話者の表記:◆アズマタダオ/男性/質問者
話者の表記:◆森辺一樹/男性/回答者
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◆アナウンス
森辺一樹のグローバルマーケティング。すべてはアジアで売るために。
ポッドキャスト、森部一樹のグローバルマーケティング。すべてはアジアで売るためには、過去10年間で1,000社以上の海外展開の支援を行った森部一樹がグローバルマーケティングを分かりやすく解説します。
グローバルマーケティングとは、世界のニーズに応えて利益を上げること。アジアで売るためには、物作りプラス、グローバルマーケティングを武器とした戦略を持たなければなりません。
日本には素晴らしい企業が多く存在します。その企業と共にアジア市場を目指したい。再びジャパンアズナンバーワンと呼ばれる時代を作りたい。森部一樹はそんな思いを持ちながら、この番組を皆様にお届けいたします。
◆アズマ
こんにちは、ナビゲーターのアズマタダオです。
◆森辺
こんにちは、森辺一樹です。
◆アズマ
森部さん、引き続きベトナムのホーチミンからお送りいたしておりますが。ベトナムでもアジアでも、よく森部さん、ディストリビューターに会われると思うんですけれども。よくグローバル先進企業と日系企業っていう形で比較されたりするんですけども。実際ディストリビューターから見て日本企業ってどう映ってるのか、あんまり今までそういった話はしてこなかったと思うんですけど、いろいろ回ってると、そういう声も聞こえてくると思うんですが、実際どうなんです?
◆森辺
一番多く言われるのが遅い。たぶんみんなも聞いてると思うんですけど、なるほどと。もう一つ言われるのが戦略がないと。だから結論がない。グローバル・スタンダードの感覚でいうと、ベトナムにはベトナムの文化や商習慣があるから、そういうのもあると思うんだよね。けど日系企業が付き合っていくとなると、ディストリビューターなんかも小っちゃいところは思いっきりベトナム系ですよ、商習慣も。ただ大きくなってくると欧米のメーカーと取引をしてるので、すごく欧米よりなんですよね。日本企業に何をしてもらいたいのかと、自分たちに。それを明確にしてくれっていうことをすごく言うんですよ。日本企業の場合は、売ってほしいじゃないですか。売ってほしいっていう話なんですけど、大枠じゃなくて、こういうふうにして、こう売ってほしいと。これに対してこれだけのパーセンテージを払うと。こういうことを一緒に実現しないかと、っていうことは必要じゃないですか。メーカー側にはちゃんとした戦略があるから、何をしてほしいって、ディストリビューターには何をエクスペクテーションとして求めるのかっていうことが明確なんですよ、戦略がある会社は。けど戦略がない会社っていうのはディストリビューターに売ってほしい、以上。みたいな話になっちゃうんですよ。それだとディストリビューター動かないわけじゃないですか。動けないわけですよ。
◆アズマ
日本的な考え方と、販売代理店とか代理店って言われるところに、売ってほしいって言えば売ってくれるから、それでいいじゃんっていうような感覚があると思うんですけど。それが海外だと、なんでそこが違ってくるのかってのは、森辺さんなりの理解だとどんな感じなんですか。
◆森辺
日本の場合、皆まで言わなくとも、同じ商習慣の中であるわけじゃないですか。そうすると、これぐらいのことをやらないとだめだなって、当然、代理店側がわかるわけですよね。くみ取ってくれる。でもそれが誰も世界に出たら、くみ取ってくれないわけですよ。日本だと契約書なんかなくたって、くみ取ってくれるじゃないですか。契約書以上のこともやってくれるじゃないですか。そういう世界ですよね。けど海外になると、契約書以下だったら契約違反だし、契約書以上はないんですよ。契約書なんですよ。じゃ、その契約書って何から落ちてくるかっていうと、両社で決めた戦略が契約書に落ちるわけじゃないですか。そこがやっぱり大きな違いで、そこで物事が進まないし、上手くいかないみたいな。
◆アズマ
それが常識というか、スタンダードになっちゃってるところ。
◆森辺
日本のメーカーさんだと、とにかくいいディストリビューターさんを紹介してほしいと。行きます、行って、会社案内説明して以上と。売ってほしいって言えばいいですけど、なかなかそこも言えないわけですよね、いきなりは。どうしようか、ああしようか、本当にここでいいのかなって、悩まれるわけですよ。なぜならばそれはその日本企業さんに戦略がないので、何をエクスペクテーションとして向こうにやってほしくて、それができるのか、できないのか、いくらだったらできるのか、どうだったらできるのかっていうことの調整にならないから、いつまでたっても物事が進まない。それがすごくクリティカルな問題として、あるなという気がします。
◆アズマ
それはディストリビューター側から見ると、そう写ってるってことですね。
◆森辺
だから、うちなんかはお客さんの戦略ができ上がんないとディストリビューターなんか連れてけないじゃないですか。連れてって会社の案内されても「は?」って話じゃないですか。なんでそこはすごい言われるよね。
◆アズマ
そうすると欧米企業、特にアメリカ企業なんか強いと思うんですけど、そういった企業は具体的にどうやってっていうか……。
◆森辺
優れた企業はまず戦略があるわけですよ。この国でこういうディストリビューターを使って、こういうことをさせたいと。ディストリビューターに求めるエクスペクテーションはこういうものですっていうものが、全部数値であります。それが戦略じゃないですか。だからそれができますか、どうですか。できるところは契約、できないところは契約しない、なんですよね。日本企業の場合は、行きました、いろんな会社やってます、いいね。社長日本語喋れる、完璧ね、よしやろうってなるわけですよ。その数値でないんですよ、感覚値で判断しちゃう。味の素ディストリビューターなの?いいじゃない。ヤクルトもやってるの?更にいいね。しかも社長ちょっと日本語喋るじゃん、お願いします、みたいな話なんですよね。でも先進企業は味の素やってようが、ヤクルトやってようが、自分たちはこういう戦略があるんで、自分たちのエクスペクテーションをのめますか?のめます。じゃ一緒に頑張りましょうって契約するんですよ。それはすごい大きい違い。だから契約した後が全然違う。
◆アズマ
契約した後が全然違うっていうのは、もうちょっと具体的に言ってもらうとどう違ってくる……。
◆森辺
契約する前に、エクスペクテーションっていう中にKPIが入ってるわけですよね。そうすると、どういうKPIで、どういう時間軸で、どういう売り上げを伸ばすかとか、間口のカバレッジを伸ばすかとか、店頭シェア上げるかみたいな話が全部盛り込まれてるので、ToDoが明確になってるんですよ。契約した即日からアクションが始まって、売り上げが伸びていく。日本企業の場合は、契約した後それを作るじゃないですか。3年ぐらい様子見ないとだめだよね、みたいな。欧米からすると3年様子見るとか意味分かんないっていう話だと思うんですよ。半年、一年見たらわかるでしょ、みたいな。欧米は1、2年だめだと思ったらパンパンパンパンディストリビューター変えていくじゃないですか。そこが全然違うからスピードの違い、しいてはマーケットシェアの違いに結びついちゃってるんですよね。これがやっぱり大きくて、これはディストリビューターのオーナーも社長もみんな言ってますよ。だからちょっとなめられてちゃってるみたいな。だから僕なんかは「なめんなよ、コノヤロー!」と。うちの客は違うぞと。俺ら付いてるんだからみたいな話なわけですよね。そこはやっぱ大きくありますよね。まだ時間大丈夫?あと、語学ができる、できないってのが1つあるけど、そりゃできたほうがいいんでしょうけどね。別にそれは優秀な通訳付けりゃいいので。そこは別にいいと思うんですけど。外人との接し方。外人っていってもいろいろいますから。ベトナム人はベトナム人だし、アメリカ人はアメリカ人だし、フィリピン人はフィリピン人だ。ただ名刺交換をするのに、とにかく日本企業、人数が多いんですよ。ディストリビューターいくのに。いろんなところから人数来て。名刺交換で行列作ったりとかね。そんなのテーブルでポンポンポンポンと渡せばいいじゃんみたいな。そういう「ザ・ジャパン!」みたいな。「日本流!」みたいな。それはそれでいいんですけど。
◆アズマ
それはグローバル・スタンダードから見ると、ちょっとっていう感じになっちゃうんですかね。交渉が始まる前に下に見られちゃうっていう……。
◆森辺
思いっきりジャパニーズ・カンパニーみたいになってて。何ていったらいいのかな、これまた難しいんですよね。
◆アズマ
結構ニュアンスというか。
◆森辺
ちょっとしことなんですよ。だから、なかなか難しいかもしれないですけど、そこはすごい思いますよね。場の雰囲気。会議の結果って、雰囲気で結果って、僕、何十パーセントが方向が変わると思ってるんですよ。だからいかに会議の流れを変えていくかっていう、雰囲気っていうか流れですよね。その流れを作っていかなきゃいけないときに、上手くその流れを導いていかないといけない。日本ではそのやり方がいいわけじゃないですか、礼儀正しくて、すごくいいと。僕は礼儀正しくなくしろって言ってるわけではなくて、一旦、日本の外に出たときに、日本流の礼儀の正しさは、ビジネスの上で邪魔になってしまったり、あんまりいい流れを作れない要因にもなりかねないと。そこなんですよね。そこが実は語学よりもすごい重要だと僕は思っていて。
◆アズマ
そこは具体例っていうのは難しいと思うんですけど、それを習得するっていうか、分かるか、分かんないかって一つあると思うんですよね。分かるようになるために、森辺さんなんかはシンガポールで育ってとか、アメリカンスクール行ってるから、それが自然とできるって話だと思うんですけど。ただ日本育ちの人が、それをするために少しでも近づこうとすると、森辺さん一つでもいいんで、こんなことをしたら、分かるようになるんじゃないとか、こんなことしたらいいんじゃない、というのはあります?
◆森辺
若いうちに海外に出るってことをしないといけないし、海外には若手を突っ込めっていう話だと思うんですよね。いきなり4,50になってそれやれっていったって、そんなの無理じゃないですか。だからそういうことだと思ってて。よく日本人て、西側の国に行くとシリーって言われるんですよ。ちょっと変みたいな。それなんですよ。その日本のシリーってすごいあれなんだけども。僕もそれを見てきっと思ってるんだろうなこの人シリーって、この人のことをとかって思いながら。ちょっと恥ずかしかったりするんですけど。例えば大統領を比較して、ちょっと申し訳ないけど総理大臣と大統領。時間大丈夫?オバマさんと安倍首相を比較したときに、こんなこと言ってあれかもしれないけど、聞いてないと思うからいいんだけど、オバマさんのほうが堂々としてるでしょ。安倍首相はたぶんスピーチコンサルつけてやってるんだけど、口と手の動きがあんまり合ってないみたいな、慣れてないんですよ。オバマさんは慣れてるんですよね、アメリカの大統領。その堂々としてるフリがすごい重要で、インド人とかもすごい堂々としてるんですよ。すごいお喋りなくせに。インド人の皆さんすみません、悪口じゃないですよ。そこなんだよね。それが民間レベルというか我々レベルにきたときに、そのまま出ちゃってるんですよ。オバマさんみたいにやればいいんですよね。俺いいこと言うね。オバマさんみたいに会議に出たらいいんです。
◆アズマ
じゃオバマさんの、例えばテレビでもいいし、ユーチューブでもいいし、そういうのを見てもらうと、なんとなくそれが感じ取れるんですね。
◆森辺
感じ取れる。それが感じ取れない人はもう諦めたほうがいい。だって海外行ったら、アメリカ行ったら、歯並びで人を判断するんですよあの国は、歯並びで。そんな国なんだから、重要なんですよ。だからオバマさんを常にイメージして、自分はオバマさんなんだと思って行動すると、すごく上手くいく気がします。
◆アズマ
わかりました。今日はこのへんで。森辺さんありがとうございました。
◆森辺
ありがとうございました。
◆アナウンス
本日のポッドキャストはいかがでしたか。番組では森辺一樹への質問をお待ちしております。
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森辺一樹のグローバルマーケティング。この番組はスパイダーグループの提供によりお送りしました。
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