・こんにちは。ナビゲーターのアズマタダオ(以下A)です。
・こんにちは。森辺一樹(以下 森辺)です。
A:森辺さん。前回は、フィリピンの財閥について、少しお伺いするところで終わったんですけども、具体的にどういった、フィリピンには財閥があるのか教えていただけないでしょうか。
森辺:基本的には、フィリピンの経済の約8割くらいは財閥が占めてるんです。大きく分けて、中華系の財閥とスペイン系の財閥が存在している。ただ、スペイン系の財閥って、大半が勢力を失っちゃってて、今では、アヤラ財閥だけが目立つ存在になっている状況なんです。アヤラは、不動産とか銀行、通信、保険、食品なんかを手掛けてて、メトロマニラだと、マカティ地区の開発とかは、このアヤラがやってるんだよね。我々が今いる所もマカティだし、一番先進的なフィリピンというんですかね。グリーンベルトとか、大きなショッピングモールのエリアがある、そんな所があります。その辺の地区は、非常に近代的に開発されてる。ビジネスエリアでもある。あとは、中華系の財閥で、中華系の中心っていったら、ヘンリー・シーが率いるシー財閥。これが、BDOってフィリピンに来ると、いろんな所で見ると思うんですけど、BDO銀行っていうのがあるんです。小売だと、モダン・トレード最大のSMのグループを持つのも、このシー・ファミリーで、ユニクロが合弁してる、ファーストリテイリングが一緒にこっちで事業をやってるのも、このシー・ファミリーのひとつの会社なんです。ヘンリー・シーさんってもうお爺さんですけど、フィリピンでは、一番の大富豪なんですよね。たしか、1兆円以上した「不明(03:27)」載ってましたけど。そんな人で。実は、このシー・ファミリーって、親戚含めて、ものすごいファミリーがいて、今日、友達の紹介で、そのシー・ファミリーの一人に会うんだけど。息子の息子。ヘンリー・シーさんからみると孫とかは、我々と同世代なんで、結構親しみやすい年齢層っていう。あとは、ルシオ・タンも有名ですけど、ルシオ・タン財閥。これは、銀行もやってますし、航空事業もやってるし、ビールなんかもやってるしというのが特徴で。タバコなんかは、フィリピンの8割はこのルシオ・タン財閥が牛耳ってる。フィリピンで、たしか、この人が二番目の資産家なんですよね。1兆円弱くらい、7千億くらいたしか資産があった。まあ為替でちょっといろいろ変わりますけど。小売でいうと、ロビンソンズ。これもフィリピンの4大小売のひとつですけど。ロビンソンズなんかもやっているし。ミニストップとかやってるのもここですよね。日本側との合弁で。セブ・パシフィックってセブ島行くときの航空会社あるじゃないですか。これも、ルシオ・タンの財閥がやってるという。あとは、主要な財閥っていうと、サンミゲルってビールご存知でしょ。コファンコ財閥っていうのがあるんですけど、これがサンミゲルをやってるところで、今、キリンが出資してるんですかね。キリンが大株主だったと思いますけど。食品とか、養鶏とか、肥料とか、そんなのを中心にやってる財閥。あとは、ロペス財閥とか、通信、電気、水道、高速道路なんかのインフラ手掛けてて。ここはたしか、フィリピン最大の放送局ABS、CBNを持ってるんだったかな、たしか。あと、最後が、これもすごい有名ですけど、銀行、建設とか自動車、保険なんかを手掛けてるユーチェンコ財閥っていうのがあって。マカティのところに、ユーチェンコ・ミュージアムっていうのがあるんですけど、何かもうユーチェンコって名前が強そうだもんね。そういうのが牛耳ってますよっていう、そんな市場ですかね。
A:そうすると、財閥と小売っていうところは、紐づいてるところはあると思うんですけど、小売でいうと、どういったところが有名なんですかね。
森辺:大手4大小売りって言われる、SM、Puregold、Robinsons、それから Rostans。ここ外したら、はっきり言って、消費財メーカーで、ここで勝負できないっていう4大です。この、4大財閥系の小売の系列の、別形態があるんですよ。ハイパー、スーパー、コンビニ、なんとかっていうのがあるんで、基本的にはこの四つの財閥が持つ、今言った、4大小売、ハイパーなんですけど、Rostansはデパートですけど。この四つの下に、いろんな別の形態のディスカウントストアがあったり、コンビニがあったり、ドラッグストアがあったりみたいな感じで、市場が成り立っていて、その他の独立系で言うと、S&Rとかコストコみたいなやつ。10店舗弱ぐらいしかなかったと思うんですけど、いわゆる大量購買をして、めちゃめちゃ富裕層向けのメンバーシップのそういう所ですけど。あとマーキュリードラッグが非常にでっかいですよね。コンビニだと、セブンイレブンが1000店舗超えてて、圧倒的みたいな。そんな構造になってますかね。
A:それぞれの小売の特徴っていうのは、簡単に教えてもらいたいんですが。
森辺:ひとつ、SMは、基本的にBDOバンク持ってるところの系列で、SMはどっちかっていうと、イメージ的には、だいぶきれい。だから、中の上以上の人たちが、行く的なイメージがあるんですかね。ハイパーにしろ、スーパーにしろ、SM系は。フィリピンいろいろ行ってると、ものすごい規模のSMがどーんとあって、結構SM海外にも展開してるんですよ。その次が、PuregoldとRobinsonsは、ちょっと落ちるんですよね。中の中以下みたいな感じで、店のつくりも。Rostansは、もうRostansデパートメントストアが主力なので、Rostansのモールとかね。かなり高級で、スーパー寄りっていうよりかは、百貨店的なデパートメントストア寄りの所になります。そうは言っても、SMをおさえることは絶対なんだけど、Puregoldっていうのは、非常に重要な小売なんですよね。店舗数でいうと、やっぱり一番多いんですよ。っていうのと、フィリピンの小売の特徴って、伝統小売のオーナーさんが、モダン・トレード、近代小売から商品を仕入れるんですね。Puregoldというところは、伝統小売のオーナーのための、購買プログラムみたいなものを持っていて、かなりこのPuregoldから、サリサリストア、伝統小売のオーナーが商品を仕入れてるんですよ。だから、このPuregoldっていうのは、伝統小売の攻略の上でも非常に重要な小売になるというところがあるんですけどね。
A:分かりました。そしたら森辺さん。今日はここまでにして、次回ちょっと、その話を詳しくお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いします。
森辺:はい。よろしくお願いします。