東 こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
森辺 こんにちは。森辺一樹です。
東 では森辺さん、前回はグローバルチャネル戦略を、みたいなところを、スパイダーは結構請け負っていると思うんですけれども。
その中で、チャネル構築のプロセルとか、考え方とか、全体的に踏むステップは変わりませんよね、ということでしたが。
ただ、アジア新興国、でもアジアの中でもそれぞれの国がありまして、欧米に行きますと、また違うじゃないですか。
そうしますと、そのターゲットに対して、こじ開ける、交渉ですとか、雰囲気とか掛け引きというところに違いがあるんですよ、というところだと思うんですけれども。
その違いが、経験値という言葉で終わらせたら、それまでだと思うんですけれども、どう読み取って、何が違うのか、みたいなことを、簡単な例でいいんですよね。
簡単な例で結構ですので、例えば中国と欧米でしたら何が違うのかとか、アジアと欧米でしたら何が違うのかとか。
何か森辺さんの経験の中から、どういうところが違うんですかと。それで、それがなぜ違いが分かってできちゃうんですか、みたいなところは、正直に単純な疑問としてあると思うんですけれども。
そのへんは、森辺さんの知見と言いますか経験と言いますか、今までの実績の中から、分かりやすい例がありましたら教えていただきたいんですけれども。
森辺 例えば、そのアジアとかで、現地で進出をして拠点を持っているにも拘らず、モダントレードの大手小売流通に対して、直接交渉をしないメーカーさんて日系の場合は多いじゃないですか。
それで先進企業は100パーセント直接交渉をして、単にものを運ばせるだけのためにディストリビューターを使っていたりするわけですよね。
一方で日本って、それ自体もディストリビューターに先導されて、契約書に関しては直接結んだとしても。
基本的には、ディストリビューターに交渉の窓口をさせるみたいな話だと思うんですけれども、意外にそれを直接やってみると、その、何だろう・・・モダントレードって、入れるじゃないですか。
それで、中国もそうだと思うんですよね。それって何で?と言われても、いや、経験値ですと、それ以外の方法で言うのが・・・何で、難しいの、そんなことが、という・・・
東 森辺さんの感覚ですと、そういう感じなんですね。
森辺 だって、そこに売り場があって、リテーラー、SMっていうのがあるわけで。そこに通常に電話をしても、はあ?と言われるわけじゃないですか。なかなか権限者に到達できないわけじゃないですか。
その中で、あの手、この手、その手を使って、話のできる人に到達して、彼を絶対に離さないということで。
そこから商品を押し込んでいって関係を作っていって、横に人脈を一気に開いていく、という話だと思うんですよね。
こんなのは僕は13年前に会社を作ったときにですね。昨日作った会社なんです、お客さんゼロです、売上ありません、取引してください、と大企業に言ったら、帰れ、と言われるわけじゃないですか。
だけれども、イヤです、イヤです、話を聞いてください、とやるわけですよね。それと近いようなことで、なんかそういうことをしていかないと。
東 売り上げは上がらないですよね。
森辺 上がらないですからね。それをやっていって、さすがにこんなことは門前払いをされるぞと、正面から行ってもアホだなあと。
誰かに紹介してもらおうとか、誰か、そういうルートがある人はいないかな、とかいうことを死に物狂いで探していってやっていくわけじゃないですか。
ですから、それに似ている感じで、そんなに特殊なことをするという感じでもないんじゃないかな、と思っていまして。
ですから、なぜそんなことが難しいの、というか、何でやれないの、というか、何でやらないんですか、そんな普通のことを、というだけの話なんですけれどもね。
それで、当然、最初は一緒にこじ開けに行きますけれども、あとは現地スタッフに全部やらせるわけじゃないですか。
それを我々がオペレーション管理をして、指示を出して、突き進んでいくという話ですし。
それで、最後のラスト・ワン・マイルは現地人同士で話をさせないと、日本人が出てきましたらややこしくなるので、そういうことになると思うんですけれども。
何でだろう・・・
東 まあ、そのへんのことは、今、聞いていますと、森辺さんはできて当たり前のものとしてとらえているじゃないですか。
森辺 うん。
東 それで、結構多くの人は、それをやらない人とかできない人というのは、最初からできないととらえていると思うんですけども。
そこらへんのマインドセットというか、そのへんは、森辺さんは最初からできると思っているのか、それってどういう感じなのでしょうか。例えば、企業***(00:06:22)で言いますと。
森辺 いや、やらないとご飯が食べれないですから、やるしかない、みたいな話なんですよね。
それで、お客さんの仕事を請け負ったときに、まあ、今でしたら、もう想定ができるわけじゃないですか。
はい、アメリカでしたらウォルマートがターゲットで、なんとか、もう口座もありますし、アイツのことを知っているから、よし、アイツに話に行こうとか。
この商品ならいける、一気にごり押しでやってやるぜ、とか、何となく想定ができますし、まあ、アジアでもそうですよね。
SMPゴールドのなんとか、よし、アイツのところに行こうと、そういう話じゃないですか。だから、まあ、いいんですけれども。
まだ、ルートがないようなリテール間口に関しては、お客さんがシェアを上げるためには、そこのリテールの間口が必要なわけじゃないですか。
そうしたら、もう、選択肢はそこの間口を取る以外にはないので、なんか、行くしかない、みたいな話じゃないのかな、と思うんですけれどもね。
東 でも、そのできるできないは、場とか関係がなくて、とりあえず売り上げを上げるためには・・・
森辺 東ちゃんだって、そうでしょ。今、中国でやっていることは。行くしかないから、行くということでしょ。
東 そうですね。
森辺 お客さんの信頼を、がっかりさせるわけにはいかないですし、売り上げを取るためにはこじ開けに行っているわけですから。
できない、できる、なのかな。どうなんだい・・・どうなの・・・ちょっと、ごめんなさい。なんか、あんまりいい答えになっていなくて、申し訳ないんですけども。
それで、それを繰り返してやっていきますと。
東 それが自然にできるようになるんですね。
森辺 うん。別にそれが自然なことなわけですけれども、でもやっぱりお客さんは、まあ、難しいよな、と思うことも多々あるじゃないですか。
これってね、セミナーとかね、Podcastとか、本とか、教材に書き切れないんですよね。
ちょっとした、この挨拶の仕方ですとか、ちょっとした、この、何だろう。じゃあね、と言うときの、その“じゃあね”の言い方ですとか。
ちょっとした肩を叩くときの叩き方とかで、一回二回くらいしか会っていないのに、ものすごく距離を縮める方法というのもあるじゃないですか。コミュニケーション能力って言うのかな、何て言うのかな。
一回しか会ったことがないのに、確実に顔を覚えてもらうとか、そういうこともすごく関係があるわけじゃないですか。
それで、オマエ、気分で言ってるだろう、みたいな購買担当者もいるじゃないですか。
それで、そういう人たちをマネージしていく・・・何て言うんですかね。
センスの話ですから、いや、このお客さんが出ていくとちょっとお話がややこしくなる、というときには連れて行かないでしょ。我々も。
東 連れて行かないですね。はい。
森辺 それで、全部契約まで持っていっておぜん立てをして、挨拶だけ行きましょうと。余計なこと話さなくていいですと。
挨拶して、ハンコを押してください、みたいなこともあるわけなので、そこはなかなか難しいですし、それを全部書いて渡したら・・・僕らの仕事・・・ああ、なくならないな。それができないわけですからね。
そうだと思うんですけどね。
東 はい。なるほどね。ここは、じゃあ、なかなか・・・
森辺 でもちょっと整理してみますよ。
どこかのタイミングで、Podcastでちゃんと、こう話せるように。
ただ、ちょっと、なんでやらないの、なんでできないの、としか、今、思わないので。
もうちょっとブレイクダウンしてね、こういうことです、みたいなことが言えると、リスナーのみなさんのお役にも立つのかなあ、と思いますので。
東 そうですね。それでもう少し視点を変えて、例えばアジアとか、中国とアメリカでは、まず人種が違うじゃないですか。
そこで、交渉と言ったらいいか。ターゲットはなんとなく、みなさんもお分かりで、小売と言えば大きいところに入れれば、それで大量に売れますよね、というのは基本的な考え方じゃないですか。
そうすると、ターゲットはなんとなく分かって、ここで売りたいな、というのまでは結構分かると思うんですよね。
ここに売りたいな、で終わるのか、森辺さんみたいに、もう、これだったら別に何ともないよね、と言って、行っちゃうのかで一つ違いがあると思うんですよね。
ただ、行ったときの交渉の仕方というのは、さっき森辺さんが、すごく細かいところでいろいろ言われていたんですけども。そこは、アジアと欧米で違いがあるんですかね。
森辺 うん。ありますよね。
東 ちょっと一つ、森辺さんがこういうところが違いますよね、と感じるところって何かありますか。
森辺 一貫して共通するのは、やっぱりメーカーとして、そのリテールに対して戦略提言ができるかどうかですよね。
これ、生意気にもね、アジアのリテーラーもね、この商品を売って欲しいということは分かりますけども、オマエらの戦略は何だ、と言ってくるわけですよ。
黙って売れ、と思うんですけどもね。
この商品をあなたたちのリテールで取り扱うことで、こういうメリット、こういう富、もしくは僕たちはこの商品で、この国で、向こう何年で、こういう世界観を描いていますよ。
だから、あなたたちは、これをやることに意味があるんですよ、意義があるんですよ、という大きな戦略をやっぱり描かないと、全然駄目だと。
ただ、これを売ってと言って、持っていったって、そんなのはデカいところは、はあ?リフティングフィーはどれくらい払うの、みたいな話になってしまうわけですので。
何か戦略がなければ、ということは共通して言えることで、あとは、やっぱり購買の担当者と仲良くなりつつ、奴隷にならないということで。
ですから、ある一線を置きながらも、まあ、分かった、森辺ちゃんが言うなら。
東 しょうがない、みたいな。
森辺 という関係、距離感をどれだけ作れるか、というのが、やっぱり最後はすごい重要になってくると思うんですよね。
ですから、アメリカ人のバイヤーと接するときと、ベトナム人のバイヤーと接するときと、フィリピン人のバイヤーと接するときは、やっぱりやり方というのはね、違いますよね。
そこは一つ、大きなポイントだとは思いますけれどもね。あとはやっぱり、僕の右腕、左腕として現地で支えてくれる現地スタッフの相性、女性と男性がいて、性格もいろいろ違って。
ここにはコイツをぶつける、ここにはコイツをぶつける、ということですけれども、ただ、その判断を僕ができなかったら、無理なわけですけれども。
ずっと僕が交渉するなんていうことは、あり得ない話ですし。なので、やっぱり最後のラスト・ワン・マイルを現地のスタッフがやるわけじゃないですか。ですから、そこも重要ですよね。
東 なるほど。分かりました。では、森辺さん、今日はありがとうございました。
森辺 はい。ありがとうございます。
(第226回、終了です)