東:こんにちは、ナビゲーターの東忠男です。
森辺:こんにちは、森辺一樹です。
東:では森辺さん、前回最後のほうに、経営陣もしくは経営のトップが市場を見て、TTの、特にインドネシアなんかの重要性を肌で感じていかないと、なかなか前に進まないんじゃないかというお話があったんですけど、ちょっともう少しその辺を詳しくお聞かせいただきたいんですけれども。
森辺:前回もお話したとおり、インドネシアの市場というのが、8割がTTの市場であると。5つの主要島にマーケットが分かれていて、首都ジャカルタと地方部が全く市場の特性が違ってきている市場。そんな中で、TTをいかに攻略するかが、企業がそこで利益を上げるために非常に重要なポイントですよと。このTTの攻略には、複数のディストリビューターを活用していかないといけないという、こういう問題がある。そんな中で日本の市場の常識をそのまま持ち込めないんですよね、この市場って。そうすると、企業の中でジャッジをする人間。つまりは経営のトップ、もしくは海外担当役員がその市場を実感値で理解していないと、TTを推し進める戦略とか、複数のディストリビューターを同時に活用していく戦略とかいうことに対するジャッジができないんですよね。日本企業って、どこの国の企業もそうですけど、トップが右だったら、右に進むわけじゃないですか、組織って。そうすると、現場が右だと思っているんだけど、それをトップが、いやいや左なんじゃないのと。MTでしょうみたいな。いやいや、TTなんですと。いやいや、MTですみたいなね、何か無駄な押し問答、これがやっぱり非常に多くて、僕はトップがやっぱりこの市場を見て理解しないと、日本と大きく異なるので、判断ができない。そこに非常に大きな問題が日本企業ってあると思っているんです。なので、できる限り僕もこっちにお客さんのトップを連れてきて、スラムを見せる、TTを見せると。ディストリビューターのオーナーに合わせるということをやるんですけど、何というんですかね。決める人が現場を見ないと、前に進めないんですよね。もし決める人が現場を見ないんだったら、決める権限を移譲しなさいという。そこがやっぱり日本企業というのは非常に遅れちゃっている。そこは一つ問題ですよね。
東:なるほど、なるほど。そうすると、そうした上で、結構現地にいる人からしても、TTをやるには大変だみたいな、やっぱりそういう頭があると思うんですけど、その辺をやっぱりトップが決めていかないと、なかなか前に進まないんじゃないかということですかね。
森辺:だってMTの数が3万店で、週販大体どれぐらい売れるかもうわかっているわけじゃないですか。そうすると、年間の売り上げなんて計算できるはずですよね。片やTTの数が280万店あって、その280万店のうちの、例えば、わからないですけど2割、3割をとっていくということもすごく大変で、時間がかかるわけじゃないですか。そうするとインドネシアの戦略なんて、短期で立てちゃだめで、中長期で絶対立てないといけないわけですよね。そのジャッジを現場見ないでどうやってやるのというのもそうだし、じゃ、その280万店を獲得する上では、ディストリビューターが一か国一代理店とかってやっている場合じゃないわけですよね。サブディスまで使って、マイクロマネジメントしてやっていかないと、280万店なんて途方もない数、配荷できないわけじゃないですか。だからそういうことをトップがわかっていないから判断が進まなくて、そっちって大きな事業戦略ですよね。そうすると、現場は今年の売り上げ、来年の売り上げみたいなところの話で、でも経営は5年後、10年後の売り上げみたいなところの話をして、インドネシアって、後者の5年後、10年後を考えて進まないと、前に進まないんですね。先進企業ローカル企業というのはそうやっていて、そこのジャッジは現場の仕事じゃない、経営の仕事だと。そうなったときに、その経営が現場を見ないで何が判断できるのと。なので、いつまで経ってもTTをやるという本気のジャッジがなされないじゃないですか、日本企業の場合。それがずっと続いて、時間のロスになってしまって、最後取り返しのつかないことになるというのがやっぱり非常にいい製品を持っているだけに痛手であるというのは、すごく思うんですよね。だから、経営が現場を見る。そうじゃないとジャッジができない。それも重要だし、もう一つはジャッジしない、現場を見ないんだったら、ジャッジの権限を移譲しなさいということは、やっぱりすごく感じますよね。特にインドネシアそれをやらないと、なかなか難しいですよ。現場だけで力ずくで引っ張っていくにはね。あまりにもTTが大き過ぎる市場、そんなふうに感じますね。
東:わかりました。じゃ、ちょっと今日はお時間が来たのでここまでにしたいと思います。森辺さん、ありがとうございました。
森辺:ありがとうございました。
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