東忠男(以下、東):こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺一樹(以下、森辺):こんにちは、森辺一樹です。
東:じゃあ森辺さん、共著がいよいよ発売されたということで。ちょっと題名だけ、タイトルだけご紹介いただきたいんですけど。
森辺:長いんですけどね、「わかりやすい 現地に寄り添うアジアビジネスの教科書」。
東:これは黒田先生という方と、共著で、あとJICAの方。
森辺:そうです。黒田先生が編著者、というのかな、はい。
東:前回、前回と、結構前に「こういう物が発売されますよ」っていうような、アナウンスはさせてもらったんですけど、今回新たに発売になったということで、今後また黒田先生にもゲストに来ていただきたいと思うんですけども、どういった事を森辺さん書かれてるのか、ざっくり教えていただいてもいいですかね。
森辺:はい。この本自体は、4名、5名の著者で書いてるんですけどもね。基本的には、市場の特徴からBOPビジネスの可能性まで、っていうことで、アジア新興国を中心に、どうやって市場を取っていけばいいのかということは、題材になってるんですけどもね。例えば、第一章なんかはアジア市場の特徴を見極める、ということで、JICAの方がね、だいぶ最新のデータを整理して、色んなことを書いていたりするんですよ。第二章は、異文化環境で人をどうやってマネージメントすればいいかっていうことを、これは東京富士大学の先生が書かれていて。第三章に、アジアに進出する企業の経営戦略ということで、私が担当したパートがあって。第四章で、またBOPの話をJICAの皆さんがされてるということで。
第一章から第四章まで、多岐に渡って書かれているという、そんな本になります。
東:ちょっと高いんですよね。
森辺:だいぶ高いですね。2500円。
東:ちょっともう一回タイトルを言うと、「わかりやすい 現地に寄り添うアジアビジネスの教科書 市場の特徴からBOPビジネスの可能性まで」ということで、カンブリア宮殿にも出た、会宝産業会長の近藤さん推薦という形になっていて
第一章からちょっと簡単に読み上げると、第一章が、「アジア市場の特徴を見極める」と。第二章が「異文化環境で人をマネジメントする」と。第三章が「アジアに進出する企業の経営戦略」ということで。あと、第四章が「BOPビジネスで、アジア市場を開拓する」という形になってます、と。
この中で森辺さんが、第三章の1パーツを担当されているという形なんですけども、経営戦略の方向性を定める、というところから、経営戦略の策定の基本とツボ、というところから、書かれてると思うんですけれども、簡単にちょっと、内容を。本を読む方もいらっしゃると思うんですけど、この辺の内容を教えていただきたいんですけども。
森辺:この辺は、参入する国をマーケット分析する、みたいな話を書いてるんですよね。結局、経営戦略の方向性なんですけども、アジアって言ったって非常に広いわけじゃないですか。そうすると、そのアジアの中でもどの国なの?どの都市なの?みたいなところの、プライオリティをつけていかないといけないわけで「ベトナムに行ったからベトナム」とか、そういう話では無いと思うんですね。なので、それをどうやってやっていくの?っていうようなお話しをさせていただいていますと。
国や都市のプライオリティを決めるというのは一つなんですけど、そんなの非常にベーシックな話で、もっと言うと、じゃあその都市に住んでいる所得層別のピラミッドがあって、そのピラミッドのどこの層を、本当に自分達は狙うんですか?その層に合った商品なりチャネルなりを、どうやって取っていくんですか?みたいな話を、大枠でバーッとしてるっていうのが、この章の話ですかね。
東:なるほど。この中で単語で、TOPと、MOPと、BOPって出てくるんですけど、そこをまずご説明いただいてもいいですかね。
森辺:TOPっていうのは、トップ・オブ・ピラミッドの略で、MOPっていうのは、ミドル・オブ・ピラミッド。BOPっていうのは、ベース・オブ・ピラミッドとかボトム・オブ・ピラミッドの略なんですけど、いわゆる所得層がトップの人たち、ミドルの人たち、ボトムの人たちということで、当然購買力が全然違うので、よくよく三つの層に分けていくわけなんですけどね。そんな略称ですね。
結局、日本の企業が向こうでビジネスをする時に、輸出のビジネスに慣れてるもんですから、当然日本で作ったもの、もしくはアジアで作ったもの、他国で作ったものを輸出するという話になっていくんですけど、自分達の商品は品質が良いということで、当然値段も高いので、このトップ・オブ・ピラミッドみたいなところを狙っていく傾向が、非常に強くて。
それは参入戦略としては間違っては無いんですけどもね。ただトップ・オブ・ピラミッドだけだと、中々利益がついてこないので、MOPにどうやって行くかってことは重要になってくるわけなんですけど、そこの話をしてる感じですかね。
東:なるほど。その次に、先行する企業の商品を調査するという形で書かれてるんですけど、この中で、「フォロワーの戦略を取れば良いのです」ということを、太字で書かれてるんですが、この辺はどういったことを。
森辺:結局、今、アジアでこれから参入をする企業さんって、いかなる業種であっても、絶対にいわゆるコンペティターが先に出てるんですよね。もう多分9割5分出てる。もし直接的な競合じゃ無かったとしても、その御社の商品に代わる何かが既にそこに存在するので、その人たちが過去10年なり15年、その国でどういう戦略で失敗してきたのか、どういう戦略で成功してきたのかっていうことを見ることで、自社の参入戦略を立てやすくするんですよね。
ですから、彼らが経験してきたスタディを、自社のベスト・プラクティスとして取り込む。そんな意味でフォロワーの戦略と言ってるんですけど、何かこうフォロワーって言うと劣ってる感じがしますけどもね。決してそんなことではなくて、どちらかというと、ベスト・プラクティスとして、自社に取り込みましょうと。そういう意味ですよね。
日本の企業って、ベンチマークの調査をしなさすぎるんですよね。いわゆる、既に先に参入している企業が、どういう戦略の元、事業をその国で展開してきてて、そのベスト・プラクティスが何なのかっていうことを学ばずに、自分たちは日本でこうやったから、それをそのまま海外に持ち込むっていうことは往々にしてあるんですよ。それだと中々上手くいかなくて、結構今参入を既にやってる大手の会社さんでも、過去に競合を可視化するなんてことはしたことが無い、っていう会社は結構多くて。自分の競合がどういうディストリビュータ使ってるか知りません、みたいな。結構多いんですよ。なので、僕は全ての戦略を作る時に、競争環境を絶対に最初に全部調べるんですね。なのでそんなことを書いてるかな。
東:そうすると、森辺さんから見ると競争環境・競合を調べるっていう重要性っていうのは、どこにあると思うんですかね。競合調査が大事っていうのは、何となく頭では分かってるけど中々手を出さなかったり、それが疎かになったりしがちだと思うんですけども。
森辺:日本国内で、成功してきた戦略が、アジアだとそのまんまそれが使えないケースっていうのが非常に多いんですよね。むしろそれをやって失敗してをしてしまうっていうことは、凄く多かったりするんですよね。なので、そうではなくて今既存で現地にある競争環境を調べることで、どういう風にやっていくと、シェアが伸びるのか、伸びないのか。っていうことを、取り込んだ上で自社の戦略を作る方が、圧倒的に現実的だし、スピードが早い。なので、僕はそれを推奨してるんですけどね。
東:なるほど。そうしましたら今日はお時間が来てしまったので、また続きで次回も本の内容についてお話しいただければと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:はい、ありがとうございました。