(東さん)
こんにちは。ナビゲーターの東忠男です。
(森辺さん)
こんにちは。森辺一樹です。
(東さん)
少し前に一カ国一代理店では難しいと言うお話をしましたが、お客様も含め数社様から「うちも一カ国一代理店ですがどうしたら良いですか?」と言うお声を頂きました。
一カ国一代理店が全くダメと言う事ではないと思いますが、どういった場合が駄目なのか、このステージに入ったら考え直さなければいけないなど、ステージによっても違うと思いますので、もう少し詳しく森辺さんに伺いたいと思います。
(森辺さん)
一カ国一代理店では駄目だと言っている理由は大きく分けて二つあります。
当然ステージと戦略によって、代理店をどこにするか何社にするのかを決めていくのですが、基本的にどのアジア振興部においてもモダントレードだけをやるのであれば一カ国一代理店で大丈夫だと思います。
それはモダントレードのアウトレットの数を考えても一代理店で十分賄えるからです。
一方で、首都と首都ではない所という地域の分け方をすると、いわゆるインドネシアで言うジャカルタ以外の所、フィリピンで言うマニラ以外の所のMTを考えてもジャカルタやマニラにある代理店と一カ国一代理店で契約をしておけば、地方のMTにも彼らがサブディストリビューターとして地方の代理店を使って商品を配荷していくので、MTであれば一カ国一代理店で大丈夫です。
ただTTまで狙う場合、インドネシアが300万店、フィリピンが80万店です。
そこで一代理店の中のセールスマン、御社のために割いてくれるセールスマンの数と、TTのアウトレット数が合わないので、TTまで行くのであれば一カ国一代理店では物理的に無理だと申し上げました。
しかし、東さんがおっしゃる通りステージによっては、いきなり300万店は狙いません。
その場合は最初一カ国一代理店でも良いと思います。
だたし先を読んで、その代理店が何に強くてどのエリアに強いのかと言う事をしっかり把握してからそのエリアに関してお願いする、と言う事を当初にやっておくべきだと思います。
多くの日系企業では「インドネシア全土をあなた」「フィリピン全土をあなた」と言うやり方をしますが、このやり方では後に代理店を増やそうと思った時に、当然今迄10年頑張ってきたディストリビューターが反発するので、中がこじれる原因となります。
もう一つは全部代理店に丸投げするなという意味で、一カ国一代理店では駄目だと申し上げました。
(東さん)
代理店に丸投げするなとは具体的にどういうニュアンスでしょうか?
(森辺さん)
例えばMTとの関係性も築かず、TTの流通構造も理解せず、消費者の需要増は表面的に舐めるように理解をして、「自分達の商品は良い商品だから後は代理店さん頼むね。私達は作る人、あなた達は売る人」と輸出ビジネスに近い感覚です。
こうなると戦略と呼べるようなものも特にないので、代理店に「売ってください」と大枠の依頼をして、それに対して代理店の言うがままを信じるしかない。
市場を理解して代理店にあなたの役割はこれだからやりなさいと言っているのと、市場を理解せずに代理店にお願いするのでは、結果が全く変わってきますし、想定外の事が起きた時の対策を全く打つことができません。
丸投げということは、そういうことです。
よく東さんとも話しますが、代理店に言われる事が全てになっている日系企業が多いです。
代理店がリスティング費がいくら掛かると言っている、代理店がMTでプロモーションしなくてはいけないと言っているなど、それが全てになっています。
このように自分達にはマーケットの知識がないから代理店が言っていることが本当かどうかも分からないという状態では駄目だということです。
(東さん)
代理店に丸投げして、市場の状況も分からない状態だと、なかなかコントロールが効かないということですね。
(森辺さん)
そうです。
(東さん)
もう一つTTを狙う時に一代理店ではセールスマンの数と、アウトレット数の相関関係について、理解できる企業さんとそうではない企業さんがいらっしゃると思いますので、そこをもう少し詳しくお話をして頂きたいと思います。
(森辺さん)
例えばベトナムで100人のセールスマンを抱えるディストリビューターは、正直数える程しかいません。
ベトナムだと45万店~50万店のTT市場、アウトレットがあります。
その大半がホーチミンとハノイにあるとした時に、そもそもベトナムは非常に特殊で、ホーチミンは市場として大きく、一方で国の首都としてハノイも力を持っています。
南北戦争があったこともあり、むしろハノイ人の方がホーチミンの人よりも、位が上という部分もある国です。
この二つの理由以外のところで、ホーチミンはホーチミンの代理店、ハノイはハノイの代理店を持たなければいけないことになります。
アウトレットの50万店中、4万店を3年で取ろうとした時に、1日に何件アウトレットを回らなければいけないのかということになります。
100人のセールスマンを全て御社のために使ってもらえるのであれば、1日に10件回れると逆算をすると、大体何年で回れるかが出てきます。
その計算をせずに、そこはボヤ~としたままTTよろしくと投げてしまうと、うちに宛がってくれている専任の営業マンは10人しかいないから実は4万店取るには12年かかるという計算になります。
それを最初にしないと現実的な線が見えてこないということです。
(東さん)
そこを最初に計算できますよね。ということですよね。
(森辺さん)
そうですね。
足し算引き算なので、自分達の商品が目指す売り上げに到達するためには、平均週販何個と出るので、その週販をクリアするためには、何アウトレットに商品を置かれなければいけないのかということを考えると、ベトナムなら1,100しかMTがないから残りの何万店はTTで取ってこなければいけない。
TTに商品を置いて、店頭シェアを上げていくには、セールスマンが何人必要で、その人達が1日何件回れるかという計算をしていくと、自分達が必要としているディストリビューターが、どういう会社で、何人のセールスを自分に割いてくれるのか、ベトナムの場合こちらからセールスを出さなければいけないケースが、ほとんどだと思いますので、その場合何人のセールを出す必要があるのかと言う事が容易に計算できるということです。
(東さん)
分かりました。
今日は時間が来ましたのでここまでにしたいと思います。
森辺さんありがとうございました。
(森辺さん)
ありがとうございました。
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それではまた次回お目に掛かりましょう。
「森辺一樹のグローバルマーケティング」この番組はspyderグループよりお送り致しました。