東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:森辺さん、前回はGT、TTにいった時に、なかなか商品が本当に合っているのっていうところと、そこが中途半端なんじゃないのっていうところがあると思うんですけども。そもそもそこって基本的な部分ができてないからっていうところも、もしからしたら言えるかもしれないんですけれども、森辺さんがディストリビューターとか、そういった商品の適合化とか、いろいろ専門性を有するところっていうのは、ここでお伝えするのはなかなか難しいと思うんですけれども、今自社がどういうステージにいて、今やってることが正しいか、正しくないかとか、成功する確率が高いか、高くないかっていうのは、ほんとに基本的な部分もあると思うんですよね。そこに立ち返って自社を見てみると、なんとなくこのままやっていけば、突き詰めれば成果に結びつくのか、そうじゃないのか、みたいなところがわかるような気がするんですけれども。森辺さんがもしそういう企業側で1海外事業部の担当者だとしたら、そのへんの基本的な部分っていうのはどういったところを見られますか。
森辺:僕はね、4Pを見ます。マーケットミックス。で、過去100年の歴史の中でマーケティング学者が言ってるわけじゃないですか。4Pにはまってる商品が売れるわけですよね。これはもう何百、何千、何万っていう事例をベースにマーケティングミックスがいわゆる市場シェアをとるためには重要なんですよって話をしてて。特に、どの業界でもそうですけど、食品、日用品とかって、自分たちは高級なんで、とか、自分たちはクオリティ高いんで、自分たちは上の層だけなんでって、そんなこと言ってる業界じゃないじゃないですか。ど真ん中の中間層に求められて初めて成功なわけですよ。化粧品だったら別ですよ。ですから、4Pの前にポジショニングがあるんですけど、食品とか日用品の業界で中間層とれないんだったら、アジアで、そんなの何の成功でもなくて。何言ってるんですかって話だと僕は思ってるんですよ。だってそんなこだわり関係ないでしょっていう。中間層に求められて初めて成功なわけですよ。FMCGって言われるところは。Fast-Moving Consumer Goodsと言われるところはね。そう考えると、うまく中間層にはまってない会社は4Pにはまってないんですよ。Product、Price、Place、Promotion。Product、品質はいいと。ただ果たしてこれがASEANの中間層が求めているProdcutなの?過剰品質なんじゃないの?それから味が合ってないじゃないの?ここがそもそもあるわけですよね。次に日本企業が一番あるのはPrice。そもそも高いでしょと。結局コスト構造変えられないから、ASEANに出ときながら、いや、上狙うんです、上でブランド力つけてから下いくんですって言うんですけど、下にいけてないわけじゃないですか。いつまで経っても導入期なわけで。MTにしか入らない、イオンにしか並ばない、みたいな。そこがそもそも違ってて、ここを考えないといけない。
Placeはチャネルですよね。じゃあチャネルが成功してる企業と比べて、どう弱いのかっていうのは比較したら一目瞭然なんですよ。これは成功してる企業のチャネル構造を可視化するってこともやっていないので、そこもやっぱり可視化していかないといけない。Promotion。これもやっぱ間口をとりつつBTLやって、ある程度の横軸の間口が伸びたらATLに切り替えるっていう法則が成功してる企業は必ずそれやってるんですよね。ここに全部合ってないんですよ。
4Pに当てはまっているのに売れない会社なんか絶対あり得ないんですよ。4Pに当てはまんない、みたいな。なんで当てはめないの?っていう話で。いや、自分たちは上位から、みたいな。そんなのASEAN出ないで、日本国内の地方都市で思いきりお金使った方がよっぽど成果が出るんじゃないですかっていうのはよく思いますよね。4Pに立ち返るっていうのはね、すごい重要ですよね。だから、クライアントの話でもあるんであれですけど、差し支えなければね、アジアで売られている消費財の商品をね、どっかの企画でやったらいいと思うんですけど、商品全部持ってきてね、例えばこの商品、はい、4Pのここが違う、ここが違う、ここが違う、ここが違う、だから売れてません、置いてあるのMTの輸入品棚だけです、イオンだけです、みたいなことをしていくと、そこ面白いかもしれないですけれどもね。一旦企業は4Pを見つめ直すってことは僕はやるべきだと思いますけどね。
東:4Pを見つめ直すっていう時に、言葉では簡単ですけど、多分言葉は知ってるし、多分マーケッティングミックス4Pというのは聞いたことはありますと。じゃあそれをどうやって自社に置き換えるのかっていうのは、当然比較論になってくるじゃないですか。そうした時に、どこに気をつけないといけないとか、そもそも多分海外でその4Pを比べたことがないとか、っていう方も聞いているリスナーさんの中にはいらっしゃると思うんですけど。森辺さんだったらそのへんはどういうところに気をつけるとか、注意しながら4Pっていうのを、多分森辺さん感覚的にパッとここだってわかっちゃうと思うんですけど、どういうところに注意してますかね?
森辺:Productはね、多分いいんですよ、どこの会社も、日本企業は。これは味覚が云々とね、食品だったらね、そういう話ではなくて、日用品でも文具でもステーショナリーでも何でもね、コンシューマープロダクツと言われてる、Productはいい。問題は価格なんですよね。価格を調整しない限り、GT、TTには入らないわけですよ。だって、何十倍とか高いやつさすがに買わないじゃないですか。
東:そうですね。
森辺:そうすると結局、富裕層みたいな話になるんですけど、いわゆるFMCGって業界で富裕層狙ってどうするんですかって思っちゃうんですよ。食品でもね、トリュフと何かを入れた超すごいものだったらいいですよ。それとかレストラン市場狙うとかね。ホテルを狙うとかっていうような食材はいいですけど、一般コンシューマプロダクツっていうカテゴリーに入る以上、その現地の中間層にはまる価格帯に調整できないんだったら、大きな成果は出ないですよね。結局、輸入品棚に並ぶのが精一杯。それでいいならいいですけど、そうじゃないんだとすると、そこがすごく重要になってくる。だって競合が1/5とか1/10で売ってるものを、どんなにいいっていったって難しいですよね。
というのと、あとチャネル。成功してる企業のチャネルと自社が今やってるチャネルの構造がどれだけ違うのか、ということを見る。プロモーションは後づけでいいと思うんですよ。先ずここの2つを僕は徹底的に考えて。いや、うちの開発がだめって言ってるんですよ、以上、みたいな。だから、基本的には日本でつくっているものをそのまま、みたいな。だったらアジアに出ない方がいいんじゃないって思っちゃうんですよね。
成功している企業はそこをやっているわけですよ。例えば味の素もそうだし、エースコックもそうだし、マンダムだってそうだし。日本のものをそのままやってる会社はないわけですよね。ここなんですよね、成功している企業と成功してない企業。価格が高い。うん、高い、以上、みたいな。早くマーケットがMT化しないかな、みたいな。これじゃASEANやっぱ難しいですよね。そこがすごい一番ネックになってるんじゃないですかね。だってお客さんの商品、お客さんディストリビューターも構築しに行くわけじゃないですか。ディストリビューター会いに行くわけですよね。そうした時に結局最終的に価格の話になっちゃうわけですよ。価格の話になると、MT止まりになっちゃうので。
会社としてほんとにそのマーケットの中間層をとりにいくんですか、いかないんですか、ということが明確じゃない。ここを明確にした方がいいと思いますよ。大企業の場合ね。中小企業がASEANの上位富裕層に商品を売って5000万儲けます、1億儲けますっていうビジネスをしに行くんだったらいいですよ。けど、日本を代表する大企業がね、アジア出るって中間層のマスとりにいくわけじゃないですか。そうするとその4Pのね、Priceを最終的にはなんとかしないと難しいと思うんです。P&Gもネスレもユニリーバもこの4Pに当てはめた時に綺麗にはまるんですよ。なるほど、売れるねって。1回こういうのやってみたらいいかもしれないですね。成功していると言われている企業の商品が4Pにどういうふうにはまっているかを見るだけで納得するんで。と思います。
東:なるほど。
森辺:すみません、長くなって。
東:いえいえ、わかりました。じゃあ森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。