT、TTとる、みたいな。そもそも出ない方がよかったじゃん、みたいな話ね。そういうことにもなったりしているんですよね。だから、なかなかそこ難しいですよね。その時にやっぱり、さっきお話したディストリビューター。前回か。
東:そうですね。
森辺:前回お話したディストリビューターをどう選ぶかっていう、そしてどうマネージするかっていうことが重要になってくるんですけどね。
東:もう1つ、もう1回その2つについて整理していっていただくと、1つは?
森辺:失敗事例?
東:はい。
森辺:1つは、GT、TTの攻略方法が、いやもうちょっとできるんじゃないのと。要は中途半端だったからだめだったっていう企業が結構あるんですよ。ただ並べてきただけじゃ絶対浸透しないんで。並べたものが売れるようにする。だから地域を巻き込んで、その地域のGT、TTに商品を置いたら、その近隣の家庭に訪問して、これどうですか、使ってみてください、どう思いますか、あそこで買えますよ、買ってくださいね、買いました?どうでした?何か問題ですかね?値段高いですか?美味しくないですか?なのかね。使い勝手悪いですか?なのか。それ徹底的に1つの地域でやって。そこの消費者が心から、うん、これはいいって思うところまでやってから次の地域いかないと浸透しないですよね。そもそも日本の商品高いんだから。そこまでやらずにただ並べてきて、でもリピートしないから返品されて終わりました、みたいな。これはGT、TTやったとは言わないっていう。こういう状況になってる企業は多いですよ、というのが1つ。
もう1つが、そもそもさすがにこの商品GT、TTで売れないでしょっていうものもあるわけですよね。ですから、製品と価格の現地適合化、GT、TT適合化が済んでいないのに、それを無理やりGT、TTに突っ込んだっていう、そういうのも当然あると。ただ1つ言えるのは、VIPをやるんだったらGT、TTやらないと絶対に利益は出ない。
東:なるほど、なるほど。
森辺:という感じですかね。
東:そうすると、そこをどうやってやるかっていうのが1つやっぱり浮彫になってくる、課題になってくるということですよね。
森辺:そうですね。ここはノウハウなんですよね。だからこうしてPodcastを聞いてすべて熟知できるかっていうと、なかなかそんなあれでもないんですけれどもね。あとディストリビューターもそうだし。なかなか、ほんと難しいところなんですよね。
ただ1つ言えるのは、やっぱ成功している企業がどうやっているのかを少なくとも理解しないとだめなんですよ。それすら理解してない会社が多い。なんとなくあの企業うまくいってるよねっていうのはわかってるんですよ。どうやってるからうまくいってるのってことを可視化できてない、っていう企業は非常に多いと思います。
東:わかりました。じゃあ今日は時間がきたのでここまでにして、また次回そのへんの続きをお聞かせいただければと思います。それでは、森辺さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。